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(アリシア王女視点)
ぱちっと目を開けて、スッキリした目覚めをし、まず目を向けたのは昨晩食べ物を入れていたバスケット。
いつも残ってしまっているのだが、今日はほとんど空っぽ。見ているだけで頬が緩む。
長年床に伏している兄に光明が差して来たのだ。
これは喜ばずにはいられない。本当ならお父様とお母様にも報告したいけれど、まだ時期尚早だろう。
お兄様の生きる希望になってくれそうなシャルロットの願いのために動き出さなければならない。
身支度を整えてもらい、早速動き出す。
「呪いの首飾り……お兄様への献上品を私が見ようとするだけで、お兄様派の連中に嫌な顔をされそうだけど、気にしてられないわよね」
心当たりがありそうな人物に声をかけようと城内を歩いていると。
「これはこれはアリシア王女殿下。ご機嫌麗しゅう」
嫌だわ。特に嫌いな貴族に出くわしてしまった。
王女派を自負する貴族代表とも言えるファウベル伯爵。
先代のファウベル伯爵は大変優秀な人物でお父様とも親交が厚かったと言うが、当代のこの男は自分の欲のためにしか動かない。
「もうすぐ王族主催の夜会ですな。私も妻と娘を連れて参加させていただきます。
いやはやしかし殿下はいつ見てもお美しい。私に息子がいたらぜひ婚約者の候補にしていただきたかったですなぁ」
冗談じゃないし、願い下げだ。
相槌は打たず、我ながら不機嫌な顔をしているつもりなのに、こちらの様子は意に介さずファウベル伯爵は話し続ける。
「どうせ王子殿下は今回も少し顔を出すだけで退席されるのでしょう? 王太子の立場だというのに情けないことです」
「お兄様を馬鹿にしないで」
さすがに反論すると、ファウベル伯爵は笑う。
「ははは。表立っては王女殿下も兄君について悪くは言えますまい。
しかしここだけの話。もう少しで邪魔な兄王子が消えてなくなるかもしれませんぞ」
「っ!?」
いつもなら関わり合いになりたくなくてさっさと話を切り上げてしまうところだけれど、聞き捨てならないことを言われた。
もしかして、ファウベル伯爵ならシャルロットが探している首飾りについて何か知っているかも。
「……詳しく聞かせてくれるかしら?」
私が話に食いついたことを嬉しそうにして、ファウベル伯爵は不穏な計画を話し出した。




