第三十八の神話
人で賑わう宿屋や飯屋が所狭しと並ぶ界隈。
村と村を繋ぐ街道に、公用人の馬を乗り継ぐ為に、そして人々が旅の途中で一晩を過ごす為に、この江戸の世界にはこの様な宿を中心とした町が存在する。
ここは、宿場町。江戸の時分の交通事情から、馬や自らの足を休める宿り木の町。
様々な理由で人々が西に東にと往来する町の片隅で、朝五ツ時から1人の幼い町娘が辺りを見渡していた。
(※朝五ツ時:現代の午前7時頃)
島田髷と呼ばれる町娘らしい一般的な結い髪に狐が描かれたかんざし、黄色を基調とした黒い縞が描かれた簡素な着物。赤い帯には扇子も差されていた。
「こん世界のどっかにおるとたいね……」
かつて『天下布武』の号令の下、戦国の世を圧倒的な力と策略をもって駆け抜け、志半ばで本能寺に散った戦国武将を生み出した、この尾張の地に似つかわしくない、九州方面の訛り言葉。
そう、町娘は変装した聖女の1人、柳珠雲だった。
今回のこうした変装は、実は江戸の世界に到着した際に、コウと相談した結果だった。
神獣の力もなく、コウやクリスと言った同行者もいないこの状況では、もし何らかのトラブルが発生したら彼女だけの力ではどうする事も出来ない。
ただでさえトラブルメーカー気質の珠雲だ。コウからは余計な事に首を突っ込まない、怪しまれないように町娘に変装して、キュウビの噂を集める事ときつく言われていた。
自身の精神力が消費されていく感覚がある。恐らく、キュウビはそう遠い場所までは離れていないだろう。
そう確信を持ち、町の中へ歩き始めた時だった。
「殿! またおしのびで城下に来て!」
珠雲の後ろから大きな声が聞こえ振り向くと、後ろから走ってやってくるのは、何故か白粉で顔が真っ白になって、野太い眉毛に垂れ目の中年男性。
唐草模様の着物に白い帯の遊び人の様な雰囲気に乱れた大銀杏の髪型で、手には扇子を持って走り続けていた。
更に後ろから追いかけるいかにも武家の者と分かるような、年老いた人物がいた。
継裃と呼ばれる武家の正装となる長い袴に、茶色の襦袢の上から、肩から広がり、胸の前を通した肩衣を着たその老人。
小太りな身体に白髪混じりの茶色い髪に、これまた白髪混じりの茶色い口髭を蓄えている。
そんな武家の老人が遊び人風の白い顔の中年男性を追いかけながら、やたら『殿』を連呼している事から、恐らくその遊び人風の男性はこの宿場町を含む一帯の殿様なのだろう。
お忍びでやってきたのが、あの老人にバレて追いかけられているのだろうと、珠雲でも分かる構図だ。
「じい! 怒っちゃや〜よ!」
珠雲を追い抜きざま、何とも間の抜けたお忍び殿様の声が響く。
「そうやってすぐに城下の若い女子のおしりを追いかけ回すから、バカ殿って言われるんですよ! バーカ! バーカ!」
およそ忠臣とは思えない、お殿様へのバカ発言に、白粉顔が奇妙に歪み、何処からともなく尺八の音が鳴り響く。
「誰がバカだゴルァ!? おう! このBCGが黙っていないぞ!?」
急に野太い声で激昂し、着物の左袖をめくり、何故かこの時代にないはずのBCG注射の跡をじいやに見せつけるお忍び殿様。
「これでも喰らえ!」
近くの団子屋に置いてあった、これまた何故かこの時代にはあり得ないはずのクリームパイが盛られた皿を手に持ち、じいやに投げつける。
「あ、あぶない! 何するんですか殿!」
咄嗟にしゃがんで投げつけられたパイをかわすじいや。
お忍び殿様に文句を垂れるも、殿様とじいやの後ろに立っていたのは……。
「………………なんでウチがこぎゃん目に合わなんと……」
2人が追い抜いた真後ろを歩いていた珠雲。不運な事に、じいやがかわしたパイを顔面で受け止め、顔中がクリームまみれになってしまっていた……。
「あれま、お嬢ちゃん……だいじょぶだぁ?」
「大丈夫なわけあるかぁーっ!!」
珠雲の下に心配そうにやってきた殿様の間の抜けた声に、怒り心頭な声を荒げる。
いくら気をつけていても、どうやらトラブルの方から、彼女の元にやって来る様だった……。
★★★★★
対してこちらは自然と自然が絡み合った山間の林の中。
江戸の世界にはまだまだ開発による技術の進歩も、無駄に山を切り開く理由もない為、こうした人の手が全く入っていない木々の住まいも多数存在している。
そんな林の奥にある洞窟を住まいとして生きるは、1匹の小さないたずらキツネと、その面倒を見る事にした1体の化け狐の化身。
あれから一夜明けた朝、今日は林の中で晩ご飯の狩りに勤しんでいた。
先程目覚めたばかりのキツネ達は、ようやく洞窟から抜け出したところだった。
【おば……じゃない、お姉ちゃん。ほら、ねずみ捕まえたよ!】
ごんが口に咥えて見せるのは1匹の野ネズミ。
キツネは雑食性で、野生のものはこうして狩りによってネズミや野うさぎ等を捕らえて食べる。
ごんもまた、こうした習慣に倣って眠る前の食材を得ていた。
《う、うむ……わ、妾はよいからお主が食べると良いぞぇ》
神獣として産まれてこの方、野生と言う世界を知らずに暮らしてきた雅なキュウビには、少々食べるには勇気と何かを失う必要があるそのエサに、ややぎょっとした表情を浮かべていた。
【ハム◯ロサァン! ハ◯タロサァン!】
しかも、まだ生きて鳴いている。
ごんの口元で、なんとか生き延びようともがく姿に、キュウビは罪悪感すら感じてしまう。
何時もならば珠雲が調理を済ませた姿しか知らないだけに、尚更だ。
【なんだよ、美味いのにー。ばくっ】
野ネズミを空中に放り投げてから、器用に口の中に入れる。
バリボリと骨が砕ける音を奏でながら、あっという間に平らげてしまう。
子ギツネながら、狩りはしっかりと覚えているようだ。
《さ、さて、食事も済んだし、ちと腹ごなしに散歩でもするかぇ。妾はまだこの地に来たばかりぢゃ。地理と人間の暮らしぶりを見ておきたいの》
偶然にも訪れた世界なだけに、キュウビはあまりにもこの世界を知らな過ぎた。
通信機能も未発達なこの世界では、珠雲との連絡手段も乏しい。
となれば、世界を見聞きしながらこの九尾の化けギツネ姿を現して噂を広めて、彼女の耳に入る事を願うしかない。
そう、キュウビは考えたのだ。
【ならお姉ちゃん、この先に中山のお城と村があるからさ、そこに行こうよ】
口周りの赤い液体を舐めとりながら、大きなおばさん……と言う旅に怒るので、『お姉ちゃん』と呼ぶ様に教育されたごん。
かくも女性とは、難儀な存在であると少年はしった。
《ふむ、ならそこへ行こうかの》
人が集まる村ならば、自身の化けギツネの噂もたちまち広がるだろう。
ごんの提案に、キュウビが頷く。
【じゃあついて来なよ!】
子供は『思い立ったが吉日』と言わんばかりに、行動が早い。
今日の予定が決まるや否や、いきなり枯れ草が広がる地面を蹴って走り始める。
《これ、『れでい』を差し置いてさっさと行くでない。ちゃあんと『えすこおと』をするのぢゃ》
【なんだよその変な言葉ー! オイラそんなの知らないもんねー!】
まだまだキュウビの教育は始まったばかりだからか、生意気そのものである。
キュウビの言葉も虚しく、小さな身体を活かして倒れた木の隙間や、木々の僅かな間を駆け、彼女との距離が広がっていく。
《全く……。今の妾はあんな細道通れるわけがなかろうて……。待つのぢゃごんや!》
このいたずら小僧を一人前に育てるのは骨が折れそうだ。そう改めて認識をすると、キュウビはごんを追いかけて走り出すのだった……。
★★★★★
「あ〜……えらい目に会うた……」
独りそんな愚痴を零しながら、檜が香る脱衣所で着物を脱ぐのは、朝からパイを顔面で受け止めた珠雲。
あれから、お忍び殿様がやらかした詫びにと、茶色い家老。じいやの計らいでお城のお風呂を借してくれる事となった。
その時に事情をお殿様とじいやに話したのだが、流石にコウの様な息を吐く様な嘘も吐く事が出来ない彼女は、化けギツネを探して旅をする巫女の見習いと言う事にして説明していた。
これが面白そうな事大好きなお殿様の心を掴んだらしく、最終的にはお城に客人として迎えられる事になったのだ。
その為、当初の申し出を甘んじて受けて、この中山のお城のお風呂にやってきたわけである。
流石はお殿様が住むお城の風呂だ。壁も床も檜で作られており、脱衣所も広々として、珠雲が住んでいた現代日本の銭湯の様な広さだ。
戸を開くと、中も素材は檜で統一され、さながら温泉の様な印象を受ける。
「はあ〜……すごかね〜……」
タオル代わりの長い布を身体に巻いて、中に入る。
お湯は源泉掛け流しの様で、若干硫黄の香りも漂っている。
お湯を桶ですくい、頭から被ってパイのクリームを流し落とす。
「やっぱお殿様はすごか、こぎゃんお風呂に毎日入れるとだけん」
「ウフ、ウフフ、そうかい?」
「そらそぎゃんよ、ウチなんかサイコロお風呂にクリスと2人で入りよるとだけん……ん?」
誰の声だ? 珠雲の脳裏に浮かぶ疑問。今入っているのは、彼女だけだったはず。
正体を確かめるべく、頭に被ったお湯の雫を払い、声がした湯船に視線を向けると……。
「ウフ、ウフフ、一緒に入るかい? えぇ?」
そこにいたのは、河童のように禿げ上がって右の頬には宝毛の生えた大きな黒子。口周りは無精髭で青々している上にシミが目立っており、何故か鼻頭は苺の様に真っ赤なおじさん。
しかも、自分の顔の絵が描かれたピンクラクダシャツに、同様に絵入りのピンクなももひき。そして、真ん中に自分の顔の絵入りの腹巻き姿と言う出で立ちだ。
……垂れ目な辺りとか、妙にお殿様に顔が似ているが。
「ひぎゃあぁぁぁっ!!!」
突然現れたと言うか、いつから湯船の中にいたのか。変な笑みを浮かべながら湯船を跨いでくるその男に、布を巻いたまま飛び上がって壁際まで逃げる。
「どうしたんじゃ!? な、な、なんだ君は!?」
お城中に響いた珠雲の叫びに、じいやを始めとした旗本や腰元達が浴室へと踏み込む。
「なんだ君はってか? そうです、私が変な中年です!」
お城に侵入しただけでも大罪であろうが、何故か堂々たる態度で名乗ると、これまた何故か腰を振りながら腕を回して踊り出しちゃったりなんかしちゃう変な中年と名乗るおっさん。
御丁寧に『変な中年〜だか〜ら変な中年〜』とか歌いながらだ。
「……てけ……! みんな出てけぇぇぇぇっ!!!」
人集りとなった浴室で、布を巻いていたとは言え思春期に入った女の子の入浴を邪魔した事は万死に値する。
不法侵入の変な中年や、じいや達旗本の男性陣に『必殺! 珠雲ちゃん美少女風呂桶で後頭部ドーン!』が炸裂するのだった。
覗き、ダメ、絶対。
★★★★★
【ここが弥助って百姓の家だよ】
のどかな村だった。一面に黄金色に輝く田んぼが広がり、一方で人々が暮らす為の藁で作られた屋根の家々が点在する。
子供達は近所の寺子屋に集まって勉学に勤しみ、大人達は田畑を耕し、時には煙草を吹かしながらのんびりとくつろぐ。
そんな平和な村だった。
ごんに連れられてこの中山の村にやって来たキュウビは、案内されるがまま弥助の家の裏手にまで足を運んでいた。
《何やら懐かしい雰囲気ぢゃのう、お珠に封じられる前を思い出すぞぇ》
キュウビはその昔、珠雲の先祖と共に戦った過去がある。その時代に生きた記憶が、自身の中で蘇っていく。
【あれ? 弥助の家内じゃないか。お歯黒なんかつけてら】
ごんの言葉に懐かしむ記憶の世界から戻ったキュウビも、彼の視線の先に目を向ける。
そこには、30を過ぎた女が、いちじくの木の影で、歯に黒い液体を塗り込んでいた。
【珍しいもんだなぁ、あ、こっちは鍛冶屋の新兵衛の家だね】
弥助の家からひょいと小高い丘を登ると、そこは村のくわや鎌を鍛える鍛冶屋の家の裏へと繋がっていた。
その縁側から僅かに開かれた障子の隙間からは、これも新兵衛の家内だろう。
40程の年齢の女が、鏡の前でマゲを解いて髪を梳く姿が見えていた。
【ふふん、これは村でなんかあるな? 秋祭りかな?】
江戸の世界では祭事や冠婚葬祭では、農民の女性でもお歯黒を塗ったり化粧を行う。
これまで見た女性は皆、一様に化粧をしていた事から、お祭りでもあるのだろうと、ごんは楽観していた。
《ふむ、ぢゃが祭りならば太鼓や笛の音がしそうなものぢゃ。村からは何も聞こえてこんぞぇ?》
キュウビの言う通り、村は静かなもので、むしろ祭りと言うよりは重い雰囲気を醸し出している。
いたずら子ギツネの言う様な、楽しい催事ではないだろう。
そんな会話をしながら村の裏手を歩いていると、いつの間にか1軒の長い間使用してカビや格子の錆で赤く変色した井戸がある家へと辿り着く。
その家は大層貧しい家なのだろう。
土壁は雨風によって剥げてボロボロで隙間がうまれており、屋根は傾いて何時崩れてもおかしくなかった。
立て掛けてあるクワもスキも、錆や刃こぼれで本来の機能を発揮出来ない程だ。
そんな壊れかけた家の中には、村の人々が大勢押し掛けてごった返していた。
皆よそ行きの着物を着ており、腰に手ぬぐいを下げた女達が表にあるかまどで火を炊いている姿もあった。
かまどの上では、大きな鍋が煮えており、何やら胃を刺激する様な香りすら漂っていた。
《どうやら、葬式だったようぢゃの》
人で溢れた家の中から聞こえる坊主のお経に、キュウビが確信する。
一方で、隣に立つごんの表情は強張っていた。
【お姉ちゃん……ここ、兵十の家だ……】
昨日、ごんがびくの中の魚を逃がしたいたずら被害にあった漁の20にも満たないような若い男。その家の誰かが逝ったのだろう。
《ふむ。気になるならば墓地に先回りするぞぇ。どうやらそろそろ出棺の様ぢゃ》
キュウビの提案にごんが頷くと、共に村の外れにある共同墓地へと走り出す。
そこは、兵十の家から程近い場所にあり、ごんは六地蔵の陰に。キュウビは近くにある大きな木の太い枝へと登り、出棺の様子を眺めていた。
木の枝から眺める景色は広く、晴れ渡った青い空と、輝く太陽の光で遠く聳える中山のお城の屋根瓦が反射して光って眩しかった。
墓地は、赤い彼岸花が咲き乱れてまるで赤い絨毯のようだった。
やがて、鐘の高い音が鳴り響き、葬式が出る合図が知らされる。
墓地に向かって連なるは、白い襦袢に身を包んだ葬列。キュウビ達に近づいてきたのだろう、徐々に話し声も鮮明になってきた。
そして彼女達に最も近づいた時、兵十の姿を確認する事が出来た。
彼は、白い裃姿で故人を偲びながら棺の後ろを歩いていた。
手には、信女の戒名が刻まれた位牌を両手に持ちうなだれており、ごんが知るいつもサツマイモの様に頬を赤く染めて元気に畑で精を出していた彼とは、打って変わって萎れた大根のようだった。
【死んだのは、兵十のおっかぁだ……】
六地蔵から頭を引っ込め、大きな木を見上げる。化けギツネもまた、自身が乗ってもびくともしない大きな幹から、いたずら子ギツネを見下ろしていた。
【兵十はおっかぁと2人暮らしだったんだ……。きっとおっかぁは病で床に臥せてて、『うなぎが食いたい……うなぎが食いたい……』って言ってたんだ……。それで、兵十がはりきり網なんか持ち出してたんだ。でも、オイラがいたずらをしたから、兵十はおっかぁにうなぎを食わせてやれなかった。きっと兵十のおっかぁ、うなぎが食いたいって思いながら死んだんだ……ちょッ、あんないたずらをしなければよかった……】
ごんの胸中に湧き上がる自責の念。ほんの些細ないたずらのはずが、兵十の母親が今際の際に無念を生み出す事となるとは思ってもみなかった。
ほんのちょっと。そんなつもりはなかった。これらの言葉が彼の中で生まれては消えていく。
だが、彼がした行いの事実は消えない。決して消える事はないのだ。
ちょっぴりのいたずらでも、時には人に深い傷を負わせる事がある。そして、それはやがて自分に返って来る。ごんは、兵十の項垂れて涙を流す姿を見て、初めて気づいたのだった。
それと同時に、キュウビもまた、しゅんとした表情のごんに自身の胸中を重ねていた。
思い出されるは、亜空間での虎の化身とのやりとりだ。ディストーションに追われる日々の鬱憤を自分だけが喚き散らし、揚句にはそれを咎めたタイガーに向かって『はんばぁがぁ』を投げつけた。
食べ物を粗末に扱い、何故彼が自分を咎めたのかも理解せず、いたずらで彼の自慢の白い体毛を汚し、喧嘩までしてしまった。
同じなのだ。キュウビも、ごんも。自分の身勝手さが『今』を生んでいるのだ。ならば、どうすればいいのか。
≪……償いぢゃ≫
【え……?】
ぽつりと脳に聞こえてくる言葉に、ごんが聞き返す。九つの尾をふわりと風になびかせながら、キュウビは改めてごんに語り掛ける。
≪妾とお主で、あの兵十とやらに償いをするんぢゃ。でなければ、お主の心は一生晴れる事はないぞぇ? いたずらの罪と向き合い、彼奴に良い事をするんぢゃ≫
ごんの罪滅ぼしを手伝うことで、自分自身の罪への禊を落とす事にも繋がるのではないかと何処かで思っていた自分に気付くキュウビ。
それでタイガーが許してくれるわけがないと分かってはいるが、それでも彼女はごんの手助けをしたい、するべきだと考えていた。
【罪滅ぼし……うん……オイラ……兵十に良い事する……!】
いたずらへの贖罪。彼の中で芽生えたそれに、キュウビもまた頷く。
こうして、ごんは過ぎ去っていく葬列を六地蔵の影からいつまでも、いつまでも……心の中に焼き付けるように見つめ続けるのだった……。




