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死に損ないの修正者  作者: アスネ
1/1

「死の世界(プロローグ〜第一章)

入り組んだ世界設定ですので、本文ではご不明な点がたたあるかと思います。どうぞ、お気軽に質問してください。


不定期に投稿します。pixiv→なろうな感じで投稿します。(いや、ほぼ同時)

よろしくお願いします。

pixivサイト

http://www.pixiv.net/jump.php?http%3A%2F%2Fpixiv.me%2Fakane_06291222

プロローグ



あの日から世界はモノクロに変わった。

新しい日が来ても、時が止まったかのように動けずじまいだ。

周りに人は言うんだ「忘れろ」って。

でも、そんなことは出来ずまた今日も、”あなた”を探す。



見慣れた駅のプラットホーム。乗り換えの多いこの駅では、頻繁に人が行き交う。少女はその間に入って流されるようにして歩いた。

灰色でくすみのかかったような空は十二月特有だった。そんな空の下ではピンクやもモスグリーンで彩られたLED。ベルの音が輝きを放つ。俗に言うクリスマスというやつだ。そういえばそんな行事が近いなと、ダッフルコートに両手を突っ込む。そのまま少し俯き加減でクリスマスの話で盛り上がる、少女と同じ女子高生達から離れた。

今年になって高校生になったのだろう、ローファーが真新しかった。それに、どこか彼氏が出来て初々しさを感じされる顔立ちだった。

そんな頃が自分にもあったのだなと、少女は無表情に女子高生達を見た。同じ高校生なのに違う。そんな風に少女は思えてならなかった。

その時間はたった三ヶ月足らずだったけれど。その三ヶ月がとてつもなく楽しかった。

少女のつまらない人生の中で唯一とも言えるだろう。



「会いたい・・・」



苦し紛れに少女が呟いた声は、朝の混雑したプラットホームに溶け込んで消えた。

もう一度呟く勇気はなく、ただ涙が溢れた。

恋人を失ってはや二年。世界はこんなにもつまらなくなった。

今までなら楽しかったこのイベントも、ただの苦行でしかない。

あなたがいないとうのに世界は何も変わらない。面白くもない。なんでと何度呪ったことだろうか。

”三番ホームに電車が参ります。危険ですので黄色のブロックの外側より離れて――――――・・・”

代わり映えのないアナウンスが流れる。それにつられて、ぞろぞろと人は列を作って並びだす。

隣を見れば、楽しそうにクリスマスについて話すさっきの女子高生達。チキンの食べすぎで太ったとか、そのまま鳥ではなく豚にでもなれという会話で楽しんでいる。

後ろをちらりと何気なしに見やれば、忙しそうなサラリーマンが少女の目に留まった。これまたかわいらしい弁当包みを大切そうに持っている。きっと職場では昼になれば、また愛妻弁当かと、からかわれているのだろう。それでも幸せそうなのがうらやましい。

そんなどうでもいいことを考えていると、ひとつあることを思い浮かぶ。

死んだ人間は天国に行く。

それは誰もが知っている迷信だ。悪行を起こした人は地獄行きというのも、お約束なほど。

じゃぁ、あなたはそこにいるのだろうか。幸せだという天国に。

なんてね、と少女は笑って見せれなかった。



「あっ」



そう、誰かが呟いた瞬間、プラットホームからは少女の姿は消えていた。

そして、規則正しくいつものように電車は三番ホームを通過して行った。





暗闇の中で透き通った声がこだまする。ぼうっとした、はっきりとしない意識だった。

そして、何度目かの声でやっとその意味を聞き取れた。



”死んで良かった?”



そう、声は聞こえる。どうしてこんな質問をするのかは知らないが、少女はただ卑屈に笑った。



「良かったと思う」



答えると次の質問が来た。



”生き返りたい?”



今度はさっきと打って変わって険しい口調だった。

これにも少女は卑屈な笑みを浮かべて笑った。



「死にたい人の理由って―――――――」



どうしてこんなことを聞くのかは本当に分からないが、少女の人生はめちゃくちゃだった。

だから、生き返りたいかと聞かれたら答えは





「死にたいからなんだよ」





だからあるわけ無いじゃんと、少女は寂しそうに笑った。



第一章





駅のプラットホームは混雑していて、依頼人ターゲットを見失いそうになる。さすがに反対側のプラットホームの屋根から監視していればそんなことはないが、この人ごみにまぎれたら最後だろう。

それにしても、そのその人ごみが今回はやけに騒がしい。口々に『ジングルベル ジングルベル』と無駄にうるさいし、ここは日本で思いっきり仏教だし葬式にお通夜もするだろーが。と、いいたいがこの世界の住人には言っても意味は無い。

どうでもいいかと、再び依頼人に目を向ける。

”三番ホームに電車が参ります――――――”

アナウンスが響く。もうすぐだ。一応の確認と思い、人ごみの中で依頼人を監視する相棒に連絡を取った。

「もうすぐだぞ。依頼人を頼むな」

右耳につけた小型通信機からは『了解~』と腑の抜けた返事が返ってきた。それに本当に大丈夫なんだろうなと、不安になるがあいつが喰われたところで作戦は変わらない。

愛刀の”鋼木刀”を構え、その瞬間を待った。





また同じ駅のホームらしかった。どの駅のホームも似ているから、ここがいつもの駅とは限らないが違うのは確かだと少女は思った。

現にうざったい女子高生達やサラリーマンが見当たらない。といっても、そんなの本当に毎日見ていたかと、疑いたくなるくらい、いつもの駅を覚えていなかった。代わりに中学生くらいの女の子が寒そうに凍えている。

見たことのない制服姿だった。それを見て、ここが本当にいつもの駅でないことを知る。といっても、いつもの駅というのが分からない。思い出そうとすると、頭にくすみがかかってくらくらする。気持ち悪い。

ここが自分の知っている駅でないことは分かったが、何故ここにいるのだろうか。そんなことさえ分からない。急に何も知らない地へ投げだされたような気がして落ち着かない。

とりあえず何かのドッキリか知らないが、いい迷惑だ。

辺りを見渡して仕掛け人のような人を探すも、周りの人達はただ目的地をへと歩くロボットのような感じで、人間味がなかった。というか、自分にはそんなことを仕掛けてくれるような人はいないだろうな、と思った。

ふと目にとまった向かい側に停滞している電車に知らない顔が映っていた。その顔はガラスに反射してこちらを見ているように見える。

黒髪のミディアムの髪を、左耳から右耳へと流す少しロックを思わせる髪型。つり目のかかった目は疲れたように、まぶたが垂れ下がって普通になっていた。ダッフルコートにチェックのスカート、黒のニーハイにローファーとどこにでもいるような高校生らしい。

それが自分の姿だと気づくのに、少しばかり時間がかかった。

どういうことだろうか、自分の顔さえ分からなかった。まさかと思って、右肩に下げている鞄にを探ってみるも、自分の身元が分かるようなものはなかった。ジャラジャラとキーホルダーが揺れるだけだ。

まさか自分のことも分からないとは。これはドッキリでもなんでもないらしい。現実だ。

考えろと脳に指令を出すも何も思いつかない。例えば自分の名前、過去を思い出そうとするも、全く思い出せない。今自分は生きているのだから、生んでくれた両親がいるはずだ。しかし、母や父の姿、家族がいたかどうかもも分からない、思い出せない。



するといきなりプラットホームの奥で叫び声が聞こえた。

「女の子が落ちだぞ!!」

どうやら線路に女の子が落ちたらしい。近くまで言ってみると、さっきの凍えていた女子中学生だった。

周りの人はただ騒ぐだけ騒いで、助けようとはしない。誰かが緊急停止ボタンを押したらしいが、今かと迫ってくる電車は一向に止まらない。

誰か助けなさいよと、周りに目を配るも隣にいた幸せそうなサラリーマンの顔は、はりぼての人形のような顔だった。そして、体にも目をやると、同じようなはりぼて人形で、うるさかった女子高生達も同じような様子で、辺りを確認すれば自分と女子中学生以外まともな人間はいなかった。

それに、どことなく地面や空が歪んで見える。

一瞬にして周りは崩れるようにして変化していった。



クラクションの音で再び線路に目を向けると、もうすぐそこまで電車は迫っていた。このままでは女子中学生はひき殺されてしまう。

そう、思ったが違った。

汚い叫び声が聞こえたかと思うと、電車は姿形を変え、黒々しい電車に変化していく。形は電車という原型を残しつつも、黒々とした液体のような物体はところどころ、ドロドロと黒い液体が垂れ流れている。

それに、前面には大きな紫色の目玉が現れギョロっとこちらを見ている。

その下には大きな口裂け女のような口が現れ、不気味に笑う口からは、鋭そうな歯を覗かせながらこちらに突進してくる。

車窓や車体のいたるところにも、様々な大きさの紫の目玉があり、いつも監視されている気が止まない。

だからか、体が硬直して動けなかった。

「助けて!!ねぇっ、誰かっ、だれかぁーっ」

女子中学生も足がすくんで動けないのか、小鹿のように震えて助けを呼んでいた。

しかし、周りにいた人間はもう、ただのはりぼて人形。体をうねうねとくねらせている。プラットホームの時計も、地面、周囲の建物さえも形が不安定に歪んでいる。

「嫌っ、・・・死にたく、死にたくなんてないっ」

再び少女は叫んだ。死にたくない、と。涙を流しながら助けを祈っている。

何故かその”死にたくない”という言葉が体を動かした。

気づけば鞄を放り出し、線路へと飛び出して女子中学生を反対側のホームへと助けていた。自分の訳の分からない行動に驚きながらも、反対側のホームへと上がろうとする。しかし、足が線路に引っかかって動かない。

もう電車の黒い化け物はそこまで来ている。

不気味な笑い声がダイレクトに届く。それにもうだめだなと悟った。





「アイハ!!」





そう声が聞こえた。そして、目の前まで迫っていた化け物を声の主は、軽々と銀色の木刀で跳ね返した。

気持ち悪い悲鳴を上げながら化け物はドゴッン、ドゴッンと音を立てて回転しながら、反対側のホームに止まっていた電車に激突した。

くるりと銀色の木刀を構えた少年はこちらを振り返り、線路に挟まった足めがけて木刀を振り下ろした。

ガキッン!!

銀の木刀と線路からは金属同士の甲高い音が聞こえ、おそるおそる足元を見ると、足に挟まっていた線路は粉々になっていた。

なんとも言えない神業に圧巻していると、少年は険しい顔つきになった。

「依頼人ターゲットは無事か?」

右耳に付いている通信機に向かって喋っているようだった。

”こっちはOK。けど、そっちは大丈夫そうじゃなさそうだな”

「雑魚だからすぐに仕留められる。でも、やっかいなことに採用試験と被った」

”あらら。んじゃぁ、面倒ごとはそっちに任せた”

ブチっと通信が途絶えたらしく、少年は顔をしかめている。

金メッシュの短髪をわしゃわしゃと左手で掻きながら、めんどくさそうに口を開いた。

「一緒に戦うぞ。俺は援護しかしないから、頑張って戦え」

今、なんと言っただろうか。

タタカエ?そんなバカな。あんな化け物に丸腰でどう戦えというのだろうか。そんな無茶なと思ったが、少年は本気らしく、来るぞと言って化け物のほうへ視線を向ける。

一緒になって化け物へと視線を向けた。黒々とした電車は少年に傷を受けた部分が溶けていた。黒い液体がドロドロと大量に吹き出ている。

そして、極めつけは目の数だ。大きい目から小さい目と、様々なところに無数に目があって見ているだけで気持ち悪い。

「舌の所に赤い目玉が見えるだろ。それが核だ。それさえ壊せば夢喰バグは死ぬから」

簡単に説明してくれるが無理だろう。なんせそんなやすやすと弱点を出してくれる様子ではない。ギェーギェーと唸ってはこちらを威嚇して、今にもこちらに突進してきそうだ。

「あれとどう戦うの?」

呆れたと言わんばかりの口調に、少年は戸惑いを見せる。

「なんでもいいからあの目玉を壊せばいい。じゃないとここから出られないんだ」

「なら、あなたでもいいと思う」

正論である。

何も自分が戦わなくてはいけない理由などない。

「俺じゃ無理だ。倒しても生き返ってしまう。これはアイハの夢喰だから」

意味の分からないことを言うやつだなと思った。

とりあえず、なんでもいいからあの化け物を倒さないことには話が進まないらしい。

適当に分かったと告げ、夢喰バグというらしい化け物の正面に立った。距離は百メートル少し。突進してくれば数秒で、あの大きな口で飲み込まれてしまうだろう。

「はぁ!?おいっ、そんなとこからじゃ――――――――」

少年の忠告が聞こえたが時すでに遅く、夢喰は突進を始めていた。

間八十メートル、七十メートルと徐々に接近してくる。その度に夢喰の口元は大きく大きく見えた。

どうしてか食べられてしまいそうだというのに恐怖が全くなかった。どちらかというと、早く死んでしまいたいなんて思っていた。

ぎゅおぉぉぉお―――!!

大きなうねり声が聞こえ、夢喰は大きな車体を持ち上げ頭から丸呑みにした。

遅れて、

バクッ!!という効果音が少年の元に聞こえた。

それを見て少年は叫んだ。

「アイハ――――!!」

誰なのか分からない名前を呼び続ける少年。その声は夢喰の口の中にいる少女まで届いた。

うるさいな、なんて思った。どうして自分から戦えと言ったくせに、そんなにも悲しそうに叫ぶのだろうか。分からない。

何も分からないけれど、なんでこんなにも悲しいのだろう。

瞳は潤んでいた。そして、無性に胸が苦しくなる。夢喰の中にいるからではないその痛みは、体中を刺激した。そして、脳裏に知らない場面が映し流される。

楽しそうに笑っている男女。手を繋ぎながら道を歩いている。顔はぼやけていて見えないけれども何か話していることは分かった。その内容が一瞬黒塗りの背景に白い文字となって見えた。

男のほうが優しく”守って見せるから”というと、女は首を横に振った。そして、再び文字が流れる。”自分で戦える”からと女は言う。そして、続けて







”私が守って見せるから”









少年はただ立ち尽くしていた。

まさかこんなことになるとは思っていなかった。たとえ状況が理解不能な場面だとしても、生きようと思う気持ちは同じだと思っていたからだ。実際に仲間のみんなはそうだ。生きるために戦っている。

しくじったか・・・

取り返しがつかないが、最悪の事態は防ぎたい。

木刀を構え直して突撃しようとした時だった。

ぎゅうぇぇぇ―――――っっ ぎゅうえぇぇえ――っ

夢喰バグが苦しそうに叫んでいる。いつもと同じ気色悪い叫び声だった。

何度目かの鳴き声が続いた瞬間、ザッ!!と音を立てながら赤黒い剣が夢喰の体を貫いた。幅二メートル、高さ五メートル、太い剣だった。

ザシュッ! ザザシュッ!!

何本も立て続けに突き出てくる剣は、七本目でようやく止まった。そして、あんぐりと大きく口を開いた夢喰から、さっきの少女が現れた。

少女の体は夢喰の返り血を浴びて、所々が黒ずんでいた。

颯爽とこちらに歩み寄る少女。剣は一吹きの風で粉々になったかのようにして、少女の右手に棒となっえて収まった。

本当にこれって採用試験なのかよ。

これまで見ていた限り、これほどまでに圧巻な戦いっぷりを見たのは初めてだ。それも、新人でとなると余計に。

こりゃぁ、期待のルーキー登場だな。

だからか、胸が高鳴った。そして、直感的にこの少女を放っておけないと思った。理由は分からないが、ものすごく少女に興味を抱いた。

「ねぇ、これで良かった?」

感情のこもっていない口調だったが、夢喰はすでに消滅し始めていた。辺りの建物や空も崩れかかっている。この世界が消えるのも、時間の問題だろう。

「あ、あぁ。けど驚いたな。初めてでこんなに強いなんて」

「・・・?それより、ここってどこ?それに記憶もあいまいで、一体何が起きて――――――」

少女が少し起こり気味に目を吊り上げていると、後方から声が聞こえてきた。

「シュウー!!大丈夫だったかー?」

バタバタっと、こちらへ走ってくる声の主。腕には依頼人ターゲットである女子中学生を抱えている。いわゆる、お姫様抱っこというやつだった。

女子中学生はあまりの恐怖に気絶していた。

「あぁ、なんとか。この新人が一発で仕留めた」

「WOW そりゃぁ凄いね。んじゃぁさ、早く帰ろうぜ。もうこんなとこいたくねー」

ぶつぶつと文句を言い始めだした。

少女はそんな光景を見ながら、唐突にアイハって誰と言い出した。

「んー?俺はハスキ。よろしくね、新人ちゃん」

「じゃぁ、そこで気絶している人?」

ハスキの腕の中で気絶している女子中学生に、人差し指を向ける。そして、首をかくんと右に傾ける。その仕草がとてつもなくかわいらしかった。

よく見れば整った顔立ちをしている。少し吊り目の瞳が印象的だった。

「この子は依頼人。名前は・・・、あっ。名札に本城かなってかいてある。違うみたいだぜ」

これにもハスキが答えた。

少女はふーんと頷き、次はこちらに視線を向けた。

「あなたがアイハ?」

「俺はシュウ。って本当に分からないのか?」

うんと短く頷き、右手に収まった修正器の棒を振り回す。赤黒く長さ五十センチほどのそれを伸び知事身させながら、遊んでいた。

しょうがないなと、種明かしをするように少女に答えを告げようとした。そのときだった。

視界の片隅で黒々しい物体が動いた。それはもの凄い速さでこちらに近づいてくる。

「危ないっ!!」

少女に向かって忠告した瞬間、ザシュッ!!!と鋭い音が聞こえた。

ぎ、ぎえぇ・・・

小さな黒い塊となってまで突進してきた夢喰バグは、少女の右手にあった棒が剣に変形して貫かれた。

少女を食べようとしたのが運のつきだろう。

ザッン!!と少女は剣を軽く横払いして、夢喰をなぎ払った。

「目、潰すの忘れてた」

けろっと言って見せるも行動はえげつなかった。

棒を再び剣に変形させ、夢喰の赤目玉へと刺す。そして、何事もなかったかのように消えた夢喰を確認してから、



「で、アイハって誰なの?」



と、言うものだから。君がアイハだよ、なんて言えなかった。



変なというより黒々しくて、気持ち悪い化け物――――――夢喰バグ――――――を倒して一件落着に見えた。しかし、再び襲いかかってきた夢喰を後ろ手で仕留めると、シュウという男は目を点にしていた。そして、ハスキとかいう、なんかチャラチャラした男は、口笛を吹いてはにかんでいた。

も一度アイハという名前について問い詰めると、彼は困ったようにスクールバックを手渡してきた。

そこには最初に見たハートのキーホルダーがぶら下がっている。半分欠けたペアのキーホルダー。そこにはきっと、もう半分のキーホルダーがくっ付いたいたのだろうか。

「ほら、筆記体でアイハって書いてある」

だからか、なんて納得しているとハスキの腕の中で気絶していた女子中学生が目を覚ました。

「きゃっ、なんですかコレ?!降ろしてくださいっ」

お姫様抱っこをされているのに気付いて喚きだす少女。しかし、ハスキの整った顔立ちを目に収めると、頬を朱に染め上げる。

現金な少女である。

「あ、あの。何が起きているんですか?」

その質問は先ほどアイハがしたのと同じである。めんどくさい女だと呆れていると、ハスキは少女と同じくらいの背丈までかがんだ。

「大丈夫、大丈夫。心配しなくてもいいから。良かったね、転生おめでとう」

適当にハスキは少女をあしらって、肩に手を置いた。すると、たちまち少女の体は、あちらこちら崩壊しいく。

光の粒子へと体をゆっくりと姿を変え、やがて少女は消えた。

「何、今の」

はっと気付いて辺りを見渡せば、地面や駅のプラットホームまでも、少女と同じように消えかかってゆく。

どうなっているのと、問いかけようとしたが、瞬く間に自分の体は光に飲み込まれてしまう。続いてシュウ、ハスキの姿も消る。

そして、本城かなという女子中学生の記憶の世界は消えた。



[エピローグ〜第一章終]→[第2章]


この作品はまだ一話が完結しておりません。(リアルのノートではしているのですが)そして、シリーズものですので、ぜひ最後までお付き合い頂けると幸いです。


まだまだ未熟にですが、よろしくお願いいたします。

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