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「これは一体?」
「何が起こったの?」
ざわめく周囲の人々を他所に、私は自分の呼吸を整えるのに精いっぱいだった。
呪いを解くという行為は想像以上に精神力だけじゃなく体力が奪われるものだったのだ。
地面に膝をついてなんとか呼吸しながら、家族の様子を見る。
鎖に縛り上げられていたお父様が立ち上がっている姿が見え、ホッとしたのも束の間。
「こいつが呪いの力で王子殿下を殺そうとしたのだ!」
なんと私を指差し、とんでもないことを言い出した。
しかもお父様だけじゃなく……。
「そうなのです! 私達はこの女が王子殿下を殺そうとしたのを食い止めていたのです!」
「お父様とお母様の言う通りなのです。そしてこの女自身が呪われています!
さきほどの首飾りを見たでしょう? この女の呪いの力なのです!」
お母様もお姉様も、私が首飾りを使って王子殿下殺害を企てていたのだと、兵士たちに報告してしまう。
「確かに、ただならぬ者であることは明らか。それにどうやって城に入り込んだのかも聞かねばならん。
この者を捕らえよ!」
そんな、待ってください! と、言いたいけれど、呼吸をするのに精いっぱいで声が出ない。
両脇を兵に抱えられ、連行されてしまう。
お父様たちを見ると、ニヤニヤとこちらを蔑みながら笑みを浮かべていた。
そして、猫さんの方を見遣ると……。
【……やはり人間は醜く、愚かな生き物だ】
落ちていた首飾りを咥えると、走り去っていってしまった。




