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楽しんでいただけるように頑張ります
私は幽霊のようなものが幼い時から見える。
【ようなもの】と言葉を付けているのは、幽霊なのか精霊なのか、はたまた神様のようなものなのか私には分からないからだ。
もしかしたら化け物のような類の存在もいるのかもしれない。
はじまりは8歳になったばかりのとある日。
家族と町を歩いていて、私の方を向いてくれていたお母様が前から歩いて来たおばあさんとぶつかりそうになった時。
「お母様。おばあさんに道を譲ってあげた方がよくないですか?」
「え?」「ん?」「は?」
両親は立ち止まって私を不思議そうに見てきた。
もう一人、お姉様は気分よく歩いていたところを止められて不愉快そうに足を止める。
このままではおばあさんとお母様がぶつかってしまうと思った私はお母様の手を引っ張り、道の端に連れて来た。
すると歩いて来たおばあさんは私に微笑み、ペコリと頭を下げてくれた。
良かった。道を譲って正解だった。子供の私は素直にそう思った。
ホッとして両親を振り返ると二人は不思議そうな顔をしてこう言った。
「おばあさんなんていないじゃないかシャルロット。嘘を言うのはやめなさい」
「幼い時から嘘つきだなんて、どうして姉の○○のようになれないのかしら」
「ほんっとシャルロットってダメね。嘘をついてまで構って欲しかったってことでしょ? 最低~」
両親からは叱られ、姉からは馬鹿にされてしまい、私は涙ぐんで俯いた。
本当のことなのに、どうしたらいいのか分からなかった。
すると、何を思ったのかさきほどのおばあさんが戻って来た。それもものすごい数の真っ黒い影を連れて……。
「あの、また」
私の方を向いていた家族に、またおばあさんが来たことを知らせるためにお婆さんの方を指差す。
「何度も嘘をつくな」
「何もいないでしょ」
「シャルロットの嘘つき~」
と言いつつも、振り向いた家族は、
「「「ぎゃあああああああ!!」」」
三人揃って悲鳴をあげた。
先ほどまでは私しか見えていなかったのだが、どういうわけか家族にも見えたらしい。
しかも、おばあさんと黒い何かは恐ろしい形相になり、家族に覆い被さっていた。
慌てふためいてその場を這いずりながら家族は逃げ出していき、呆然と立っていた私に対し、おばあさんはまた優しい顔になって頭を撫でると今度こそ完全に消えて行った。
この日からだ。
私がファウベル邸の屋敷内にある小屋に幽閉されるようになったのは。




