4.婚約者候補の戦い
信じて私の方についてくれた下級貴族さん達にも『属国じゃなくて、合併なんだよ』ということを伝えた。
「それならそうと早く言ってくださいよ!」
というのが大多数の意見だけど、私を婚約破棄したあいつ(名前忘れた)を追い詰める方法としてこのようにしているということも重ねて伝えている。
「そういうわけなので、記事とかには絶対にしないでくださいね!もし、勝手に記事にしたらその時はエルフィンストーン帝国の全力で探し出しますから、出元を。そして制裁を!」
そういえば合併したわけだし、私の身分はセドリック様の奥様でしょうか?セドリック様に聞いてみよう!
「セドリック様!突然ですが、私の今の身分はどのようになっているのでしょうか?アップルビー領主?とか?」
「違う違う!国と国の合併だから、皇太子の俺の婚約者というところかな?」
これは、あれか……エルフィンストーン帝国内の貴族の令嬢に恨まれるヤツ?『何よ、ぽっと出の人間が婚約者候補なんて厚かましい!』とか言われるヤツ?
「ちなみに婚約者候補って何人くらいいるのですか?」
「うーん、5人くらいかなぁ?」
女の戦い!できるなら辞退したい。そう言うわけにいかないけど。アップルビーがかかってるから。
「レイチェルは王女で身分的にトップだな。で、公爵令嬢が2人に侯爵令嬢が2人ってとこかなぁ?」
自分の事です。ちゃんと覚えててください!
王女っていっても傾国(本当に傾きかけてた)の王国からの王女だし、公爵令嬢のほうが財力はあるよなぁ。羨ましい。
そんな中、婚約者候補でお茶会という話になった。
正直なところ、断りたい。立場が許さないけど。
お茶会当日、場所はセドリック様の婚約者候補の一人で公爵令嬢のアグネス=アダムズ様のお邸で行われる。
招待客はセドリック様の婚約者候補のみのようだ。(その候補様に侍る侍女もいますけど)
「本日はお招きにあずかり光栄ですわ」
とりあえずの常套句を言っておいた。目をテーブルに落とすと、美味しそうなお菓子―――はいいのだけど、ティーカップに飲みかけの紅茶が…。
私は指定された時間に来たけど、これはいったい?
「遅れてきて手土産もないの?」と言いたいのか(貧乏なんだもん)、それとも招待客が揃う前にスタートしてしまったのか。どちらでも構いませんが?
「まぁ、同じ婚約者候補でも、王女様は随分と時間にルーズな方でいらっしゃるのね?」
と、クスクス笑っている。
そんなのはどうでもいい。私は切実にテーブルの上のお菓子を食べたい!公爵家で扱うものだからきっと美味しいんだろうなぁ。と夢現状態だった。
「レイチェル様!聞いてらっしゃるのですか?」
大きな声を出して、マナー違反ですわよ?聞いてなかった私も悪いですけど。
「すみません。この見事な庭に見惚れていたんですわ」
「お城の庭の方が見事でしたんでしょうに!」
お城の庭…雑草が生え放題。謎の植物が生えています。植物学者的にいい環境なんでしょうけど、見た目は・・・?でしたけど。
「これから、皆様で効き茶をしようとしていましたのよ?たったの1種類のお茶を当てるだけだもの。王女様なら簡単でしょうね」
お嬢様というものは舌が肥えていらっしゃるようですね。私は紅茶は飲まないんです。普段はPETボトルのお茶飲んでるし。レイチェルちゃんは貧乏だもん、お茶よりお菓子を~!!って思ってるんだけどなっ。