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二階層へ

 ダンジョンの門をくぐった。

 何階まであるのかわからない、高すぎるほどに高いダンジョンのその一階。


 僕たちは槍を、短剣を、魔術を使い、雑魚の――ゴブリンの群れを散らしていた。


 一筋の銀閃が舞い、ゴブリンの肩から胸にかけて斜めに切り裂くと、その命を散らした。

 虚空に生み出せれた拳大の氷塊は風切り音と共に飛来し、ゴブリンの頭部に直撃。血飛沫が飛び散りその体は地面に倒れ伏した。


 僕が前衛、白月さんが後衛を務めることで昨日とは比較にもならないスピードでダンジョンを攻略して行きたったの一時間と少しでダンジョン一階のボス部屋までたどり着いていた。


 昨日既にフロアボスを倒したというのもあって現在のボス部屋は魔物が存在しない空き部屋と化していた。


 ギルドで聞いた情報によるとボスを一度倒すと三日の間はどの魔物もボス部屋には立ち入ることが出来なくなるらしい。

 その性質を利用してボス攻略後、三日の間はボス部屋を休憩室として使うこともあるのだとか。


 ちなみにフロアボスは倒されてから三日経つといつのまにか復活しているらしい。


 僕はそんな情報を前もって知っていたので何の気負いもなくボス部屋の扉を開いた。


 もちろん、この情報は白月さんとも共有済みである為、彼女にも焦りや緊張といった感情は見られない。


「ここまでは案外楽勝だったね」


 ボス部屋を見渡すと情報通り魔物の影は一つとして見受けられない。

 それに安堵し、肩の力を抜くと白月さんに言葉を投げかける。


「は、はい……まさかパーティを組むことでここまで戦いが楽になるとは思ってもいませんでした。前衛がいるってだけで安心感があります」


 そう口にする彼女から嘘偽りを言っているようには感じられない。

 本当にそう思ってくれているのだろう。

 嬉しい限りだ。


「だから言ったでしょ、損だけはさせないって」


 現在の時点で昨日の彼女の稼ぎはとうに超えている。

 それだけでもう彼女から提示された条件は満たした。

 だが、まだダンジョンに入って一時間程度しか時間は経過していない。


 なら、試しに二階に上がってみるのもいいだろう。

 今よりもさらに稼ぎたいというのならいつかは通る道だ。

 それなら早いほうがいい。


 それに、僕自身興味がある。

 一階にいた魔物はゴブリンとスライムだけだった。

 じゃあ二階からはどんな魔物が出てくるのか……昨日ぶりに好奇心が疼いて仕方がない。


 逸る気持ちを押さえつけ、僕は白月さんに提案する。


「二階まで行ってみない?」と。


 脳内会議でもしているのか、頭を悩ませるように考え込み、返答はしばらくの静寂の後に伝えられた。


「そう、ですね。一階ではこれ以上稼ぐのは無理がありそうですし……それに前から興味がありましたから、異論はありません」

「よしっ! それじゃあ早速行こうか。体力の方は大丈夫?」

「問題ありません。私は大して動いていませんし。貴方の方こそ大丈夫なんですか?」


 何気なく問いかけたその一言に反応して白月さんはムッとした表情を浮かべた。

 だが、僕は彼女と視線を合わせて、ニヤリと口角をあげる。


「心配してくれてるの?」

「――っそ、そんなんじゃありません! 貴方が動けなくなって足手纏いにでもなったら困るってだけですっ!」


 焦ったように捲したてる白月さんの顔はいつもより幾分か赤く上気しているように見えた。

 それが照れ隠しによるものなのか、それとも単純に怒りを覚えていたのか……僕には分からない。


 しばらくの押し問答の末、この話はうやむやとなった。


「行くなら早く行きましょう。時間がもったいない」


 休憩がてら話していただけだというのに気づけば十分近くが経過していた。

 それに気づいて白月さんは一人足を進め、僕も取り残されないように彼女の後に続く。



 ボス部屋、その奥に階段はあった。

 横幅は人二人が並んで歩ける程度でお世辞にも広いとは言えない、石造りの階段。

 これがダンジョン第二階層へと続く道だ。


 僕と白月さんは何の躊躇も見せずに揃って足を踏み出した。


 ◆


 コツンコツン、と一歩足を進めるごとに足音が反響する。

 階段はここまでの道のりと同じように壁自体が謎の光を放っているため明かりの心配は無い。


 今はどれくらい進んだのだろう。未だに終わりが見えない。

 その上狭い階段の中では僕の槍はとてつもなく邪魔だ。

 動きづらいったらありゃしない。


 魔法の収納鞄とか、そういうのがあれば便利なんだろうけどな。


 そんなことを妄想しながら、けれどそう簡単に手に入るわけもないよなぁ、と溜息を吐いた。


 魔法のカバンは実在しているし、持っている人もいるらしいけど、僕の入手した情報によるとオークションにて数億の値がつくほどの超レアアイテムらしいし、僕程度の探索者が手に入れるのは難しい話だろう。


 そんなこんなで手に持った槍の邪魔さ加減に辟易していると遂に階段の終わりが目に見えてきた。


 ――二階層、その始まりの一歩を僕たちは踏み出した。


筆が、進むっ!

……あっ、そういえば明日僕の誕生日でした。祝ってくれたら明日も投稿するかも!!

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