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警備の騎士や兵士の皆さんがいる真横の壁をドキドキしながらすり抜けて、城の中に入る。
真夜中の為に騎士や兵たちの姿以外は見えない。
姿が消えている間は声も聞こえないらしく、猫さんと話しながら城の中を探索していく。
「王族への献上品なら、大切に保管しておかなければならないでしょうから、奥まった部屋でしょうか?」
【そうですね。夜会でのお披露目ということで特に高価で貴重な品々を集めたらしいと、人々が噂しているのを聞いています。
呪いの品は大きなガーネットの宝石が付いた首飾りなのです。
装身具としてなら素晴らしい品なので、気に入る人間は多いと思いますが、身に付けたら終わります】
「早く見つけたいですね。あ、」
自分の身体が少し見えやすくなっているのを察し、猫さんと共に物陰に身を隠す。
【10分ほど、と言ったところでしょうか。
私自身の魔法は解けていませんが、私以外への魔法の効力は長時間ではないようです。申し訳ありません】
「猫さんの力がなかったらこうして捜索もできませんから謝る必要はないですよ。
10分だと分かればそれだけ動きやすいです。もう一度魔法をかけていただけますか?」
【はい】
「貴女は、誰?」
「え?」
猫さんに再び魔法をかけてもらう直前。
声を掛けられて振り返り、驚く。
とても可愛らしい女性が私たちの背後に立っていたのだ。
私でも分かる豪奢なドレスに装身具。
暗い夜でも輝く金色の髪に青い瞳は、絵本の中のお姫様そのもの。まさか……。
「王女殿下、で、いらっしゃいますか?」
声を震わせながら問い掛ける。
お会いしたことも絵姿も見たことはないけれど、高貴な雰囲気に正体を察する。
「確かに私は王女のアリシアだけれど、貴女は……え!?」
驚きで固まる王女殿下に何かあったのかと心配になるけれど、すぐに何故殿下が驚かれたのかが分かる。
猫さんが再び魔法をかけて、私の姿を消してくれたのだ。
で、でも、このタイミングで王女殿下の前から姿を消してしまうのは、私が幽霊に見えてしまうのでは?




