【実話を元にした物語】表に出ている不良は、まだ安全だ。 本物は表に出れない。-これは俺が見てきた漢の話だ-
【第1話.銃撃戦】
今の俺は、地元を離れて堅気の仕事をしている。
スーツを着て頭を下げ、時間通りに帰宅する。
昔の俺を知る人間が見たら、きっと笑うだろう。
盆と正月だけは地元に帰る。
それが俺の中で、唯一過去と繋がる行為だった。
半年ぶりに和明の家を訪ねた日、
玄関のドアを開けた瞬間、空気が変わった。
「おう」
返事をしたのは、和明じゃない。
武田だった。
一瞬、心臓が跳ね上がった。
武田――俺たちがヤクザ時代、敵対していた男。
正確に言えば、殺し合ってもおかしくなかった相手だ。
だが、リビングでは
和明と武田が並んでテレビゲームをしていた。
意味が分からなかった。
――数年前の話になる。
和明の元に一本の電話が入った。
ヤクザ時代の兄貴分からだ。
「金を、貸してほしい」
兄貴分もすでに足を洗い、堅気になっていた。
義理に厚い和明は、迷いもせず了承した。
待ち合わせ場所までは車で一時間。
出発準備をしていると、再び電話が鳴った。
非通知。
若い女の声だった。
「行ったらダメ。罠よ」
それだけ言って、切れた。
後から知ったが、その女は
和明の元恋人
現在は武田の関係者の女だった
らしい
和明は電話を切ったまま、しばらく黙っていた。
そして、低い声で言った。
「武田だな」
現役バリバリのヤクザだ。
組の中でも肩書きがついている男。
和明の首を獲れば、評価は一気に跳ね上がる。
和明は当時組から煙たい存在だった…
その時、俺はたまたま和明の家にいた。
嫌な予感しかしなかった。
「今は行くな!とりあえず身を隠そう。」
俺はそう言った。
相手は現役ヤクザだ。
何人来るか分からない。
だが和明は笑った。
「よーし。迎え撃つぞ」
え?!
なんでそうなるの…私は下を向いた
電話をかけまくり、俺を含めて七人集まった。
戸棚から取り出したのは、
モデルガンを改造した銃だった。
殺せはしない。
だが、脅すには十分すぎる代物。
正直、あの時俺は和明にビビった!
理屈じゃなく、災害に近い恐怖だった。
俺だけじゃない他の5人も同じ気持ちだったはずだ
そんな俺達を無視するように和明は淡々と
作戦を立て、車三台で動く事になった
一台が先行し偵察、二台はコンビニ待機。
だが、予定より早く偵察隊から電話が鳴った。
「……尾行されてる」
最初からだ。
和明の家を突き止め、出発の瞬間から張っていた。
十分後、
コンビニで待機していた俺達の視界に
偵察隊を尾行する黒い車が写った
空気が凍った。
俺たちは、正直乗る気じゃなかった。
下手したら死ぬかもしれない…
だが和明は違った。
車を急発進して黒い車に追いつき
後方から和明が銃で撃った。
乾いた音。
テールランプが弾け飛ぶ。
黒の車が急ブレーキで応戦してきたが、
間一髪でかわした。
そこから
人気のない岸壁へ誘導した
和明はここで終わらせるつもりだった。
俺もバットを握りしめた
黒の車の中には二人。
武田の舎弟だ。
車から引っ張り下ろしてその2人をめった打ちにした
十五分後、
さらに黒塗りの車が二台、唸りを上げて現れた。
その中に、武田がいた。
和明は迷わなかった。
再び銃を抜き、乱射した。
弾は当たらない。
だが確実に相手は動揺していた
相手が車の陰に伏せた隙に、
俺たちは逃げた。
三台は散り散りになり、
ようやく撒いた。
――それが、
俺が知る「銃撃戦」だ。
話を戻そう。
今、武田は和明の家で
何事もなかったように笑っている。
理由は聞かなかった。
和明は、そういう男だ。
殺し合った相手が、
次の日には仲間になる。
世間は言うだろう。
頭のネジが飛んでいると。
だが和明は外道でも非道でもない。
義理人情に人一倍厚い男だ。
だから和明と言う男に人は魅了される
どこか憎めない平成初期に流行った
ファービー人形そっくりな容姿で笑う
いつしか地元では、影でこう呼ばれた。
昭和が「悪魔のキューピー」なら、
平成は――
悪魔のファービー。
【第2話.狂気の開花中学生時代】
授業中、生徒指導の教師と和明の怒鳴り合いが廊下から聞こえてくる。
教室の中では気にする様子もなく
皆、授業を受けている
誰も気にしない。
それは、俺たちにとっての「日常」だったからだ。
舞台は港町にある、中学校。
生徒数は多くないが、その代わりに不良の比率だけが異常に高かった。
時代はツッパリブームの少し後。世間では「チーマー」や「カラーギャング」が流行り始めていたが、俺たちはそんな新しい言葉には興味がなかった。
剃り込みを入れ、短ランにボンタン。
少し古い型の、コテコテの不良スタイルを好んでいた。
学校は荒れ果てていた。
堂々とタバコを吸うのは当たり前
屋上から職員室に向けてロケット花火を打ち込み、原付で校内に侵入する奴もいる。
校内にある消火器全部撒き散らした事もあった
この年、教育実習生(大学生)は教育委員会が断った
「荒れている」というより、もう誰も止めようとしなかった。
その中心には、必ず和明がいた。
当時の和明は、とにかく無茶苦茶だった。
冗談抜きで、どこか狂気を帯びていたと思う。
―― 繰り返される廃車劇
特にひどかったのが、車だ。
ある夜、和明は友達の家の車を勝手に出して走り回り、壁に突っ込んで廃車にした。
また別の日には、近所の鍵付きの車を「拝借」し、居眠り運転のまま縁石をジャンプ台にして空を舞い、廃車。
さらに別の日には、別の車を拝借中に警察に追われ、自分が通っている中学校の正門に正面衝突して廃車。
当時和明は、まだ中学生だ。
免許もないし、運転センスも皆無。
なのに、なぜかハンドルを握りたがった。
大人になってからも車で大事件を起こすことになるのだが、不思議なことに、和明はどの事故でも無傷だった。
肝が据わっているのか、身体が頑丈なのか。
今思えば、運が悪いのか良すぎるのか分からない男だった。
―― 高校生番長とのタイマン
中学時代、事件はいくらでもあったが、一番印象に残っているのは「高校生の番長」とのタイマンだ。
当時、俺たちの中学は周りに敵なしと言われ、遠征先でも名前が知られるほどに調子に乗っていた。そんな俺たちが、地元の不良グループに目をつけられた。
きっかけは単純だ。
不良グループ広港連合の
一員である高校の番長に、俺たち中学生が喧嘩を売ったのだ。
数日後、俺たちは待ち伏せされ、一方的に殴られた。
「すいませんでした」と頭を下げた自分の弱さが、情けなくて仕方がなかった。
その場にいなかった和明は、後から話を聞いて激怒した。
「おい! 今日の夜中、仕返しに行くぞ。相手にもそう伝えろ」
俺たちは必死に止めた。
「ちょっと待ってくれ。昨日、二度と調子に乗りませんって頭を下げたばかりなんだ」
「無理だ」
和明は全く聞く耳を持たなかった。
「いいから今夜行くぞ」
俺は仕方なく、本当に仕方なく、行くことにした。
夜中、相手が待つ高校のグラウンドへ向かうことになった。
だが、足(車)がない。
和明がほとんどの車を廃車にしていたからだ…
そこで友達が言った。
「うちの爺ちゃんの軽トラがある」
それしかなかった。荷台に8人で乗り込み、俺たちは敵地へと向かった。
道中、荷台で皆、叫びながら自分たちを鼓舞した。
「やってやるぞ!」
段々と、俺もその気になってきた。
……が、着いた瞬間に青ざめた。
暗闇のグラウンドに、人影が多すぎる。
地元の広港連合が集結しており、ざっと見て50人はいた。
対するこちらは、中学生が10人。話にならなかった。
一気に戦意を喪失した俺たちの中で、一人だけ違ったのが和明だ。
和明は一歩前に出て、言い放った。
「中学生相手に、恥ずかしくないのか」
その一言で、空気が変わった。
グループのリーダーが嘲笑うように出てきて、こう言った。
「…タイマンで決めようや」
これだけの大人数の前で、そんな度胸があるのか? どうせできねえだろ?
と、試すような雰囲気だった。
―― 決着
相手は体格のいい高校生の番長。
普通に考えれば、勝てるわけがない。
それでも、和明は引かなかった。
グラウンドの真ん中で、タイマンが始まった。
殴って、殴られて。
それでも和明は倒れない。
まるで格闘技の試合のようだった。
周りのギャラリーも、最初は野次を飛ばしていたが、次第に静まり返っていった。
殴る音、蹴る音だけが、夜のグラウンドに響く。
20分ほど経った頃、リーダーが割って入った。
「もうええやろ。引き分けや」
俺たちは心底ホッとした。
和明に駆け寄ると、彼は顔をパンパンに腫らしながら、笑ってこう言った。
「あと一発もらってたら、倒れてたわ」
その日から、和明は地元の不良たちからも一目置かれるようになった。
やがて、中学卒業の時期が来る。
和明は途中から校長に「お願いだから学校に来ないでくれ」とお願いされてほぼ中退だ
そして、
あまりにも自然な流れで――
和明は、暴走族へ入っていった。
ちょうど桜も満開の頃
和明の【狂気】も開花し始めた。
【第3.不良のエリート街道】
夜中友達といつもの溜まり場で
談笑していた
中学を卒業後俺は地元を離れ
隣町の高校に通い始めていた
遠くの方で
(ウォン、ウォン、ボー)
単車の空吹かしの音が聞こえて来た
誰だろー
今日は土曜日じゃないから地元の
「広港連合じゃないと思うなー」
(ウォン、ウォン、ボー、ボー)
「おい、なんか近づいて来てないか!」
本当だ。
でもこの付近は族車は通らない
俺達に少し緊張感が走った
(ボーーー、ボッボー)
俺達の溜まり場に
鬼ハンにツッパリテール
ザッ族車がけたたましい音を立てながら
俺達の前まで来た
エンジンを切ったらライトが消え
顔が出てきた
和明だった
俺は高校に通っていたから
会うのが久しぶりだった
「和明単車買ったのか?」
「おう、俺日本競走連盟に入ったからな」
と言った
競走連盟と言ったらここらでは1番大きいチームだ!
「でもなんで地元の広港連合じゃないのか?」
と聞いた
和明は
「あんなショボいとこには入らん」
と笑った
1年後…
俺は高校を退学になり
フラフラしていた
今日は第二土曜日の夜
日本競走連盟が集会をする日だ
俺は見学に行く事になってた
街なかの公園を占拠して
特攻服姿の男達がウヨウヨいた
その中で一際目立つ金髪のリーゼントパーマの
和明を発見した
「日本競走連盟特攻隊長夜露死苦〜」
「夜露死苦〜」
俺達はカッコいいなーと見とれていた
次の瞬間
(ウォン、ウォン、ボー)
単車10台くらい
が集会に乗り込んできた
俺は
仲間かな?
と思ったが様子が違う
日本競走連盟が単車を取り囲んで
揉めだした
単車の奴らは
県北の北連会だ。
人数は少ないが気合が入っている
始めは小競り合いだったが
和明の先制パンチで
大乱闘に発展
すぐにパトカーが来たがおさまらない
結局パトカー15台来た
そして
和明は現行犯逮捕
今までの悪事もあり
初等少年院へ
鑑別所の時は手紙のやり取りをしていた
でも和明から来る手紙は
半分くらい黒塗りされていた
恐らく看守側に反省の色が無い文面と判断されたの
だと思う
半年後…
やせ細った和明が出てきた
見た目は貧相になったが内面は何も変わってない
和明は「俺、暴走族やめるわ!」
と言った!
らしくないなー、反省でもしたか?
俺が茶化すように言った
和明が
「いや、ヤクザになるわ」
まだ、当時17歳。
どうやら少年院でスカウトを受けたみたいだ
和明はこの頃からよく言っていた、
「細く長く生きるより、太く早く死にたい」
と
俺はその頃理解出来なかったが
今になって思うのは
その言葉通りの人生だなとつくづく思う
そうして
和明は離れた街にある
超名門
三代目山本組の
部屋住みに入る事になったが…
ここでもヤンチャぶりは変わらない
部屋住みは基本外に出れない
だが
夜中抜け出して遊びまくっていた
やはりまだ17歳
遊びたい盛りだ
そして朝方になって帰って行儀(殴る蹴る)
をされるのがお決まりだったと言う。
普通の考えは殴られたくないし、今は修行の身。
、遊びは我慢。
それか、
逃げ出すだろう。
だが和明は違う。
夜中遊びに行ってその代償で殴られれば良いんだろ?
と軽く考えてる
そうして
夜中いつものように組を抜け出して遊びに出ていた日
また、事件が起こる…
暴走族の仲間と夜中単車に乗っていたところ
黒バイに追われたらしい
※黒バイ(くろバイ)は、主に夜間の暴走族取り締まりを目的にした。夜の白バイ隊
黒バイは他の警察とは違う
かなり荒っぽい
どっちが暴走族か分からないような煽り方をしてくる
あまりのしつこさに
頭にきた和明は
黒バイの横につけて蹴りを入れて
転倒させた、
勿論、その後組に令状を持って警察がやって来て
逮捕
特別少年院送致
また、ガリガリファービー人形になるのか…
少年院から出てきた和明はさらに
「本物」へと成長していく




