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どう進むのか分かりませんが、書いてみようと思います。
私の小指ほどの小さな小さな瓶の中には、綺麗な海色の液体が瓶の半分ほど入っていた。
この瓶を手に入れるまでの過程は知らない。何しろ物心ついた頃にはこの液体は既に私のものだったから。
10年ほど前、私がまだ幼稚園児だった頃。この綺麗な色をした液体が宝物だった。そして私はその宝物をみんなに自慢していた。この頃、瓶の内側は海色で満たされていた。
自慢していると、やっぱり羨み僻む者が出てくる。ある時いじめっ子のケイくんに瓶を取られてしまった。返して、返さない、と奪いあっているうちにケイくんは何を思ったのか、瓶の蓋を開けて海色を一口飲んだ。絶句する私にニヤニヤと笑って見せたのも束の間、次の瞬間には苦しみだした。投げ出されそうになった瓶をとっさに掴み、もう奪われないようポケットの中に隠した。ケイくんの苦しむ声に気付いた先生がやって来た時にはケイくんは既に動かなくなっていた。救急車が幼稚園に来てケイくんを病院に連れて行った。先生は怖かったね、もう大丈夫だよ、そんなことを言いながら私を抱きしめた。
次の日先生がみんなに、ケイくんは遠いところに行ってしまったと伝えた。ケイくんが瓶の中身を飲んだことは誰にも見られていなかった。この瓶の海色が危険なものだと知り、自慢することをやめた。
海色はケイくんに飲まれた分、海色は瓶の4分の1ほど減っていた。この宝物をこれ以上減らしたくないと思うとともに、心の中には強い優越が生まれていた。
1人目。