魔豚人の長(ハイオーク)の嘘とライリィーの怒り
「よしそれじゃちょっと待っておれ今マニュアルを持って来るから。」
グラドがそう言って魔豚人の長に背を向けたその時だった。
「な・なんだ!!これはうわぁー!!!」
「物凄い揺れだ立ってられないあー!!!」
突如何とも言えない激しい揺れが辺り一面を襲った。
「何で急に地震なんかおいライリィー大丈夫か!!」
私の事を気にするマットの声が聞こえる。
「父上大丈夫ですか!!」
「パウム私が行くからあんたはそこで何とか持ちこたえて!!」
トゥリーヤとパウムのやり取りが聞こえる。
「うぇーん恐いよぉー!!!」
緑樹族の子どもの泣き声が聞こえる。
5分くらい経ったであろうか突如激しい揺れは収まった。
「マット・・・大丈夫?」
「あっあー俺は大丈夫だ!!でも一体何が!!」
「マット・・・!!!!」
そこまで言って私は目に飛び込んで来た状況に絶句した。
緑樹族の集落はあちらこちらが崩れ去り、辺りには倒れたりケガを負っている緑樹族の民たちの姿が広がっていた。
「これは酷い一体何が起こったって言うんだ?」
マットが辺りを窺いながら信じられないと言った声を挙げた。
「・・・・全く本当に緑樹族とは愚かな種族だな。」
「あ・姉上!!!」
パウムの叫び声が聞こえる。
そこにはトゥリーヤの事を掴み上げ不気味な笑みを浮かべる魔豚人の長の姿があった。
「魔豚人の長よこれは一体どう言う事だ!!?」
何とか立ちあがったグラドが魔豚人の長に訊ねる。
「ふんこの後に及んで気がつかないとは緑樹族は本当に愚かな種族だな。まさかこちらの作り話をまんまと信じこむとは!!」
「作り話だって!!?」
パウムが驚いたように魔豚人の長の方を見つめる。
「その通りだ。愚かなる緑樹族よ。飢えなど最初から起こってなどいないわ!!はなからこのプラタナの森を我が魔豚人の民の領地にするべくうった芝居よ!!」
「なんだとそれじゃ今起こった揺れは!!!」
「ふん言うまでもなく我が大地に震動の波動を送ったものだ。ついでにこれにより眠りについていた我が魔豚人の進軍の眠りも覚めるだろう。」
(これだったったんだ・・・・何だか嫌な予感がした胸騒ぎは・・・)
私はゆっくりと立ち上がると魔豚人の長の方に目を向けた。
そこにいたのは紛れもない狡猾で恐ろしい表情をした巨大な魔豚人の姿だった。
「おいこら放せこの豚野郎!!!」
魔豚人の長に掴みあげられているトゥリーヤが必死で暴れている。
「ぎゃあぎゃあうるさい緑樹族の民だな、少し黙っていろ!!」
魔豚人の長はそう言うとトゥリーヤのみぞおちに思いっきり打撃を加えた。
「姉上!!!!!!!」
「トゥリーヤ!!!!!!このブタ野郎!!」
咄嗟にマットが魔豚人の長に向かって飛びかかって行く。
「マットダメ危な・・・!!!」
私がそう言おうとした時にはすでに遅く・・・
「ぐわぁー!!!」
魔豚人の長の一撃を食らったマットは跳ね返されそのまま地面に落ち気絶した。
「マット!!!」
私は慌ててマットに駆け寄った。
「がははははいやーそれにしても愉快だなお人よしの種族が絶望して行く姿を見るのは!!!」
この魔豚人の長の言葉に私の中で何かが壊れたような感じがした。
「・・・・・何で?」
「うん?そこの小娘なんか言ったか?」
「何で・・・こんな事して平気なの?」
「ライリィーさん!!」
「ライリィー殿!!」
「パウム・・・グラドさん緑樹族の皆さんといっしょに出来るだけ遠くに避難していて下さい。」
「えっ!!それじゃライリィーさんが危険・・・」
「大丈夫だよパウム・・・私を信用して・・・」
「・・・ライリィーさん・・・。」
「分かりましたライリィー殿!!パウムよここはライリィー殿に任せよう。」
「・・・分かりました。僕も次期緑樹族の長になる者としてやるべき事を果たします。」
パウムはグラドの身体を支えると緑樹族の民全員に向けてこう宣言した。
「緑樹族の民よ。協力して安全な所に避難しよう!!」
パウムのこの宣言により緑樹族の民は避難を開始するのであった。
「なんだ?小娘お前1人残った所で一体何が出来ると言う・・・・」
「うるさい!!!」
「なっ!!!何だこれは!!!」
「魔術スキル怒りの雷撃落下!!!!!」
「ぐわぁーーーーー!!!!!!」
辺りに魔豚人の長の叫び声が上がり、それと同時に私は何度目かになる気を失うのであった。




