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白馬のおうじ様誘惑作戦  作者: 宮月
2/10

2.白雪

今回は、白雪視点です。

微妙に下世話な話題だけど、恋人同士には大切だよね?

 あぁ、どうして、女三人が集まると、こう賑やかになるのだろう?

これに吹雪が加われば、怖いモノ知らず。まぁ、その上をイク人物も知っているけど…。

凰士も今頃、吹雪に何を言われているんだろう?盛り上がっているかな?

「白雪、どうしたの?何処か別の場所にいっちゃった目をしているわよ。」

 三人が集まると当たり前のように行くイタリアンレストラン。ほとんどが女性客で、ここと同じように盛り上がっている。

「もしかして、凰士くんの事を考えていたの?熱いわねぇ。」

「違うわよ。ここはいつも賑やかだなって見回していただけ。」

「あぁ、そう。」

 途端につまらなそうな表情をする二人。これでいいのか?この二人は。

「ねぇ、二人に相談なんだけど。」

「何?」

 沙菜恵が妙に真剣な表情で、美人と私に視線を向けてくる。私達はそれに食いつき、テーブルに身を乗り出した。

「最近、彼の帰りが妙に遅いのよ。それに、Yシャツから甘い香水の香りがするの。決まって、帰りが遅い日に。もしかして、浮気でもしているのかしら?それとも商売女に入れ込んでいるとか?」

「彼には問い質したの?」

「会社の接待で、オネエちゃんがいる店に行ったんだと言い訳しているけど…。」

 沙菜恵が眉間に皺を寄せ、いつになく真剣な顔。

「彼の仕事って何?」

 さすが美人。そういうのを見極める能力を備えているのね。

「普通の会社員よ。」

「微妙なところね。で、その香水はいつも同じ?キスマークとかは?」

「どうなんだろう?ほら、薄く残っているだけだから、彼の匂いの方が強いし、同じ香水かは判別不可能。キスマークとかはないわね。」

「沙菜恵とかのエッチは?回数が減ったとかお座成りになったとか変化はない?」

「付き合い始めの頃に比べれば、回数も減ったし、たっぷりの愛撫とかはなくなったけど、それほど大きな変化はないわね。」

 女同士の会話って、時々、平気で凄い事を言う。まぁ、この二人の場合、特にかもしれないけど。

あっ、言っておくけど、私が特別上品とかじゃないわよ。あくまで周りから聞いたら、そう思うだろうって事。

「微妙ね。」

「そうなのよ。」

 美人が神妙な顔で頷き、沙菜恵も賛同。私は過去の事もあり、黙っている事にする。

「ねぇ、白雪。前の彼の時は、どうだった?三度も浮気を発見したんでしょう。」

 あぁ、よく憶えているわね。感心させられるわ。忘れてしまいたい記憶なのに。

「アイツはバカ。街中で鉢合わせの回数が三回よ。疑いとか探りとかは全くなしで、ある日突然発見よ。」

「あぁ、そうなんだぁ。じゃあ、お話にならないわね。」

 返す言葉もございません。

「ねぇ、沙菜恵は、彼の浮気を発見したいの?それとも彼が浮気していないと信じたいの?それによって、対応が違うと思うけど。」

「もちろん、してないと信じたいわよ。でも、その可能性が目の前にチラつくのよ。正体を確かめたいじゃない。」

「じゃあ、良い方法を教えてあげるわ。」

「えっ?何、何?」

 そこまでして、見付ける必要があるんだろうか?

まぁ、沙菜恵がぐずぐず悩み続けるのも嫌だから、気が済むまでやった方がいいのかな?

「携帯を覗き見なさい。あと、お財布も。そうすれば大体わかるわ。」

「お風呂に入っている時とか?」

「そうそう。携帯に見慣れない名前やイニシャルがあったら、怪しいわね。お財布はレシートを残しているかもしれないし、商売女なら名刺があるかもしれないわね。」

「美人、よく知っているわね。」

「このくらい常識よ。」

 腰に手を当て、偉そうな美人。そのくびれが羨ましいですね。

「それで、もし、あったら?」

「携帯番号は控える。怪しいレシートは奪い取る。名刺と領収書はばれるから、メモを取りなさい。」

「はい。」

「もし、そうなったら、もう一度、指示を与えるわ。大丈夫、私、これで何度か浮気を発見して、上手に謝らせているから。」

 美人は一体どんな人と付き合ってきたのだろう?きっとルックスの良いモテる男ばかりだったのだろう。その何度かの浮気は、一人の人、じゃないだろうな。

「まぁ、浮気の一回や二回は許しなさい。本気になっているようなら、別れなさい。彼の心が戻ってくる事はないから。私達、まだ若いんだもん。次を探さなくちゃね。」

 美人がにっこりと微笑むと、沙菜恵も安心したのだろう。笑みを零した。

「その点、白雪はいいいわよね。」

「そうね。凰士くんが浮気するはずがない。白雪大好きだもんね。」

「そうかしらね?」

 最近、ちょっと疑い始めている。三か月も付き合っているのに、凰士はベッドに誘ってくれない。何度か、誘惑の視線を送ったけど、反応なし。もしかして、付き合い出した途端、興味がなくなったのかな?

「白雪?」

 不思議そうに首を捻る二人。

私は届いたばかりのパスタに手を伸ばし、誤魔化してみる。

「そう、私の話も聞いて。」

 不穏な空気が流れたのを察知して、いち早く回避の道を見出したのは美人。

「最近、彼ったら凄くって。」

「何が?」

 さっきまで萎んだ表情をしたいた沙菜恵が、途端に興味を表立たせる。わかりやすいなぁ。

「決まっているじゃない。」

 あぁ、やっぱり、そうですか。

「会える回数は相変わらずなんだけど、その分一回で愛してくれるって言うか、もう疲れ果てるくらい。」

「あぁ、ようございました。」

 投げ遣りの返事しか出来ないわよ。そうでしょう?皆様!

「あら?意外ね。白雪がそんな返事なんて。マッサージが上手い凰士くんなら、さぞや楽しませてくれるんじゃないの?それに、あんなに白雪大好きなんだもん、ねぇ。」

「そうそう。」

 失敗したなぁ。二人の興味が完全にこっちに向いちゃったよ。

「もしかして、上手くいってないの?」

「付き合い自体は順調よ。帰ってから電話で話をするし、週末にはデートよ。」

「そうだよねぇ。」

「あんなに毎日顔を合わせているのに。」

 妙に納得する美人と、呆れ顔の沙菜恵。

そう、確かに仲良く一緒の時間を楽しめている。ただ、一つを抜かし。

「あっ、わかった。お座成りなんだ。」

「凄く下手とか?」

 美人と沙菜恵が、世紀の大発見をしたかのような得意口調で言葉を吐き出す。

「それ以前の問題よ。」

 正直に答えてしまった私。バカァ、何を言われるかわからない二人なのにぃ。

「それ以前?えっ?してないの?」

「もう付き合って三か月よね?凰士くんの部屋にも出入りしているのに?」

「残念ながらね。」

 溜息交じりに言葉を吐き出す私。

結構、これでも悩んでいるのよ。ほら、前の彼氏に『女として魅力ない』とか言われちゃったから、余計に、ね。

「白雪が拒否しているんじゃなく?」

「いいえ。」

「あっ、わかった。付き合いが長いから、十二年だっけ?だから、そういう雰囲気を作り辛いんじゃない?踏ん切りがつかないと言うか、照れ臭いと言うか、どうしていいのかわからないだけよ。きっと。」

 沙菜恵と美人が、ちょっと暗い表情をしてしまった私を慰めようとしてくれている。

あぁ、友達って有り難い。

「じゃあ、白雪から誘惑しなさい。」

「へ?」

 固まる私と沙菜恵。

「凰士くんの場合、極端な服を着ると嫌がるようだから、ちょっと短めのスカートにVネックのシャツとかを着てみて、上目遣いで潤んだ瞳を向けるの。それとか、雨か何かで服を濡らして下着が透けるようにするとか。」

「なるほど、結構、いいいかもしれない。」

「さすが美人ね。」

 感心したのがいけなかったのか、美人が得意げな顔で言葉を続ける。

「もっと手っ取り早い方法もあるわよ。凰士くんに抱き着いて、抱いてと一言。まぁ、白雪にはムリだろうから、帰りたくないとか、朝まで一緒にいたいとか。そうすれば大丈夫よ。だって、凰士くん、あんなに白雪大好きなんだもん。」

 帰りたくないと前に行った事がある。それなのに、何を勘違いしたか、両親と喧嘩したのかとそんな心配しちゃって、失敗した事がある。溜息しか出ないよね?

「軽い色仕掛けで効果あると思うよ。その方が、凰士くんにもいいんじゃない?」

「自然体だからね。いかにも誘惑したって、苦手でしょう。」

「うん。」

 最大の問題は、凰士がそれに気付いてくれるかだが……。

「頑張ってね、白雪。」

「あんまり意識し過ぎて、ぎこちなくならないでよ。まぁ、ねぇ、ある程度の年齢と経験を積んでいるから大丈夫だと思うけど。」

 はい、頑張ってみます。

姫野白雪、二十五歳。彼氏を誘惑します。

こんな感じでしょうか?

ラブコメのコメがいまいちな気がする。でも、頑張ります。

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