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第4話

前回より間が空いてしまったorzしかも文字数もそんなに多くないとか、飛び飛びで書くから文体が定まっていないとかもう己の不甲斐なさに呆れるほかありませんorz

次回こそはもっとクオリティと執筆速度を上げていきたいです

 行きとほとんど同じ時間で俺たちは学園に帰ってきた。その道すがら何故あの場所に俺たちがいたのかを王女様に説明した。

 俺の魔力保有量が測定不能の数値であること。

 しかし魔法が全然行使出来ない事。

 一年間も状況が変わらなかったため、見切りをつけるために進級試験として魔法使いなら誰もが得ている使い魔を召喚すること。

 それが出来なければ退学になること。

 そして召喚するためにより良い環境としてあの場所に来ていたこと。


 これらを聞いて王女様は


「ふむ、そういえばこの間のフユの長期休みの時期にカインが帰ってきた際にそういう話を聞いたな。君のことであったか」


 と俺という存在自体は認知なされていた。知って頂いていたことに喜んでいいのか、マイナスのイメージで印象付いていることに悲しんでいいのか。


 行きは生い茂る木々を掻い潜ったりしながら移動したのだが、帰りは王女様にそういったことをさせないためか、ミリア先生がばっさばっさと木の枝やら草などを風の魔法で切り裂きながら進んだ。もちろん初級魔法だったけど無詠唱だった。今まで特に怒らせるようなことはしていないが、今後も絶対怒らせないようにしようと誓った。


 「さて、首尾よく誰にも見られずに本校舎に入ることが出来たな」


 帰ってきた方向は一切授業のない本校舎のしかも森に面した裏側なので、基本的に誰もいないし誰も見ていない。とはいえ可能性は0ではないので校舎の中も誰もいなかったことを含めホッと胸を撫で下ろした。もし王女様の姿を学生に見られていたらすごい騒ぎに発展していたかもしれない。


「しかし、随分と懐かしく感じるな。まだこの学園を卒業して1年も経っていないというのに」


 王女様はそう感慨深げに漏らした。そう感じられるくらいに闘病生活が過酷だったのだろうか?流石に直接聞くことはできないな。


 ちなみに王女様はこの学園の騎士科の卒業生らしい。というのもとても優秀で模範的だったためか、よく各授業の先生の話の中で引き合いに出されていたので俺も存在としては知っていた。まあ本人を見たことがなかったので召喚したときに一目見ただけではわからなかったのだが。


「ではアリスティア様とラルクはこのまま保健室に向かってください。保険室はすぐそこなので恐らく大丈夫だとは思いますが一応誰とも合わないように警戒してください。それと浮遊魔法は後少しだけ持続するようにしていますので保健室について少ししたら解けるはずです」


「他の者と遭遇する警戒については私があたろう。騎士科でも隠密に関する訓練も受けていたからな」


 王女様、そんなことも出来るのか。というかいくらこの学園が貴族も平民も平等と謳ってはいるが、いくらなんでも王族が隠密行動等する状況が想像できない。いや、なくもないだろうけど状況的にはかなり危機的なものなのではないだろうか。まあ今はそんなこと気にしてもしょうがないか。


「それで、ミリア先生は一緒に来ないのでしょうか?」


さっきの言い回しだとここでミリア先生は別行動だと受け取れるけど。


「私はこのまま学園長にこのことを報告に行くつもりだ。流石に知らせないわけにはいかないからな。王城の方にも連絡できないか相談してみるつもりだ」


 なるほど、最もだ。病気で臥せっていた王女様が失踪したことが判明していたら今頃王城はパニックになっていることだろう。一刻も早く王女様が無事なことを知らせてほしい。それと今回のことは事件ではなく事故であるという事を。


「わかりました。それではよろしくお願いします」


 そうしてミリア先生は二階にある学園長室に向かうべく階段を上って行った。ってよくよく考えれば王女様と二人っきりになってしまったじゃないか!緊張してきて何をしゃべっていいか全く頭に浮かんでこない。


「さて、我々も一目のつかないうちに行こうか。すまないが肩を貸してもらえるか?」


「は、い、お掴まり、下さい」


 こちらから何を話せばいいかという心配は杞憂に終わったが、緊張が尾を引いて声が硬くなってしまった。いけない、切り替えないと。ってすぐに切り替えられたら苦労はしないのだけど。


なんてことを考えていたらすぐに保健室に着いた。出来るだけ静かに扉を開ける。


「失礼します」


「はい、どうしました……か!?」


 保険医のセラ先生は白衣を着て、ライトグリーンの髪を肩口で切りそろえた見た目30代後半くらいにしか見えない女性だ。そのセラ先生が今は驚愕を顔に張り付けて口を大きく開けている。ああ、よく見ると小皺が……。


 まあ無理もない。何せこの国の第一王女様が魔物のゴーストよろしく俺の後ろにふわふわ浮かんでいるのだ。これで驚かない人がいたらきっとその人は主に精神攻撃魔法から守るためのメンタルプロテクトの魔法でも使っているのだろう。


「久方ぶりであるな、シンクフォン魔法医師殿」


「話せば長くなるのですが、簡潔に申しますと、俺が使い魔の召喚で使い魔を召喚したと思ったら、何故か王女様が召喚されていました」


 うん、改めて口にしても意味が解らない。


 その説明により困惑の色が増した顔になったがそこは年のこ……経験豊富な女性であらせられるセラ先生だ。すぐにより詳しく話を聞こうとする態度に切り替わった。(一瞬寒気がしたので思わず心の中の表現を切り替えたがあれはなんだったんだろう……?)


 丁度その時ミリア先生が掛けていた魔法が切れたのか王女様の体がスッと床に下り立った。そのままひたひたと裸足でセラ先生の前まで歩いていく。


「シンクフォン殿も以前診て頂いたので承知だとは思うが、私は魔力欠乏症なのだがどういうわけか彼に召喚されてから嘘みたいに体の調子が良いのだ。何故このようなことになっているのか診てもらえないか?」


「わかりました。それではこちらの椅子に掛けていただけますか?」


 そう言って自分が座っていた椅子を立って王女様に譲ろうとする。確かにセラ先生が座っていた椅子がこの保健室にある椅子の中では一番上等だった。


「いや、私はこの椅子で構わない。今この場では王族相手だという事に気を使う必要はないぞ」


 王女様はそのまま近くにある簡素な椅子の方に座ってしまった。こうなってはセラ先生も無理強いすることはせず自分が座っていた椅子に座りなおす。


「それで、体の調子が良くなられたと仰いましたが、痣の方は……」


「痣は依然として体に残ったままなのだ。だから完治したわけではないと思うのだが……」


「そうですか……。では魔力の流れがどうなっているのか診させてもらいますね」


 セラ先生は首から銀の鎖で下げていた眼鏡をかける。もともとの知的な雰囲気も相まって保険医よりも教師と言われた方がしっくりくるかもしれない。


 するとセラ先生はいきなり俺の方を見てかなり驚いた顔をしている。どうしたのだろう?


「えっと、君、名前はなんていったかしら?」


 あ、そういえばまだ自己紹介してなかったか。


「魔法科1年のラルクです」


「ああ、あなたが……。今年は魔力保有量が測定不能のものが入学したと聞いていたけど……。でもこんなことって……」


「シンクフォン殿、なにか分かったのだろうか?」


「ええ。結論から言わせて頂くとアリスティア様の今の状態は魔力欠乏症における究極の対処療法がなされている、という状態ですね」


 その言葉に俺は頭に疑問符を浮かべる。王女様もどういう事なのか理解しかねているような顔だ。


「具体的に申しますと、アリスティア様とラルク君との間に魔力的な繋がりが出来ており、そのラルク君から魔力欠乏症によって損なわれている魔力を常に供給されている、という事ですね」


 つまり俺が王女様に自身の魔力を分け与えているってことか。魔力的な繋がりっていうのは召喚してしまった事が関係しているのだろうか?


「ラルク君は体調が悪くなったりだとか、どこか体に違和感はありますか?」


「特にありませんね。魔力を供給している、という事にも実感が湧きませんし」


「そう……。正直に言って、未だに目の前の現象が信じられません。アリスティア様の魔力保有量はたしか」


「8000だな。すると、そうか……。私の命はラルクによって現在進行形で救われているということか」


「そうなりますね。それも王女様の魔力保有量8000をしても抗えない魔力欠乏症による魔力の消費を補い続けているなど、ラルク君自身の魔力保有量はいったいどうなっているのか想像もつきません」


 うーん、本当に何も実感がないのだが。王女様の命を救ったとか言われても全然ピンとこない。むしろいきなり召喚してしまって申し訳ありませんって許しを請わなくていいのかなんて思ってしまう。


「ただ、先ほどの話からアリスティア様は召喚陣によってラルク君との魔力的繋がりを得たと思うのですが、その際に契約が発生していると思われます。分かりやすく言うと精霊の力を借りるにあたって自身の魔力を差し出す、というようなものですね。具体的にどのような契約がなされているのかは分かりませんが」


 契約か。妥当なところではそれこそセラ先生が言った、もともと精霊と結ぶはずだった『魔力を差し出す代わりに力を貸してもらう』というものがそのまま王女様との契約になっているのだろうけど……。


「具体的な契約の内容というのは自分で確認できるのでしょうか?」


「基本的には契約というものはお互いの合意があって初めて交わされるものだから事後の確認はそれこそ紙にでも残していない限り簡単には確認できないわね。でも理事長ならいくつかの条件を整えれば出来ると思うけど」


「確かにかの御仁なら出来そうではあるな。では早速この後確認に行くとしよう」


 理事長、そんな人がいたのか。しかしこの学園に理事長室なんてあっただろうか?なにはともあれまずは先ほど分かったことをミリア先生や学園長に伝えた方が良いだろう。


「先に学園長やミリア先生にセラ先生の診断結果を伝えた方が良いのではないでしょうか?」


「問題ない。理事長室は学園長室からでしか出入り出来ないようになっているからどちらにせよその二人には会うことが出来るだろう。入れ違いにならなければ、だが」


 ああ、だから理事長室なんて見かけなかったのか。それならここから移動しても大丈夫なのか?しかし王女様の意向に反するのもよくないだろうし、ここは従っておこう。


 そうして座っていた王女様とセラ先生が立ち上がったところで、ダン!と勢いよく保健室の扉が開けられた。


「姉上!」


 開いた扉の勢いと遜色のない勢いで入って来たのは、直接相対することはこの一年なかったものの、その王子然とした佇まいで否応にも記憶に残っていたカイン第二王子その人であった。


お読み頂きありがとうございました。次回もお読み頂けると幸いです!

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