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【お助けするのが遅れて申し訳ありません】
「猫さん!? さきほどの低い声と姉を吹き飛ばしたのは猫さんですか?」
【はい。ふふ。私とて幽霊の端くれですからね。人を驚かせるくらい余裕です】
誇らし気に胸を張っている猫さんを見て、肩の力が抜けた。
猫さんの頭を撫でさせてもらい、お礼を言う。
「ありがとうございます」
【いえ。しかし、あの女は恐ろしいことを言い残していきました。
このままここにいてはシャルロットさんの身に危険が及ぶ恐れがある。
と言うわけで、私が寝床にしている空き家に一先ず身を隠しませんか?】
いずれにしても、この家からは出て行くつもりだった。
自分には生きている意味があるのかと考えた日もあるが、少なくとも今は呪いを解くという使命ができている。
まだ、私は死ねない。
「猫さん。お願いします。連れて行ってください」
【承知しました。再び姿を消す魔法をかけますので付いて来てください】
猫さんの後に続き、今度は昼間に外に出る。
太陽の下に出れたことに喜びを感じつつ、名残惜しいと思うこともないまま、私はファウベル邸を後にした。




