5.効き茶ピンチ?
効き茶って私は碌にお茶を嗜んで育ってないんですけど?
この令嬢様達の中で私はどんな環境で育ったと思っているのでしょう?情報は伝わっているはずですが?娘は知らないの?
「まずは王女様に見本をしてもらいましょう?」
「素敵~」「やっぱ最初はね~」とか言ってるけど、目が笑ってないのよ。
私に出されたお茶は深い緑色だった。
「王女様なら楽勝よね?見ただけでわかるんじゃないかしら?」
「私には紅茶に見えないわ~」という令嬢がほとんど。
「ヒントになっちゃうからおしゃべりは禁止よ~」
腐ってる?匂いは緑の匂いね。これは話に聞いた事がある‘緑茶’という東方で重宝されているものかしら?向こうではむしろ紅茶を飲む習慣がないのよね。
という、答えを私は言った。
「……正解よ。流石は王女様ね。知識量もピカイチね」
本当は外れさせて、私を貶めたかったんでしょうね。普通の紅茶の方が効果的なのに。こんなに個性的なものを出すから、逆に知識が出てきたのよ。
そのあとの効き茶は私的にはレベルが高かった。
茶葉の産地だの収穫時期だのそんなの絶対わかんないってのばっかりだった。
本当にこっちを問題としてだせば「こんなのもわからないの?」的に私を貶めることができたのに。
そんなことをしてお茶会は終わった。
……テーブルの上のお菓子を食べさせてよ。と思った。
「ハッハッハッ。そいつは愉快だな。婚約者候補の令嬢達にはいつも手を焼いてたからレイチェルの効き茶効果はかなりあったと思うぞ?」
「セドリック様!笑い事じゃないです。緑茶が出てくれて安心しましたし、本当に紅茶だったら種類も何もわかりません。…テーブルの上のお菓子を食べたかったなぁ」
「執着がすごいなぁ。そういうだろうと思って一人が食べる分、手配をしておいた。さぁ、存分に食べるといい」
セドリック様の後ろに後光が差して見える。眩しいっ。
一人分には多いなぁ。
「セドリック様も一緒に食べましょうよ?」
「俺は……甘いものが苦手なんだ。よほど食べないといけない場合を除いて口にしていない」
なんてこと!
人生半分は損しているみたいな生活をしているのですね。
そんなつもりはないのに、私はセドリック様を不憫~って感じの目線で見ていたようで、私の口の中にこれでもかと詰め込まれた。
咀嚼はしにくいし、口の中の水分は無くなるしでなかなか大変でした。
「あのお嬢様達は私が貧乏生活していたことを知らないのですか?」
効き茶って貧乏だから、紅茶すら薄かったわよ!
「ああ、父親は知ってるだろうけど、娘には教えてないんじゃないか?俺が口止めしてるわけじゃない」
そういえば、エルフィンストーン帝国からの圧力で~公国(名前長い)への物資の出入りがストップしたみたい。
「普通にこれはダメージだろうな。自給自足しか生きる道が無いんだから」
セドリック様…相当な方法でジワジワと追い詰めてる。敵にしたくない。
エルフィンストーン帝国内は効き茶をする余裕があるけど、あちらは生きていくので精一杯だろう。
お嬢様は紅茶マイスターですか?ってくらい知識とかすごいと思う。淑女の嗜みなのかなぁ?凄いなぁ。