29
(アリシア王女視点)
お兄様の部屋へと移動するまでの間に、黒白猫はさらに真実を教えてくれた。
それはファウベル伯爵がシャルロットの父だということ。
そして、彼女はファウベル伯爵たちにずっと幽閉されていて、不遇な扱いを10年も受けて来たこと。
それでも彼女はギリギリまで、家族である彼らの罪が少しでも軽くなるように動いていたそうだ。
……私とお兄様に身分を話さなかったのは、そういうことだったのだ。
お兄様の部屋へと到着し、黒白猫を見て驚くお兄様に事の次第を説明する。
「シャルロットが大変なのか!? くそ、今直ぐなんとかしてやりたいのに……」
身体が重くて動けない様子のお兄様にお父様が首飾りをかける。
すると、お兄様の身体が仄かに光った。
「なんだ……力が漲ってくる」
【シャルロットさんの力です。彼女は光の力を持っているのです。
なかなか女性を見る目が優れているようですね。王子殿下】
猫さんの言葉を聞いて、お兄様が頷くとベッドから身を起こし、立ち上がった。
「父上、俺は……」
「お前が立っているだけで、私には奇跡だ。
早くその女性のもとに行ってやりなさい。後ほど私からも謝罪するが、非礼な振る舞いを謝っておいて欲しい。
息子と猫殿を牢まで案内してやってくれ」
「は、はい!」
お父様は騎士へと命じると、お兄様たちはすぐに部屋を出て行く。
それを見届けると、お父様は目を手で覆い、天を仰ぐ。
「……お父様?」
「いや、すまん。急に様々なことが動き出した気がしてな。
すまなかったなアリシア。信じてやれなくて」
「いいえ。お父様、ファウベル伯爵のことは……」
「私が対応する。お前も付いてきなさい」
「はい」
優しい彼女を辛い目に遭わせ続け、最後の最後まで彼女を痛めつけた連中を私は許しはしない。




