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王女殿下と手を繋いだまま、導かれるように城の中を歩く。

一体どこに行くのか不安だが、ちらっと後ろを振り返ると猫さんがちゃんと付いて来てくれているので安心した。


「あ、あの殿下? どちらに向かわれているのですか? それにどうして信じてくださったのですか?」


「信じたのは貴女が悪人じゃなさそうだったから。

城には毎日大勢の人間が来るの。

第一印象で良いか悪いか、なんとなくは分かるようになったわ。

向かっている場所は行けば分かるから。付いて来て」


兵に突き出されたらどうしようかと思ったのだけれど、王女殿下は人目を避けるように進んでいく。

やはり、猫さんの見立て通り……。


「殿下も、見つかったら困る状況なのですか?」


「あら、良く分かったわね」


「真夜中なのに、ドレスを着て身形を整えていらっしゃいますから」


「うふふ。その通り。ドレスで会いたい人に会いにいくのよ。大丈夫。悪い人じゃないわ。ここよ」


一際大きな扉の前で殿下が足を止める。

ゆっくりと扉を開けると、先に入った殿下に手招きされた。

促されるままに殿下のあとに付いて行くと、仄かな明かりに照らされる室内に天蓋がついた大きなベットが中央にある部屋に辿り着く。


「アリシア。今夜も来てくれのか」


「もちろんよ、ナイトハルトお兄様」


お兄様!?

と言う事は、ベッドにいらっしゃる方はナイトハルト王子殿下!


「今日は友人を連れて来たの。来て」


ゆ、友人? 私のことでいいのだろうか?

でもどう考えてもこの場には猫さんと私しかいないので、恐る恐る、殿下達の方へと近付いていく。

ベッドから身を起こしていた王子殿下と目が合い、頭を下げる。


「シャルロットと申します。お初にお目にかかります、ナイトハルト王子殿下。お会い出来て光栄です」


王女殿下が金髪だったので王子殿下も同じく金の髪なのかと思ったのだが、肩に付くくらいの黒髪で、瞳の色は王女殿下と違い赤い。

お身体が弱いとのお噂から気弱で優し気な王子様を想像してしまっていたけれど、端正な顔立ちに鋭い目つきの凛々しい王子殿下だった。

ご体調は悪くないのか、私を見つめている瞳は輝いていて、頬も赤く染まっている。


「なんて美しい人なんだ! 俺と結婚してくれ!」


両手を広げて、愛の宣言をされてしまった。


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