27話
ニックスさん達と別れ、俺は宿屋へと向かっていた
今日はこの街へきて初めて泊まった宿、小鹿亭に泊まる事にした。これまで適当にいくつかの宿に泊まったのだが宿のグレードとしては何処も似たり寄ったりだった。ニックスさんに宿の事を聞くと、どうやら前線の街だけあって利用者は、冒険者や商人の人が大半だとの事だ。その冒険者も低ランクが殆どであり高級な宿があっても利用しないらしい。商人達も商売に来てるのに宿に高額を支払うなんて人はまずいない為、この街ではほぼ同じ程度の宿しかないらしい。高級な宿としてのホテルは一応一軒だがあるみたいだ。だがこちらに泊まるにはある程度の資格が必要らしく冒険者ならBランク以上、商人なら2級以上、もしくは貴族位を持つ人のみが利用できるみたいだ。そんなので商売になるのかなと思ったが料金がかなり高額な為、問題ないみたいだ。どの程度の金額か聞いてみると最低ランクの部屋でも大銀貨5枚、50万zらしい。貴族なんかが泊まる時には護衛やら身の回りの世話をする者を連れて来る為、一度にかなりの金額が支払われるとの事だった。
更にホテルにはかならず風呂が備え付けられてるらしい。一泊50万とかふざけてるとしか思えないがこの世界でのホテルはそれが普通みたいだ。使用する人を考えるとそのくらいの金額なら余裕なのかもしれないな。一度偵察に泊まりに行きたいが泊まる資格も無い為、今は諦めよう。そんなわけでどこの宿も同じ程度なら、せめて食事の美味しい小鹿亭で今後寝泊まりしようと思ったのだ。
そして先ほど少し触れたのだが商人にもランクがあるらしい。これは商売をする際には必ず商人ギルドへの登録が必要であり、売り上げに対して税金を支払う必要がある。その税は一律20%取られるみたいだ。安いなと思う人もいるかもしれないが、これはかなり厳しい税金だ。利益に対しての20%じゃなく売り上げの20%というのはかなりきついと思う。利益率の大きい商売なら問題ないが、薄利多売等の利益の少ない商売だと税金が利益を上回るなんて事も考えられる。これはこの世界がまだ経済的に未成熟なせいだろう。ただこのままでは、税金を払えない者が続出する為、試験期間的なものが設けられている。商売をはじめて1年間は税金は免除みたいだ。1年やってみて税金を払えないようなら商売を辞めろという事だな。1年の間に辞めると税金はかかってこないわけだな。そんなわけで実際に店を出しても、1年以内に辞める店がかなりあるみたいだ。そして商人のランクなんだが収める税金の金額によってランク分けされるらしく1級~5級までの5段階あるとの事だった。詳しい事は聞かなかったのだが、ホテルを経営する際にはきちんと調べる必要があるだろう。
そして屋台等は例外みたいだ。屋台を出すにも商人ギルドへの届け出はかならず必要なんだが、こちらは場所代という名の税金を支払う形態だ。街、場所、時期により変動はあるが1日いくらという金額を支払い屋台を出しているらしい。たしかに屋台は基本薄利多売だし通常の税金を取られるなら屋台なんて成立しないだろうな。
話は変わるが冒険者や街の住人も税金はきっちりと取られてる。冒険者は依頼達成の金額や魔晶石、素材の売却金額から自動的に税金が引かれているし、住人は人頭税を毎年収める必要があるみたいだ。人頭税については1人につき銀貨5枚らしい。また奴隷に関しては主人が奴隷分も収めなきゃいけないみたいだ。引き取る予定の3人について人頭税の話はでなかったのだが、毎月支払う10万zに含まれているのだろうか?次ニックスさんに会いに行ったときにでも聞いてみよう。他にも農業関係やら職人関係の税はまた違うみたいだが、今は関係ないので置いておこう。
周りはかなり暗くなりようやく小鹿亭へと到着した。
「いらっしゃいませ。あれ、お兄さんまた来てくれたんですね」
出迎えてくれたのは、えっとたしかリースって名前だったかな
「たしかリースちゃんだっけ?今晩泊まりたいんだけど部屋は空いてるかな?」
「はい、リースです。でも名前教えましたっけ?」
「ここの女将さんに怒られた時に名前呼んでたからね。それで部屋は空いてる?」
その時の事を思い出したのか若干頬を赤く染めた
「あ・すいません部屋は空いてます。今日1日の宿泊でよろしいですか?」
「うん、今日一泊で、後今日から二日毎に泊まりに来る予定だからよろしくね」
ありがとうございますと丁寧なお辞儀を返され、やっぱりこの子すごいなと改めて感じた
「お兄さんの部屋は205号室となってます。鍵をお渡ししますね。すでに夕食の時間となってますが、先に部屋に上がられますか?」
「いや食事を食べてから部屋にあがる事にするよ。ここの食事は楽しみだったしね。後名前はタクヤっていうんだ。これからもよろしくね」
はい、こちらこそよろしくお願いしますと眩しいくらいの笑顔で返された。うん、可愛いな。もし元の世界で結婚してたらこれくらいの子供がいてもおかしくないんだよな。なんて思いつつ空いてるテーブルに座り料理が来るまで待った。ちなみにだがロリ属性は一切持ってないからな。
待つこと数分料理が運ばれてきたのだが・・・・
量多くね?食えるのかこれ・・・
目の前にはスープに黒パン2個と大き目の皿一杯に広がってる大量の肉だった。呆然と見ているのを察したのか
「大丈夫ですよ。量多く見えますが実際にはそこまで多くないんです。食べてみてください」
そう言われ食べてみようと肉を切る。ん?全て肉かと思ったが表面に肉を敷き詰めてるだけで下からは何かゼリー状の物がでてきた。何なのかは分からないが1口分に切り、肉と一緒に食べてみた。
「う・・・うますぎる・・・なんだこれ」
肉はたぶんだがオーク肉だろう。よく食べているのでそれは分かる。だがこのゼリー状のがすごい。たぶん煮凝りだと思うんだがその味がすごい。口に入れるとスっと溶けたのがオーク肉と抜群に合うソースになっている。食感も味も初体験だこんなの。気づけばあっという間に半分ほど食べてしまっていた。
「ね、大丈夫だったでしょ」
どうやらリースちゃんが様子を見にきたみたいだ
「全然余裕、むしろ食べたりないかもしれない。ちなみにこれって何なの?」
聞いてみるとオークの肉汁を味付けして固めた物みたいだ。なるほどただでさえ美味しいオーク肉の肉汁3倍増しって感じか。味付けもいいし、こりゃうますぎるね。
「親父さんすごいなぁ。やっぱここの食事は最高だ。親父さんにお礼言っといてね」
そう言うと、かなりご機嫌になり、ニコニコしながら厨房へと帰って行った。その後は夢中になりあっという間に全て食べてしまった。余韻に浸りながら少し食休みをしたかったのだが、食事時という事もあり人が増えてきたので、お礼を言って部屋へと向かった。
「ふぅ・・うまかったな」
やはりここの食事は他と違いすぎる。まだ親父さんには会った事ないんだが料理スキルがかなり高いんじゃないだろうか。そんな事を考えながらベッドに寝転がっていたのだが、心地よい満腹感にこのままでは寝てしまうと感じ起き上がる。今日はまだしなきゃいけない事があるのだ。
スマホを取り出しステータスとスキルを操作していく。今日街をブラブラしながらも色々と考え、物理と魔法どっちを上げていくかをようやく決めれた。今後を考えると魔法しかないなと。今現状では次のランクアップまでそこまで時間はかからないだろう。だが今後を考えるとかなり厳しいんじゃないかなと思える。次のランクまで10万Pはおそらく3週間もあれば余裕だろう。だがその次のランクとなると2か月は超えるかもしれない。ランクアップ費用だけで現状で数か月となってしまうと、ホテルを経営できるまでにかなりの時間が必要になるだろう。一応レベル50になれば後はホテルの為の資金稼ぎをしようと考えている。ただ土地代って普通に考えればかなりの高額だよね。そんなわけで更に稼ぎを増やすためにレッドグリズリーを狩りに行こうと考えた。その為に魔法関係を上げる事に決めた。魔法の威力さえ上げればホテルの結界を使いつつ狩る事ができるだろう。
そんなわけでステータスはこうなった
名前 タクヤ アネザキ
種族 人族
職業 冒険者(D)
AGE 18
LV:30 STP 0
HP:740
MP:666 (160UP)
STR:100
VIT:110
AGI:120(20UP)
DEX:90
MAG:130(30UP)
MND:128(50UP)
LUK:40
MAGとMNDを上げたわけだが、威力だけならMAGなんだが赤熊が咆哮のスキルを持っている為、保険としてもMNDを上げた。魔法の操作能力を上げるのにDEXにも振りたかったのだが、もしもの時逃げやすいようにAGIにも振る事にした。魔法の操作能力向上はスキルを上げる事により対応しよう。
さて次はスキルだが、今回絶対に上げたいスキルをまず上げていく。隠蔽に1P、夜目に2P、気配察知に2Pだ。隠蔽も5まで上げたかったのだが鑑定レベル5でもない限り見破られない4までにした。さすがに鑑定レベル5なんてまず会う事もないだろう。次に夜目だがレベル1でもそれなりに使えるのだが、やはり安全の事を考え3まで上げた。最後の気配察知は気配遮断とどちらを上げるか悩んだ末、察知を上げる事にした。早めに敵を見つければ安全性もあがるし何より狩り効率があがる。そして残りを魔力操作と光魔法を最大まで上げた。本当は強化系のスキルも早いとこ取りたかったのだが次回へと回す事にした。強化系スキルを取れば完全に人間やめましたって感じに強くなれるのだが、先に魔法の練習をして技術を身につけるのを優先した。その結果今回のランクアップでの最終ステータスはこうなった。
名前 タクヤ アネザキ
種族 人族
職業 冒険者(D)
AGE 18
LV:30 STP 0
HP:740
MP:666
STR:100
VIT:110
AGI:120
DEX:90
MAG:130
MND:128
LUK:40
スキル SKP 0
算術 Lv2
交渉 Lv2
精神耐性 Lv3
異世界言語 LvMax
MAP LvMax
アイテムボックス Lv1
鑑定 Lv4
隠蔽 Lv4《UP》(1)
気配察知 Lv3《UP》(2)
気配遮断 Lv2
夜目 Lv3《UP》(2)
剣術 Lv1
光魔法 LvMax《UP》(2)
魔力操作 LvMax《UP》(3)
これで今回のステータス操作は終わった。魔法の属性も増やしたかったが一点集中とした。今後取る機会は十分にあるだろう。気配察知は今まで周囲25Mだったのが100Mまで広がった。1レベル上がる毎に2倍づつ広がるみたいだ。Maxで400Mって事だな。他のスキルに関しては明日森へ行って確かめるしかないな。具現化の能力の確認もあるし明日も忙しい日になりそうだ。
シエラさんの言葉に従い今日は休みとしたが思った以上に有意義な1日だった。自分ではわからなかったのだが疲れもかなり溜まっていたのだろう、身体を拭き布団へともぐるとすぐに眠気がやってきた。何もあせる必要はない、異世界をもっと楽しみながら生きて行こうと思いながら重い瞼を閉じた。
翌朝、宿屋で満足のいく朝食を食べた後早速ギルドへと向かう事にした
ギルドへ行く用事は特にないのだが、もしかするとオーク素材の納品依頼があるかもだからね。森に行く前に一応ギルドへ行く事にしている。まぁいつも依頼はないのだが、そしていつものようにおばちゃんに絡まれると・・・
ギルドにつくと案の定暇そうにしているおばちゃんからお呼びがかかった。
「おはよう、おばちゃん。今日もひまそうだねぇ」
「誰が暇なもんか、今ようやく一息ついたとこさね」
うん・・・嘘だな。絶対嘘だ・・・他の受付嬢はこんなに忙しそうに冒険者達に対応してるのに、何1人のほほんと美味しそうな物食べてんだよ!口に食べかすついてるぞっ
「なんだい?なんか言いたい事でもあるのかい?」
いいたい事は山程あるのだが当然言えるわけもなく
「おばちゃんに文句?まさか(笑)まだ死にたくないもん俺」
「あんた、あたしを何だとおもってるんだい?まぁいいさね。それで今日もオーク狩りに行くのかい?残念ながら依頼はないよ」
地上最強の生物だよね・・・まぁそれはそれとして、やはり依頼はなかったか。まぁいつもの事だ。
「やっぱり無いか、仕方ないね。そうだ、おばちゃん。レッドグリズリーってさ買い取ってもらうとしたらどの程度の金額になるのかな?」
そう聞いた瞬間、おばちゃんから怒気が漏れ出てきた。
「あんたまさかだが、レッドグリズリーでも狩りに行く気かい?」
「え・・・えっと・・・いずれ狩りに行ってみたいかな?なんて・・・」
うおお、こえぇぇ・・・赤熊よりよっぽど威圧感あるよっ
「悪い事は言わない。あいつだけはやめときな。自殺願望でもあるなら別だが、オークと同じ中級の魔物といっても、あいつだけは別格なんだ。今まで腕に自信のあるやつらが同じように挑んだがその結果は悲惨なもんさ。あんたには、まだまだ早いのさ。いいかい?あんたには素質もやる気もある。だがまだ経験が圧倒的に足りないのさ。折角将来有望な新人なのにこんなとこで死なせるわけにはいかないんだ。約束しな最低でもCランク、それもレベル30を超えるまでは、あいつに近づかないと。どうなんだい?」
かなり真剣にそんな事を言われてしまった。実はすでにレベル30です、なんて言えるわけもなく。こちらも真剣に答える。
「俺もまだまだ死ぬ気はないからね。約束するよ。赤熊に挑戦する時はシエラさんに許可をきっちりともらってからにするさ」
おばちゃんは重い息を吐いた。本当に心配してくれてるみたいだな。優しかったり、面倒だったりと全く厄介なおばちゃんだ。心の中でおばちゃんにありがとうと感謝を述べる。
「もし、おばちゃんが30歳若けりゃ惚れてたかもね。じゃぁ今日も元気にオークを狩ってくるよ。おばちゃんありがとう」
「あたしは今でも十分若いよ!ふざけた事抜かしてると赤熊の前にあたしが冥途におくってやるよ!」
何やらぶっそうな事を言ってるが、俺は笑顔でおばちゃんに手を振りギルドを後にした
ギルドを出てまっすぐに森へ向かっている。おばちゃんが本当に俺の事を心配してくれてるのが嬉しかったのか今日はかなり気分がいい。思えばこちらへ来てすでに2か月以上たってるのだが、はっきりと言えばボッチなんだよね。特殊な狩りをしている為パーティーを組むわけにもいかないしな。心配してくれる人がいるってだけで、なんか嬉しいのだ。それはさて置き、森が近づいてきたので一度気合を入れなおす。森の中に入るのに浮ついてたら怪我をするかもしれないからな。
さぁ、行くか
いつもの様に森へと入ったのだが夜目はレベルアップして正解だ。レベル1でもある程度は見えていたのだがレベル3にもなると、かなりはっきりと周りを見る事ができた。視界がはっきりするだけで気分的にも全然違うな。やはり暗さってのは人を不安にするみたいだ。気配察知も今までと比べればかなり広範囲の気配がわかる。これなら安全性も狩り効率もかなり上がるだろう。残念ながら近くには冒険者らしき気配ばかりでウサギはいないようなのでオークの森まで急ごう。
オークの森へと入り、気配を探りながらどんどん奥へと入っていく。できるだけ奥へと向かうのだが、これも気配察知のおかげで戦闘する事もなく安全にある程度奥まで来る事ができた。
早速ホテルを出して少し休憩することにした。いつものようにコーヒーを入れてくつろぐと風呂を用意しに行く。やっぱ戻ってきたら風呂に入らないとね。
風呂を溜めてる間に具現化を試す事にしようか
早速具現化の能力を使うように念じてみる
すると何処からともなく光の粒子が集まり、徐々に形を成していく。
光がおさまるとそこには、綺麗な女性が立っていた
HTP 1.163/100.000
所持金 53万5900z




