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海色を隠していただけなのに、いつの間にやら無口のレッテルが貼られていた。口を開けば海色の小瓶を自慢していたのをやめたのだから、それは必然でどうしようもないこととも言えた。だからと言って孤立したり苛められたりするわけでもなく日常を過ごしていたから気にしていなかった。
みんなが海色を忘れただろう頃に幼稚園を卒業し、小学校に入学した。小学校には違う幼稚園だった人達も通ってきていた。そこで私は初めて孤立した。
「アリカちゃんってどうしてお話しないの?」
クラスメイトに直接こう聞かれて答えられずに俯いていたら、その子の取り巻きに囲まれた。
「どうして答えないの?」「ミサちゃんのこと無視して可哀想だよ」「せっかくミサちゃんが話しかけてくれたんだよ」
違う、そうじゃないの。ただ話すことがないだけ…。
そう答えた声はびっくりするくらい小さく弱々しく、震えていた。
「アリカちゃん震えてるの?大丈夫?」
そう言うミサちゃんの顔は笑顔で、何か、何かがとてつもなく怖かった。
タイミングよくチャイムが鳴りみんなが席に着く。ミサちゃんが1度こっちを振り向き、ニヤっと笑った。