21話
冒険者登録の講習の為ギルドへ早めに入った
ギルド内には昨日よりも多くの人がおり、酒場で騒いでる喧騒ではなく、活気に満ちた喧騒が聞こえてくる。皆これから依頼を受けて仕事へ向かうのだろう。受付も5か所あり、その全てに列ができている。昨日は暇そうにしてたおばちゃんの場所にも列ができていた。昨日の3人に加えて2人増えているがやはり綺麗な人だった。その1人はエルフだ。物凄い美人で見てるだけでも満足できる。当然お近づきにはなりたいが、難しいだろう。周りの男達の視線もかなりの数集めている。何より素晴らしいのはその胸部装甲だ。この世界のエルフは皆スレンダーな体形をしてるというわけではないらしい。たしかに腰とかかなり細そうだが胸部装甲もそれなりにあったのだ。決して巨乳が好きというわけではないが、無いよりはあったほうがいいかなぁと思うだけだ。勘違いしないようにねっ!
時間はまだ1時間ほど残ってる為2階へ上がり様々な資料を暇つぶしに見せてもらう事にした。まだ冒険者登録が終わってない為見せてもらえない可能性もあったが、今日の講習を受ける旨を伝えステータスプレートを提示した事で許可が得られた。あまり時間も無いため、知りたかったこの世界の簡単な地図を探し、簡単な国の歴史が書いてある資料を探した。
見つけた資料によるとこの国は北部でサマルーン帝国と接していて西部がルージアナ王国と接している。現在の人の住める領域は台形の形に近い。上部1/3を帝国とし、下部の2/3を縦に三等分したような感じの国の位置だった。そして、帝国の北部、3つの国の南部全てが始原の森となっていた。王国のみが全ての国と接しており、交易の観点から見ると王国の街が一番賑わってるのかもしれない。あくまでも予想だけどね。
そして国の歴史だが、全ての国が大昔には小国の集まりだったみたいだ。始原の森の脅威に対抗するため、いつしか小国は手を取り合い1つの国になっていったみたいだ。まず帝国が興り、その後対抗するように王国ができた。それがおよそ600年くらい前だ。そしてこの国だが300年くらい前にできたそうだ。この国が小国群から1つの国になるのが遅れたのは、様々な種族が東部に固まっていたためらしい。長い時間をかける事でようやく種族間の問題を解決できたみたいだ。その為かこの国は多種多様な種族がいるみたいだ。昔のこの国の人に感謝だな。種族間の問題を解決するのはかなり苦労した事だろう。そのおかげで今こうして様々な種族が仲良くしてるのを見る事ができる。ケモ耳の可愛い子やエルフの子と仲良くなれるチャンスもあるって事だ。感謝しかないね。
最後に聖教国だがここだけは他の国と成り立ちが違う。おそよ400年前だが当時王国は苦境に立たされていた。国の西部と南部に始原の森が広がっていたからだ。苦肉の策として王国は西部の開拓を一般公募したらしい。西部に関してはダンジョンを攻略した者にその土地の所有権を与える事を約束したのだ。多くの冒険者や貴族達が西部攻略に乗り出し、いくつかのダンジョンの攻略には成功したらしい。だが魔物の氾濫に対応できず、解放していた土地も再び森へと戻っていったようだ。そして200年程前だが、光の勇者を名乗る若者が現れた。その若者は西部のダンジョンを驚く程の速さで次々と攻略していった。僅か20年程度で王国西部の森を全て攻略してしまったそうだ。そして聖教国が建国されたのだが、ここで一点おかしな事がある。建国したのは勇者ではない。勇者と共にダンジョン攻略をしていた1人の神官が国の始祖らしい。それを知った時思う事はいろいろとあったのだが、今は置いておこう。
そうやって時間を潰してると鐘の音が聞こえてきたので急いで一階へ降りる事にした。
「冒険者登録に来られた方は3階の会議室まで移動してください」
職員の方がそう案内してたので3階まで行き、職員の誘導に従って1つの部屋に入った。
部屋の中にはすでに数人が椅子に座っており俺も適当に空いてる席に座った。その後も数人部屋に入ってきた。現在14名の人が席に座っており、俺以外には男8名、女5名だ。皆歳若く15前後というとこか。レベルも1~3と低い。自分のレベル20がかなり異常に見えて困る。皆が席につき少し待ったとこで職員らしき男性が中へ入ってきた。見た感じは30前後のインテリな感じのするイケメンだ。ホントこの世界は顔の整ってる人が多いなと感じる。
「それでは冒険者登録の為の講習を開始する。今日この場にいる14人が講習後冒険者となるが、この講習を真面目に受ける事すらできない奴は冒険者になる資格はない。皆の命に係わる話でもあるので心して聞くように。一応自己紹介だがこのギルドでサブマスターをしているビッケルトだ。今後も会う事はあるだろう。頭の隅にでも覚えておいてくれ。さぁ講習を始めよう」
「まずは基礎的な事だが・・」
そんな感じで講習が始まった。最初は基本的な事で前日に聞いていた事が多かったがランクについて詳しい事も教わった。
それによると各ランクの最低レベルはこうなってるようだ。
G・・・・・・・・1
F・・・・・・・・5
E・・・・・・・・10
D・・・・・・・・15
C・・・・・・・・25
B・・・・・・・・35
A・・・・・・・・50
Gランクは見習い的なランクだ。当然見習い期間に命を落とす人間もいれば、冒険者として続ける事を諦める人もそれなりにはいるらしいが。
今の俺はDランクにはなれるLvがあるらしい
G、Fランクのみ入る事のできる森が決まってる。この街の周辺ではホーンラビットの森にしか入る事はできないそうだ。それ以外の森へ行くと死ぬ可能性が高い為らしい。まぁ俺はきっと余裕だろう。またパーティを組むのを推奨された。やはりこの世界はレベルを上げるのが難しい為、パーティを組み危険を減らす必要があるそうだ。また一定範囲内で戦う事によりパーティ全員に経験値が入るみたいだ。止めを刺した人のみがレベルが上がるという事は無いみたいだ。
他には魔結晶の事も教えられ、全員に空の魔結晶が配られた。初回だけは無料でもらえるみたいだ。今後は買い取り価格から空の魔結晶分の価格1000zが引かれて支払われ、その際、空の魔結晶も再び渡されるようだ。パーティーを組む場合には魔素の吸入は誰か1人の魔結晶にまとめた方が買い取り金額は増えるぞとも言われた。そんな事言わなくてもわかるんじゃと思ったが、この世界では知識水準が低い為かそんな簡単な事にも気づかない人が多いみたいだ。
そして魔物によっては魔結晶に吸入するよりも魔物をそのまま持ち帰ったほうがはるかに高い金額となるみたいだ。ここにいる人が唯一入れる森のホーンラビットがその魔物に当たるらしい。角と肉が素材として買い取りされる為一匹あたり約5000zにはなるらしい。これはかなり破格の金額と言える。ホーンラビットはゴブリンと同じ最下級の魔物だ。それよりも強いウルフが皮と牙で4000zにしかならなかった事を考えればかなり美味しい魔物と言える。吸入した際には精々300zくらいにしかならないみたいだ。ただ1人が持ち帰れるのは2匹くらいが限度らしく、持ち帰れる分以外は角だけ取り、吸入する事を進められた。まぁ倉庫に片っ端から入れて自動解体する俺には関係なさそうだが。
「さて、ここからが重要な話になるがこれから先、努力次第でレベルが上がり初級の魔物が楽に倒せるようになる時が来るだろう。だが始原の森にあるダンジョンの攻略は一切認めない!もしこれを破りダンジョンの攻略をした者がいた場合、全ての国から犯罪者として追われるようになる。そして確実に死刑となるので、ダンジョンの攻略だけは絶対にしようとするな!」
この言葉を聞いた時、話を聞いていた者達から騒めきが起こった。当然だろう。俺もなんでかさっぱりわからない。ダンジョン攻略は皆の為になると思うのにそれをなぜ認めないか全くわからないのだ。
「皆の疑問も分かる。これから理由を説明しよう。現在この都市が最前線だと知ってる者は多いと思う。今国をあげて攻略しているのが中級ダンジョンだ。すでに5年が経過し、周辺の魔木は消え去っている。国の精鋭達がダンジョン内の魔物を倒し続けてるからだな。国の兵士約3000名が交代でダンジョンに潜っているわけだが、それでも攻略にはまだまだ時間がかかるだろう。初級ダンジョンなら1年もあれば十分に攻略できるにも関わらずだ。なぜこれほどまでして初級じゃなく中級のダンジョンを攻略しようとしてるか分かる者はいるか?」
中級ダンジョンのが恩恵が多い為だとか、神遺物を狙ってる為だとか、国の兵士の質を上げる為という意見が出る。どれもあり得るなと思い聞いていた。
「様々な意見が出たが答えは全て不正解だ。今中級ダンジョンを攻略しているのはこの国の安全を守るためだ!それを今から詳しく説明する」
「この中には聞いた事がある人もいるかもしれないが始原の森の魔物は定期的に氾濫を起こす。大体50年~60年周期だがな。その50年目がもうじき近づいているのだ。基本始原の森の魔物は森の外に出てこないと聞いてるかもしれない。だがこの氾濫の時期だけは違うのだ。今この国の南部全てに接している森全てから魔物があふれ出して来るのだ。大体だが数万規模の魔物が一斉に溢れてくる」
これを聞いた時、全員が無言となり、顔を青ざめている人が殆どだった。たしかにそんな事態になればかなり恐ろしい事になるだろう。
「そしてその氾濫の時期までにいくら森の魔物を間引いても意味がない。その時期に急に魔物の数が増えるのだ。ここで重要なのは氾濫で出てくるのは国の南部全てに接している前線の森の魔物だけという事だ。前線の森を都合上第一層、その奥を第二層と呼ぶ事にしている。そして出てくるのは第一層の魔物のみであり、第二層以降の魔物は決して出てこない。これは推測になるが森は何層あるかもわからないくらい広く、全ての森で魔素は溜まり続けてる。ならすでに魔素で満たされてる第一層以外の魔素はどこへ行くのかという事だ。あくまでも推測になるが溜まり続けた魔素が一定周期で第一層に全て流れ込むのではないかと言われている。その為大量の魔素が送られた第一層で爆発的に魔物が増え森から溢れ出して来るとされている。ここまで説明すれば分かった人も多いと思うが、第一層に中級のダンジョンがあると危険度が激高するのだ。その為今現在国が総力を挙げて中級ダンジョンを攻略しているのだ」
なるほど納得できた。ダンジョンを攻略してはいけない事も同様の理由だろう。
「これに合わせて先程の答えも同じだ。第一層にある初級のダンジョンを攻略した為に、第二層の中級ダンジョンが第一層に来たりしない様に冒険者によるダンジョン攻略は完全に禁止されている。これはどこの国でも同様だ。ダンジョンの攻略はその国々により長期的な計画によって何処を攻略するか選ばれる。その為第二層の森に出る魔物も全て調べられている。当然現在攻略中の中級ダンジョンの奥にあるのは初級ダンジョンという事もわかってる。理解できたなら勝手なダンジョン攻略は絶対にしないようにな。歴史に残る犯罪者となりたいなら別だが」
確かにこれは時間をかけても説明する必要があるだろう。漫画等のように受付で簡単に登録を済ませる事は不可能だとよくわかった。
「さてここまで皆の不安を煽るような事を言ってきたが、1つ安心できる事実を教えよう。第一層全てが初級ダンジョンに変わった場合、数万規模の魔物だろうが最低5mはある城壁に守られた前線の街なら、ほぼ犠牲を出す事なくこの氾濫を乗り切れる事が歴史上確認されている。また、その時期には国の兵士の大多数が前線の街へ駐屯することになるので安心だ。当然冒険者も氾濫が起これば強制依頼として手伝ってもらう事になるので覚えておくように。レベルを効率的に上げられると思えばいいだろう。氾濫の時期だが森にいけばすぐわかるくらいに、魔物が異常発生する。それを確認したらすぐにギルドへ報告するように。それは忘れず覚えておけ」
数万の魔物でも余裕とは冒険者に比べ森を攻略してる兵士達はかなりレベルが高いのかもしれない
「どうしてもダンジョンを攻略したければBランク以上を目指す事だ。Bランクにもなれば国からの指名依頼として兵士と共にダンジョンの攻略へ参加できる様になる。Bランクは限られた人にしかなる事はできないが、この中からBランク以上となれる者が出る事を期待する。またダンジョンに潜るだけなら、各地にある管理ダンジョンへ行くといい。当然こちらも攻略すると同じ様に国から追われる事になるが、ダンジョンに潜る事は可能だ」
なるほどダンジョンに潜りたければBランクになり指名依頼を受けるか、管理ダンジョンと呼ばれる場所ならば自由に入れるってわけか。この管理ダンジョンだが、魔物は脅威だが資源でもあるって事だな。魔物から剥ぎ取れる素材が魅力的なダンジョンは常時冒険者が潜る事で素材を得ている。またダンジョン内の魔物を常に狩っている事から魔木もなくなりダンジョンの周りに街を作ってる場所が何か所もあるらしい。中には迷宮都市と呼ばれる場所がありそこには5か所ものダンジョンがある巨大な街らしい。この街の3倍はあるという話だからかなり大きい街だ。いずれは行ってみよう。
さらに中級ダンジョンの攻略が5年もかかってる理由も教えてくれた。ダンジョン内の魔物を長期にわたり狩る事によりダンジョンボスが徐々に弱体化するらしいのだ。中級ダンジョンのボスは上級の魔物と決まっており、弱体化させないとかなりの犠牲が出るためこんなにも時間をかけているそうだ。
「魔物の分布を書いてある地図もギルドの2階で販売してるので、買う事を進める。当然この街周辺のみの地図となるが第二層までは分かるようになっているので必ず役立つはずだ」
「講習は以上だ。長々と説明したが全て必要な事だ、覚えておくように。この後冒険者登録を済ませれば皆は冒険者となるわけだが最後に忠告だ」
「冒険者は魔物と戦う事がメインの仕事なる。当然危険だ。特に登録後は気持ち的に意欲に溢れている為、危険なのに自覚できない場合が多く、怪我や死者すら出る事が多くなる。いいか冒険者は臆病なくらいでちょうどいいんだ。何よりもまずは生き残る事を優先しろ!命なんて簡単に失ってしまう。いいな常に危険な仕事をしている事を自覚しろ!そして恐怖を知る事こそが生き残るコツだと知れ!1年後ここにいる全ての人が生きてる事を切に願う!」
インテリに見えるがかなり熱い人だ。つい敬礼したくなってしまった。周りを見ると目を輝かせている若い男の子、頬を赤くしてる女の子も見える。皆思う事があったのだろう。
そうしてると1人の女性が白い箱を持ち会議室へ入ってきた
「これにて講習を終える。呼ばれた人から前へ来てくれ」
名前を呼ばれた人が前へ行き、ステータスプレートを渡してる。プレートを箱にいれ何かしてるようだ。20秒程の時間でプレートを返した。
「冒険者登録をしたことによりステータスプレートが変化する。職業が冒険者に変化し、プレート上部左隅には剣と盾のギルドのエンブレムが、上部右隅にランクが表示されているはずだ。皆のランクはGと表示されてるはずだ。受け取った人はそれを確認後問題なければ部屋から出て行くように」
そうして順番に名前を呼ばれていく。どんどん人はいなくなり部屋の中には俺のみとなった。
「最後にタクヤ君前へ」
「さて君を最後にしたのには理由がある。すでにレベル20の君はDランクとなる資格を有する。だが登録後いきなりDランクにするには実績がなにも無い為無理だ。その為今回はEランクとさせてもらう。何度か依頼を達成することでDランクへ昇格させてもらう。問題ないか?」
「はい。何も問題ないです」
そしてプレートを出したのだが、手で静止された。どうやらまだ話があるようだ
「後一点聞きたい事がある。その歳でレベル20なんていうのは今まで私は見た事もない。たしかに不可能な事ではないだろう。実際に過去にはそういう人もいたようだ。だがそれはかなり特殊な状況に置かれた場合のみだ。今後の参考にもしたいので、どのようにレベル20まで上げたのか教えてくれまいか?」
ニックスさんにした話をするわけだが、また引かれそうで怖いな
「えっとですね・・この街まで同乗してきた商人の方にも話をしたんですが、かなり引かれたんですよね。引かないでくださいね」
そうして物心ついた頃から今まで森の中で生きてきた事を伝えた。どれだけ爺ちゃんが強かったかも。そして後悔した。
だって口を開けたまま固まってるんだもん。もっと別の話を作っとけばよかったと今更ながら思う。
「はぁ、やっぱりこういう反応なのか」
「ゴホン、ああ、すまない。あまりにもな話なんでな、つい・・」
「それだけ普通には考えられない話なのだ。すでに十数年も魔物と戦ってればそのレベルも納得だ。もし良ければその祖父の方の名前を教えてもらえないだろうか?」
やっぱ聞かれるよなぁ。ニックスさんは気にしなかったみたいだが
「実はですね、名前は知らないんですよ。何度か聞いてみた事はあるんですが、爺ちゃんは爺ちゃんだと言い張って教えてくれなかったんです。本当の祖父だったのかもわかりません。自分的には血の繋がりがあろうが無かろうか祖父と思ってますけどね」
「そうか残念だ。それだけの力を持った人だ。きっと高名な人だったに違いない。すまないね立ち入った事を聞いてしまって。それではプレートを渡してくれ」
そうしてようやく冒険者登録が終わった
名前 タクヤ
種族 人族
職業 冒険者(E)
年齢 18
Lv 20
スキル
剣術、アイテムボックス、気配察知
賞罰 無し
プレートを確認し、会議室より出る
これからが俺の冒険者としての第一歩だ
HTP 1318/30000
所持金 122万9800z




