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ネバー・ゲーム ーその2ー

 管理人ルシアの言う通り他のユーザーに会えるのだが、それはゲーム内での話。

 俺はルシアの手引きでゲーム内に入ることに成功する。

 ここは第一異世界ネバー・グラウンドというみたいで、ヨーロッパなみの街並みがつづる。

 覇者のチータが治めている。

 治めるといっても力で支配している感じ。

 俺のレベルは『1』で初心者バリバリ、万が一でも勝ちめはない。

 まず、手始めにギルドに行くことを同行人のエミルにすすめられたので行ってみる。

 ギルドの隊長に挨拶をしてから正式なギルドメンバーとして迎え入れられた。

 エミルが勝手にチータと戦うことを手続きする。

「チータに勝ちたいだぁ? 何言ってやがる新人のくせして!」ごもっともだ。

 いい笑いものにされた俺は、エミルの手を引っ張りギルドを飛び出した。


「何言ってんだよ。俺、戦う気はないからな!」

「ネバー・ゲームで戦わなければ死ぬぞ?」

「はあ? なんでだよ。そんなの聞いてねーし! そもそも女の子と出会ってやれるってウワサだったのに」

 エミルは腕を組み鼻で笑いとばしてきた。

「確かに欲望の限りを尽くせるさ。それは各異世界の覇者を倒して自分が代わりに覇者になることでだ」

 結局戦って勝利しなければ願いはかなわないらしい。

 だが、レベル1の俺がどうあがいたって勝てるわけがなく途方にくれた。

「心配するな、あたしがついている。いざとなったら伝説の武器を貸してやる」


 は?

 伝説の武器?

 それだけで勝てるのか?

 ――――そんなことをあれこれ考えていたら、エミルが俺の手をひっぱりチータのいる城へと連れていかれた。


 行った瞬間に俺は強敵、チータと戦うはめになる。

 モヒカンでいかにも悪そうな面構えをしていた。

「またチータに勝つつもりで新しいやつを見つけたの? ムダなことをまたするわね」

 チータの横にいた女は同行人のナタリアだ。

 俺は恐怖心にかられ逃げ出そうとした。

「おい、逃げるな。罰をあたえるぞ?」

 エミルは俺の首根っこをつかんで、ムリヤリそいつと戦わそうとする。

「勝てるわけないじゃん。俺ケンカとか弱えーし、あいつ筋肉ムキムキじゃんか」

 泣きべそをかく俺を見て、チータは「ガハハ」と笑い容赦なく攻撃を仕掛けてきた。

「ヤベーし、超ヤベーし」

 岩を砕くそのパンチにビビり腰を抜かす。見かねたエミルが武器を渡してくれた。

「大丈夫だ、この剣を使え。伝説の武器だ」

 それはダンボールの工作で作ったような紙でできた剣だ。


 アホか――

 こんなのでどう戦えって言うんだ……

(死ぬ)そう思った瞬間、その剣は重みを増してきて本物の剣へと変化した。


「お前は選ばれしものだった。よかったな」

 エミルは親指を立てて「グッ!」と少し笑った。


「そんな剣で俺をどうにかできるとでも?」

 チータは恐れ知らずで向かってくる。

 剣をかまえて俺は応戦した。

「こうなりゃ、いちかばちかだ!」

 剣を縦に下ろした瞬間、稲妻が走りチータに直撃した。

 チータは倒れてネバー・ゲームから脱落した。

 脱落者はペナルティとして、意識を失い原因不明の死に至るらしい。

 もし負けていたらと思うとゾッとする。


「エミル、その剣を使えるやつが現れたのか?」

 ナタリアはエミルに話しかけた。

「ナタリア、あんた自慢のチータもこれで終わりだ。これからはこいつがこの世界の覇者だよ!」


 俺が覇者?

 この世界で一番偉くなっちまったのか?

 え――――!!!

 とりあえず頭を整理することに……


「何をボーとしている? 覇者になったんだ喜べ」

「はあ……ははは」

 かわいた笑いをする俺の目の前に、ネバー・ゲームの管理人ルシアが現れた。

「ここにとどまるか? それとも次の世界に行って異世界統一を果たすか? 選択してください」

「得はあるのか?」

 俺はそんなことを口走った。

「十分にあります。どんな願いもかなうし、ハーレムだって夢じゃないです」

 その言葉を聞いて俺は次の世界に足を踏み入れることを決めた。

 だがその前に、この世界で欲の限りを尽くすことにした。

「ご主人様、年代物のワインが入りました」

「おう、苦しゅうない。ナタリア、キスをしろ」

「はい、ご主人様……」

 相手を倒したら、その同行人を自由にできるというルールに従い俺はナタリアを初めての女にした。

 ネバー・ゲーム、戦うというリスクはあるが最高に楽しいSNSだ。

 そして、俺は欲の限りを尽くし現実世界へと戻った。


「何、チータが初心者に負けただ。しかもレベル1だと? どこのどいつだ。たたき切ってやる!」

 第二異世界ネバー・シャンパーニュの覇者で、鬼サムライの異名を持つキンジロウが目をとがらせていた。

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