弱点
『魔物から獲れる魔石、そいつを剣と盾は吸収して成長したんだ。
それに応じて、剣と盾の小さかった装飾と宝石もきれいになっていった。
それからは楽しかった。
どんどん魔石を集めてどんどん俺たちは強くなっていった。』
『そしたら、剣と盾に、いままで見たことがないくらい大きな宝石が表れたんだ。
その日のことは、今でもよく覚えている。
毎日眺めたり汚れたら綺麗にしたり。
嬉しかった。すげえ強くなれる気がした。
それと同時に
剣と盾がずっしり重くなったみてぇに感じて、手が震えた。怖くなったんだ。
光をうけて輝く宝石を見た時、いつの間にか大ききつよくなった剣と盾を見た時。
俺に資格は、こいつを持つ資格はあるのかってな。』
『これからは俺もこいつらと強くなってやる。
そう決めた。
実際、強くなった。会う魔物全部倒して魔石も充分獲れたしギルドでも有名になった。』
『だがな、それもいつまでもは続かなかった。
誰も見たことのない魔物に俺は、負けたんだ。
噂には聴いたことがあった。
物理攻撃が通じない代わりに攻撃もしてこない魔物。ただオウムのように言葉を喋るだけの魔物だった。
もう少し、もう少し、もう少し、たまにその魔物が表れては、言葉を繰り返す。俺は最初は無視した。
あるとき、暇なときに、もう少し働こうかと思って働いた。
お金にもなるし他の人のためにもなるしな。
その時間が、ほんの少しずつ、少しずつ増えていった。
気がつくと、たまに聴こえていた魔物の声はいつも聞こえるようになって、いつも働くようになった。
休むことを忘れ、剣と盾を使い続けた。
それが自分のためにもなるし、剣と盾のためにもなる、そう思っていた。
だが、突然、限界がきた。
剣と盾が真っ二つに割れた。キラキラと輝く宝石はくすんで濁っていた。
取り返しのつかないことになってから、自分が間違っていたことに気が付いたんだ。
それから、、』