誰も答えてはくれない
家事を頑張る笑顔のお母さん
休日遊んでくれるお父さん
そういうのをテレビで見たことがある
みんな塾やクラブや家族とお出かけとかで忙しそう
私は図書館やコンビニや公園で時間をつぶす
帰ってもやることはなく孤独が忍び足で近づくだけ
私は家で一人
だからつぶやく
私の愛はどこ?
私の居場所はここ?
私は厄介者なの?
誰も答えてはくれない
遊びに行くと友達の親はやさしくしてくれる
「ご飯を食べていく?」
そういうのには遠慮しろと言われている
私たちが世界で一番愛しているからと
いい? 私たちの言うことを聞きなさい
あなたのためなのだから
両親の言うことを信じてきた
私のためになることだけだって
私だって世界で一番愛しているよ
だけど誰よりもかかわる時間は少ない
どこの家もこういうものなんだ
触れてはダメなところを見ないよう言い聞かす
私は家で一人
だからつぶやく
私の愛はどこ?
私の居場所はここ?
私は厄介者なの?
誰も答えてはくれない
私への愛は見えない
どこにもないようと恐怖がささやく
だから私は探そうとする
悪いことをしてでも
振り向いてもらおうとする
だけどどうしてだろう上手くいかない
「あの子はお前に似た」「いいえあなたよ」
ここに居るのにまるで見えていないみたい
片隅に転がる人形と同じ問題を起こさない
そんないい子が両親には理想なんだって
私にはそんなの無理だって今までの結果が教えてくれる
部屋の鍵を閉めて窓から空を見上げた
私は家で一人
だからつぶやく
私の愛はどこ?
私の居場所はここ?
私は厄介者なの?
誰も答えてはくれない
電源を入れないテレビのよう
真っ暗な画面に映るのは私だけ
寂しさにそそのかされてスイッチを入れれば
いくらでも楽しいことはあふれている
私が知りたいこと聞きたいことには答えてくれないのに
欲しいもの手の届かないものばかり見せるだけ
私は家で一人
だからつぶやく
私の愛はどこ?
私の居場所はここ?
私は厄介者なの?
誰も答えてはくれない