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「悲しい話ですね」


【ここまでならよくある悲恋話なのですが、ここからが人の欲望の醜さが分かる話です】


亡くなってしまった二人の遺体を前に、猫さんは困ったそうだ。

なんとか埋葬して弔いたいが、猫の自分には何も出来ない。

困り果てていると、貴族の男性の両親が現れた。

非道な命令を下した二人に堪らず威嚇をした猫さんだったそうだが、男性の両親は悲痛な表情で自分たちの息子と、そして息子が愛した女性に手を合わせて悲しんでいた。

猫さんからすれば、今更遅すぎると思ったそうだが、男性の両親は彼女の家の近くに立派な墓を作らせ、手厚く二人を一緒に埋葬した。

息子の恋を反対したことを後悔している様子で、二人にとっての思い出の品の首飾りも二人の遺体と一緒に埋葬された。

葬儀を終えると、猫さんに貴族の両親は「家に来るか?」と問い掛けて来た。

猫に言葉が通じるとは思っていなかったとは思うが、それでも問われ、猫さんは何も声を発さず、女性の家のクローゼットの中に隠れた。

それが拒否の返事だと男性の両親は理解し、帰っていった。

猫さんは少し、ホッとした。猫さんは自分も近いうちに死ぬと認識していたらしい。

猫さんの予想通り、猫さんはそのまま死んだ。

死んだらどうなるのか、猫さんにも分からなかった。


しかし突如、ハッ!? と、意識が浮上したという。


死んだはずなのに目が覚めた感覚で、クローゼットから出た猫さんはキョロキョロと周囲を見渡す。

どれほど時が経ったのか分からないほど、女性の家はボロボロになりほぼ廃墟になっていた。

そして外から複数の人物の声と物音が聞こえてきた。

ガラスが割れてしまっていた窓から外を見ると、甲高い声で話す女と複数の男たちが、なんと、猫さんの主と貴族の男性の墓を掘り返していた。

呆気にとられている間に、罰当たりな連中の狙いを猫さんは察する。

彼が彼女に送った首飾り。それを狙っているのだ。

予感は的中し、土の中から首飾りは見つかってしまった。

どこで情報を掴んだのか、貴重な宝飾品が埋められていると聞きつけてきたようだ。

女が土を払った首飾りを満足気に見つめて自らの首に掛けると、男たちを引き連れてその場を去って行く。

猫さんは慌てた。持って行かれるわけにはいかない。アレは主の宝物なのだから。

窓から飛び出した猫さんは自分の身体が透けていることに気付いた。

この時猫さんは、自分は死んでしまって、幽霊としてこの世に留まってしまったことを理解した。


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