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「ど、どこに消えたの? ま、まさか幽霊なの?」
ああ、やはり王女殿下に幽霊だと思われてしまった。
しかしどうしよう。やり過ごすべきか悩む。
青褪めて恐がっているご様子の王女殿下を放置していいものか。
「猫さん。どうするべきでしょうか?」
【うーむ。王族に協力してもらえるならスムーズにことが運びそうではありますが……】
「王女殿下に首飾りの捜索の協力をお願いするのですか?」
【はい。シャルロットさんを見つけても、王女は兵を呼ぼうとしていません。
真夜中だというのにドレス姿なのも不思議です。王女殿下自身も他者に見つかるのは困る状況と思われますから、話してみてもいいのでは?
最悪、話がこじれそうなら再び消えて今度こそ立ち去ればいいですから】
「なるほど。分かりました」
猫さんとの作戦会議をおえて、私が頷くと魔法が解かれる。
「ひっ!」
「お、驚かせて申し訳ありません王女殿下。
我ながら怪し過ぎますが、私は幽霊ではなく殿下に危害を加えることは絶対にありません」
「ゆ、幽霊じゃないのね?」
「はい」
驚く王女殿下に一生懸命説明すると、殿下は恐る恐る私へと手を伸ばすと、私の手をそっと握る。
「温かい。良かった。生きている人間なのね」
「はい」
「安心したわ。えっと、なら何者? どうして城にいるの?」
「私はシャルロットと申します。素性は言えないのですが、城にいる理由はお話できます。
王子殿下が呪いの首飾りによって亡くなられてしまうかもしれないのです。
私は王子殿下をお助けするために見つけ出したい。
急なうえに、信じられない話と思いますが、ご協力いただけませんか?」
「素性を話さない相手の突拍子もない話を私が信じると?」
「そ、そうですよね。信じられませんよね」
腕を組んで眉を顰める王女殿下の意見の方が尤もだ。
やはり猫さんと二人で首飾りを探し出すしかない。
もう一度猫さんに魔法をかけてもらおうと願い出ようとした時。
「でもいいわ。信じてあげる」
「え?」
王女殿下は微笑むと私の手をぎゅっと握った。




