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シャルロット視点に戻ります。
「息子を助けてくれて、本当にありがとう!」
「い、いえそんな、しかもまだ助け切れていないといいますか……」
「助けられたも同然だ。原因すら20年以上不明だったのだからな。
ナイトハルトがベッドから起き上がって立って歩いて話している。私たちからすればこの状況は奇跡なのだ。
シャルロット。私からも礼を言う。ありがとう」
「お、恐れ多すぎて、何と言えばいいか……」
なんと私は現在、王妃様に抱き締めていただいている。
王妃様は王女殿下に似ていた。柔らかな金色の髪が美しく、青い瞳は優しくて柔らかく笑う綺麗な方だ。
そして、国王陛下も同じく金髪。髭を生やした男性らしい顔立ちで素敵だ。
王子殿下は黒髪なので、少し不思議だったのだが、後に聞いた話によると、前国王陛下が黒髪に赤の瞳で、よく似ていらっしゃるそうだ。
今、私の隣には国王陛下がいらっしゃる上に、少し離れたところに座っているのは王子殿下と王女殿下。
王族勢ぞろいの状況に頭が混乱していた。
首飾りの騒動から三日後。
私は城に滞在させていただいていた。
王子殿下の長年の体調不良の理由が分かると、床に伏していた王妃様の容態も良くなり、今日お会いすることになった。
「呪いについて、国王陛下や王妃様は信じてくださっているのですか?」
「うむ。信じざる負えない状況というものもあるが、300年前は我が国にも魔法使いがいたという記録がある。
わが国ノヴァリースには現在は確認されていないが、大国には未だに魔法が使える人間がいるというのも聞いている。
呪いという不可思議な力は本来ならば目に見えないが、猫殿の存在が何より大きい」
「私も陛下と同じ考えです。息子が呪われていることに気付けたことは本当に大きなことです。
魔法使いだけじゃなく、僧侶や神官がこの世界にはいるはずですから、お医者様ではなく今後はそういった人物を国に招くつもりです」
【まぁ、今の世で魔法使いも、僧侶も神官も自分で名乗っている人間は大抵、嘘っぱちですがね。
呼び寄せたところで何の力にもなりませんよ】
「「「「!?」」」」
「ね、猫さん!」
とんでもないことをさらりと言う猫さんに王族の皆さんが固まる。
「で、でもそうなの?」
王女殿下が問うと、猫さんは大きく頷いた。
【300年前よりも、この世には不可思議な者たちがだいぶ減っています。
それに伴い、人間で魔法を使えるものも極わずかになっている。
シャルロットさんのように隠されていた人物や、無自覚な人間が殆ど。
それ故に力のある国は本物を他国に送り出すことは絶対にしないでしょう】
「つまり、シャルロットは大変貴重な存在だということだな」
【そういうことです】
王子殿下の発言を猫さんが肯定してくれるが、断言されると何だかいたたまれない。
【しかしそのシャルロットさんもまだまだ未熟。王子の呪いを解くには修業が必要不可欠です。
シャルロットさんが一人前になるまでの間にやれることは多くあります。
王族のみなさんには、殿下が何故呪われているのかを調べていただきたい】
「どのように調べれば良いだろうか?」
【まずはノヴァリース王家の歴史を辿ってみるのがいいと思われます。
王子にかけられている呪いは相当強力なものです。にも関わらず他の王族には被害がない。
ピンポイントで王子を狙っているのが気になります。過去の王族の中で強い恨みを買うほどの人物がいないか探っていただきたい】
「強い恨みか……よほどの悪人なのだろうか」
【いいえ。そうとも限りません。恨みには逆恨みもありますからね】
「分かった。調べてみよう」
ひとまず、王子殿下の呪いについての方針が決まったところで、恐る恐る質問する。
「あの、お父様たちはどうなったのでしょうか?」
私の問い掛けに、国王陛下は一つ頷くと説明してくださった。




