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「お前!? なぜ城にいるのだ!?」
私の姿を見たお父様が驚愕の表情を浮かべる。
久しぶりに顔を合わせた両親は子供の頃に見た姿よりも年を重ね、姉と同様に身体は丸々としていた。
裕福な暮らしが分かるその姿に、自分の今までの月日を思うと辛くなる。
「小屋からいなくなったとメイドたちから報告があったと思えば、城にいるなんて!
どうやって入り込んだの!? なんて恐ろしいのかしら」
「お父様もお母様もどうして今日までこんなやつを生かしていたのよ!
王城でこんな呪われたやつと血が繋がっているなんて他の方々に知られたら、私死んじゃうわ!」
ぶつけられる言葉が針のように鋭く心を傷つけてくるけれど、怯んではいられない。
「お父様、手に持っている箱をこちらに渡してください。
それは王子殿下に近付けてはいけない物です」
「っ!? な、何を言っている」
私の指摘にお父様が箱を持っている力を込める。
「その箱の中に入っているのは呪いの首飾りですよね?
人を殺めることができてしまう物。
それを使って王子殿下を殺めようと計画しているのなら、今直ぐ止めてください!」
自分なりの大きな声でお父様を問い詰める。
すると、わなわなと震え出したお父様はあろうことか箱の蓋を開けてしまう。
「黙れ! 何も役に立たぬ呪われた女め!
王子よりも何よりも、お前の死を私たち家族は望んでいる! 呪われた首飾りによって死ぬがいい!」
お父様が勢いよく箱を開ける。
すると、鋭く不穏な空気が周囲を包み込む。
箱からギュルギュルと耳をつんざくような音と共に、巨大になった首飾りの鎖部分が飛び出して来ると、あろうことかお父様とお母様、そしてお姉様の身体に巻き付く。呪いの力によって、禍々しい光を放つガーネットが姿を見せた。
「ぎゃああああ!」
「何よこれ!」
「助けてえええ!」
三人それぞれが悲鳴をあげると、騒ぎを聞きつけた兵士や貴族たちが駆け付けてくる。
皆何が起こっているのか戸惑っている。
「猫さん! どうしたらいいですか!? 私には呪いが解けるのですよね!?」
【助けるのですか? 貴女の死を望んでいる連中ですよ?】
「どれほど酷いことをされようとも家族なのです」
猫さんに懇願すると、猫さんはため息を吐きながらも頷いてくれた。
【では、首飾りに思念を伝えるイメージを持ち、私に続いて詠唱してください】
「はい」
【憎しみに縛られし魂よ、今ここに光の力をもってその憎しみを解放する】
「憎しみに縛られし魂よ、今ここに光の力をもってその憎しみを解放する】
猫さんに続いて言葉を紡ぐと、自分の身体を仄かな光が包み込む。
【首飾りに宿りし呪い、浄化されよ!】
「首飾りに宿りし呪い、浄化されよ!」
強い口調で首飾りに向けて念を送ると、一際眩い光が輝く!
光が徐々に消えていくと同時に、巨大化していた鎖は小さくなっていき、ガーネットも美しい宝石の姿に戻っていた。




