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(アリシア王女視点)

城の中庭に移動すると、ファウベル伯爵たちが周囲の貴族たちに興奮した様子で話を聞かせていた。


「これは国王陛下! 王女殿下もお揃いで!」


いちはやくこちらに気付いたファウベル伯爵が妻と娘を伴って喜色満面な様子で近付いてくる。

王子を助けた褒美でももらえると勘違いしているのだろう。


「ファウベル。話はアリシアから聞いた」


「はい! 私は王子殿下の為に、」


「黙れ!」


ファウベル伯爵の言葉をお父様が遮った。

騒いでいた周囲の貴族も、お父様の様子を見て押し黙る。


「私が王妃にかかりきりの間、王子派と王女派に貴族たちが別れ、城内が不穏な空気に包まれていた。

その中でもファウベル。お前は特に王女派の貴族たちを先導し、対抗する王子派と争わせようと仕向けていたそうだな。

あまつさえ、ナイトハルトの殺害を企てた。この罪は重いぞ!」


「そ、そんな私は、王子殿下をお助けしようと」


「よく言うわね。私に直接、お兄様を殺害しようとしていることを自慢げに語ったじゃない」


「ぐっ」


さすがに覚えているらしく、気まずそうな顔を見せて来る。


「呪いの首飾りのことも聞いている。お前は呪いの力を使ってナイトハルトを殺そうとした。

だが、それを止めてくれた娘がいた。その娘の名はシャルロット。お前のもう一人の娘だそうだなファウベル」


「そんな! 私達はあの女にずっと苦しめられてきたのです」


「そうです。あの女は呪われていて、私達はずっと恐くて耐えてきたのです」


ファウベル夫人とその娘が伯爵を庇うように発言してくるが、そんな嘘にこちらは惑わされない。


「おかしな話だ。シャルロットが本当に呪われた娘ならば、なぜお前達は無事なのだ?

10年間も小屋に閉じ込め、嫌がらせをし続け、食事も最低限しか与えて来なかったお前達がなんの呪いも受けていないのが、何よりもシャルロットが無実の証拠だ! この者達を牢へと連れて行け!」


「はい!」


「い、いやだ、こんな侮辱、受け入れられん! 触るな! 私は伯爵だぞ!」


「いやよ! 牢屋になんか入れられたくない!」


「誰か助けて! 離してよお!」


ファウベル伯爵たちの情けない様子に、こんな連中にシャルロットがずっと苦しめられいたことが不憫でならない。

兵士たちに連行されて行きながら、最後までファウベル伯爵たちからシャルロットへの謝罪の言葉はなかった。


「関係した貴族たちの話を聞き出せ。私も後ほど向かう」


騎士達に指示を出し終えたお父様は、集まっていた他の貴族たちに向き直る。


「この場にいる皆に告げる。王子と王女は対立などしていない!

お互いを思い合える兄妹だ。争いなどそもそもしていないのだ。

そして、今日、一人の光の力を持つ娘によって、長年床に伏していた息子に回復の兆しが見られている。

我が国に光が差したのだ。近いうちに王子の回復を祝って改めて夜会を開催する!」


お父様の宣言に、静まり返っていた貴族たちが今度は歓声を挙げる。

お兄様の回復祝いの夜会には、シャルロットも参加してもらいたい。


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