10話
ゴクゴクゴクゴク
「プハー、うまいっ」
今日の狩りを終え、風呂上りにビールを一杯これだけは辞められない
基本そこまでビールが好きってわけじゃないんだが、風呂上りに飲むこの生ビールだけは美味いんだよな。至福の時を過ごしつつ、今日までの事を考える。
今こうして平穏があるのは本当このホテルのおかげだ。いきなり異世界に飛ばされ衣食住の全てをこのホテルが賄ってくれてる。それだけでなく、この世界で生きていく力さえもホテルの能力があってこそだ。そう考えるとホテルの力に依存しきってるともいえる。
だが、このホテルも運用する人がいなければただの箱と同じって事を考えると、お互いがあってこそだとも思える。今は回りは森しか無くホテルとしては、生かしきれてないがどうにかして、いずれホテルとして運用してあげたいと思う。今は無理だがその時まで待っててほしい。
「これからもよろしくな、相棒」
自然とこんな言葉が出た。なんとなくこのホテルが相棒だと自然に思えたのだ。転移前も支配人として20年近く過ごしたこのホテルに愛着はあった。この世界へ来てさらに愛着が増したようだ。
「おやすみ」
誰にいうでもなく、そうつぶやき客室のベッドへと向かった。
そしていつもの如く昼過ぎに起きてフロントへ
「おはよう」
再び誰にいうにでもつぶやく
「さぁ今日も1日がんばるか」
今日は簡単な食事にする。食パンにウインナー、後はポテトサラダを用意する。このポテトサラダだが業務用の1kの袋に入ったやつだ。冷蔵するだけで数か月は日持ちするようになっている。味も決して悪くはない。
簡単に用意できるもので食事を済ませ、訓練等をして夜までの時間を過ごす。今までの訓練の他に魔法の練習もする。魔法の発動までにまだ時間がかかる、魔力の移動がまだ意識しないとできないためだ。そのうち無意識にでも魔力の移動を可能にし、いずれは剣を振りながらでも魔法の発動を可能としたい。現状では歩く程度なら発動できるがそれ以上となると魔力の移動さえできなくなる。この魔物のはびこる世界で生きていく為にも、訓練をがんばるしかない。
そして再び夜を迎える
毎日の日課に魔法の練習を入れた為、少しでも回復を早めるため多少だが仮眠も取る事にした。また休憩中に鑑定でホテル周辺の物を見てみたらちょっとした発見があった。
ホテル周辺に生えてる30M近くはあるだろう巨大な木だが
魔木・・・周辺の魔素により作られた木、周辺の魔素が無くならない限り消える事はない。
そして地面に生えてる一見ただの草が
魔草・・・周辺の魔素により作られた草、周辺の魔素が無くならない限り消える事はない。
ちなみにこの草だが、簡単に抜く事はできた。しかし抜いた瞬間、霧のように掻き消え再び同じ場所に草が生えた。魔素で作られてると説明があったため、もし収納できればポイントになるかもと思ったがそう甘くはないらしい。生えてる状態でそのまま収納はできなかったので抜いたが、結局消えてしまい無理そうだ。こんな物がある事からこの場所はどうやら、普通の場所じゃなさそうだが、もしかするとこの世界ではこれが普通なのかもしれない。今は分からないので、いずれ街へ行った時にも調べてみよう。
そして他にもこんなものを見つけた。
薬草・・・魔素の濃い場所に生える。すり潰し傷口に塗る事で傷を癒す効能がある。
魔力草・・魔素の濃い場所に生える。そのまま摂取することにより多少だが魔力を回復させる。
これらはいずれ使い道がありそうだったので、採取して収納しといた。ここらはかなり魔素が濃いのか、かなりの数が採取できた。当然ながら、根こそぎ取るような事はしていない。ここを離れるまでにまた採取できるかもしれないしね。
そして今日はこれからが本番だ。
いつものように光に魔物が引き寄せられる。運よく待っていたゴブリンが4匹来ていた。いつものように、結界内から槍で3匹突き殺す。
さてここからだ。俺は残った一匹のゴブリンから少し離れた場所へ行き結界から出る。レベルが上がりゴブリンと比べるとステータスの差がかなりある。きっと大丈夫だと考え実践訓練を今日から始めようと思っていたのだ。
ゴブリンが結界内から出た俺を確認し、粗末なこん棒を振り上げ向かってくる。
きっと今までならかなりの恐怖だっただろうが今はかなり冷静だ。ステータスの差を分かってるのもあるがなによりノロい。動きが良く見え、動きそのものも遅いのだ。
ゴブリンがこん棒を横なぎに振るってくる。俺は冷静に後ろに下がり、こん棒を避ける。そのまま剣を振り下ろせば簡単に倒せるだろうがまだ殺さない。今度はこん棒を両手で振りかぶり攻撃してくる。
パシィ
こん棒を片手で受け止めた。少しピリッと感じただけで痛くもなんともない。顔がニヤケるのを感じるとゴブリンはこん棒を離し逃げて行く。
20M程離れたとこでゴブリンを追いかけるがあっという間に後ろに追いつきそのまま背中に剣を突き刺す。
「余裕だな・・」
ゴブリン1匹なら何の問題もなく倒せる事がわかった。今までの事を考えるとやはり顔がニヤケる程度には嬉しいらしい。やはりファンタジー世界に来て魔物を倒すということに強い憧れを抱いていたようだ。
さぁこれからだ
その後も戦闘訓練を続けた。ゴブリン相手なら4匹までなら無傷で倒す事ができた。5匹以上になると多少の攻撃を食らう事になった。ステータスの差がある為かこん棒程度の武器しかもっていないからなのか分からないが、たいした怪我にはならなかった。
狼相手にも同じような感じだ。速さ的にはゴブリンより早いのだが、武器を持つゴブリンよりもリーチが短い為か、余裕を持って対処できた。ただやはり集団となると、無傷というわけにはいかなかった。今後、多対1の訓練をつんでいけば問題なくなっていくだろう。戦闘なんてこの世界に来て始めてしたのだから仕方ない。当然怪我は魔法で治癒した。
基本群れではなく一匹で来る猪に関してはもっと簡単だった。確かにこちらへ突進してくる速度と力強さはかなりのものがあるが、まっすぐ来るだけなので直前に横に避け真横から首を斬る事で簡単に倒せた。唯一オークだけはいまだ倒せそうにない。やはり結界からの安全な狩りをしている。ヘタレと言われてもやっぱ命大事にだね。
今後もこのまま魔物を狩り訓練を続ける予定だ。おそらくだが一か月もあれば次のランクに上がり更に強くなれるだろう。そしてランクが上がればこの森を抜けて街を探してみるつもりだ。ここからどのくらい離れた場所にあるかはわからないが、まずは森を抜ける事を目標にしようと思う。
そんな目標を作り今日は寝る事にした。




