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「……私にどのような御用でしょうか?」


【おやおや悲鳴をあげずに、問い掛けていらっしゃるとはなかなか度胸がすわっていらっしゃる】


「いえいえ。世間知らずなだけですよ。見知らぬ方と話すことが久しぶりすぎて麻痺しています。

後、猫大好きなんです」


本棚の物陰にいた黒白猫さんは、私が猫が好きだと告げると近付いて来てくれた。

どうやら触られてくださるらしい。猫さんのしっぽは黒くて長めで、しっぽの先が曲がっている。

確かカギ尻尾と呼ばれる幸運を呼ぶ猫の印だったと本で読んだ。

慎重に手を伸ばして身体に触れると幽霊だからかひんやりしたがフワフワの毛の柔らかさに笑みが零れた。


【シャルロット・ファウベル伯爵令嬢。

動物たちのお噂通り、大変お美しい。お目にかかれて大変嬉しいです】


「私、美しいですか?」


【おや。ご自覚がない?】


「ええ。何せ子供の頃からここにいて、容姿を褒められることも逆に貶されることもなかったものですから」


運ばれてくる水とタオルで髪の毛と身体を拭く毎日なので、不潔でなければいいと思っていたくらいだ。


【柔らかなのエメラルドグリーンの髪は暗い中でも美しさが分かります。

そして深い色の緑の瞳は神秘的で引き込まれそうな輝きを放っておられる。

美しい顔立ちも相まって、貴女は森の女神そのものです。……栄養失調気味に痩せてしまっておられるのが気の毒ですが】


「猫さん、褒めすぎなのでは?」


【いいえ。この小屋を訪れる当番を動物たちが競い合うのが証拠ですよ。

今日当番になっていたリスがそれはそれは誇らしげに木の実を運んでいたのを私は見ています】


動物たちに負担になっていなければいいと思っていたので喜んでくれていたのなら嬉しいけど。


「褒めてくださってありがとう。ごめんなさい、話が逸れていましたね。

もう一度お聞きします。私にどのようなご用件でしょうか?」


【話を逸らしてしまったのはこちらなのでお気になさらず。

単刀直入に申し上げます。

この国の王子が呪い死にそうになっています。

私と力を合わせ、王子を助けませんか?

その際に、私の求める品を浄化し、手に入れていただきたいのです】


「……はい?」


突如もたらされた衝撃に思考が一瞬停止してしまった。

王子殿下が呪いで亡くなってしまうかもしれないの?


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