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ネバー・ゲーム ーその3ー

 ネバー・ゲームをはじめて三日目、レベルはザコを倒しまくり10になっていた。

 もはやネバー・グラウンドでは俺にかなうものはいない。

 そしてこの世界の女たちは俺のもの。

「ムフフ」な時間は楽しく味をしめたいた。


「おい時間だ。次の世界に行くぞ!」

「もう、この世界だけでいいや。満足だしな」

 エミルはそんな俺を見かねておもいっきり蹴ってきた。


「痛っ! なにしやがる、俺はこの世界の覇者だぞ?」

「調子に乗るなよ、覇者でも同行人には手出しできない。それがルールだ!」

 相変わらずエミルは規則に厳しいようだ。

 まあ仕方ないことだが……

 ユーザーが違反したときに裁かなければ自分の命が危ない。

 管理人ルシアの作ったルールだからだ。

 ルシアはそれだけネバー・ゲームでの地位が高い。


「あのさぁ、ルシアって子なんだけど何なの?」

「管理人だ。それ以上何物でもない」

「もしも逆らったらどうなるんだ?」

 エミルはこれまでにない形相で、俺を殴ってきた。

 どうやら聞いてはいけないことを、聞いてしまったらしい。

「ユーザーの分際で生意気な口をきくなよ!」

「ゴッ」と鈍い音が聞こえると俺は壁に頭を打ちつけられていた。

「ごめんなさい」


 管理人ルシアはそこまで恐ろしいのか?

 あんな子供がか?

 どうしても納得がいかない―――


「何をしている身支度をすませろ。次の異世界に行くぞ」

「はい」

 俺はエミルのほうが怖くなって仕方なく言うことをきくようにした。


 虹のゲートをくぐると、第二異世界ネバー・シャンパーニュにたどり着いた。

 シャンパーニュは江戸の町ぽいところだ。

 セーブポイントがあったので冒険の記録を書く。

 これで、この世界の旅がはじまるわけだが、覇者は何でも刀の使い手らしく勝てるかどうか不安だ。


「さあ、この世界のギルドに行くぞ」

「待てよ、俺にだって心の準備が……」

 ギロリとにらみつけられたので素直に従うことにした。


「あ~、新しいサムライさんかい?」

「おう、登録を頼む」

 また、勝手にギルドの一員にされ、覇者を倒しに行く事となる。


 城下町についたところで、エミルが違う武器を差し出してきた。

「これ竹刀じゃねーか! 相手は真剣なんだろ? 勝てっこない」

「不満か?」

「いえ……」

 もうどうにでもなれと腹をくくった俺は言われるがまま城に乗り込んだ。

 まるで時代劇みたいに家来の真剣を持ったサムライたちが次から次へと押し寄せてきた。

「こっちは竹刀だぞ。マジ死んだし!」

 そう叫んだ瞬間に竹刀から炎が上がって、燃える竹刀になった。

 エミルを見るとガッツポーズをしていた。

「燃える竹刀だ、がんばれ!」


 がんばれって言われても……

 俺は勢いに任せて無我夢中で、その竹刀を振り回した。

 あたりは火の海になる。


「こいつ、妖術をつかうぞ。ひえぇ~」

 家来たちはあわてて退散していき、ついにネバー・シャンパーニュの覇者である鬼サムライのキンジロウが出てきた。

 そいつは悪代官みたいな顔つきで、いかにも悪役といったいでたち。

「やるな、お前。まさか伝説の武器を使うとは。だが俺には勝てんぞ!」

「キンジロウさま、やっちゃってくださいな」

「御意、オハナ下がっていろ」

 キンジロウの同行人である、オハナが刀を渡す。

 その女は清楚ないでたちで着物をきて時代劇のお姫様といったところか。

 オハナに見とれていると、キンジロウが先手をうってきた。

「セイッ!」

「ひいい」

 その太刀筋は見事で、よけるのがせいいっぱいだ。

「ほう、俺の剣技をよけるだけの身体能力はあるみたいだな?」

 今度は突いてくる。


 燃える竹刀はあたりを燃やす能力はあるみたいだが、いっても竹でできている真剣を防ぎようがない。

 もう一度エミルに視線をおくると口笛を吹いて知らん顔。


 この女――

 なめてるのか?

 まさか俺が勝てないとわかって諦めたのか?

 ふつふつとこみ上げてくる怒りに拳を握りしめ俺は燃え上がった。

 体が、だ。


 炎の包まれた俺の体は、なんともしれないパワーがみなぎる。

(勝てる!)そう思うとキンジロウに竹刀をふるっていた。


「なんだ、こいつ竹刀で真剣と勝負する気か?」

 あきらかに、キンジロウは後ずさりした。

 俺の気迫と、燃え上がった体にビビったらしい。


「お前を倒す!」

 俺が竹刀の先をキンジロウに向けたとき腰を抜かす。

「うわぁ、先っぽを俺に向けるな」

 まさかの先端恐怖症だったキンジロウに、そのまま竹刀で胸を突くと倒れた。


「勝った……のか……?」

 パチパチと握手をする方向を見ると、エミルが笑っていた。

「さあ、オハナどうする?」

「くちおしや~。仕方ありません、ワラワも同行人の一人何でも言うことをお聞きしましょう」


 そういうわけで、俺はオハナを早速料理することにした。

「あ~れ~」

 オハナ着ている着物の帯を引っ張るとくるくると回るベタの展開になる。

「いっただきまーす!」

 そのまま大人の遊びにハッテンしていく。


「まさか、第二異世界も制覇するとは思ってもいませんでした。フフフ、さあどうします?」

 そこへ現れたのが管理人ルシア。

「あのさ、一体どこまで異世界あんの?」

「全部で5世界あります。次に行きますか?」

「もちろん! もはや勝てる気しかしねーからな。エミルもいるしな」

 肩に手を回そうとしら、エミルの拳がまた顔面にはいった。


「調子にのるな!」

「はい……」

「でも、嬉しいぞ……」

 あからさまにエミルは顔を真っ赤にしていた。


「エミルさん、同行人のことはわかっていますよね?」

「あ、うん。わかっているよ」

 ルシアの言葉にあわてて真顔のもどり、咳払いをしてまた顔面パンチをお見舞いしてきた。


 なんだ?

 ルシアは管理人で、エミルは何を動揺したんだ?

 もしかしてユーザーと同行人の恋愛禁止とか……

 まさかな――――


「何を考えている? 現実の世界に戻る時間だ。冒険の記録を書け」

「はい」

 とりあえず今日のネバー・ゲームは終了する。


「ニッハオー、デッド・フォーさま。情報をおつたいするヨ。キンジロウまでもが倒されたアル」

「ほう、久しぶりにいきのいいやつが現れたな。楽しみだ」

 第三異世界ネバー・チャイナンで怪しく笑う覇者がいた。

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