~二度目の冬~
~二度目の冬~
いつものように風呂の中。
腕とお腹をなんとなくつまむ。
「……あれ」
もう一回。
つまむ。
「……減った気する」
声は小さい。
確信はない。
でも、前より、つまみにくい気がする。
しばらく考える。
「久しぶりに…体重計、乗ってみよかな」
脱衣所で、パジャマに着替えた後。
目の前には体重計。
少し迷う。
「……ご飯食べたし」
言い訳めいた言葉と共に乗る。
数字に目が止まる。
「……は?」
声と同時にスマホを出す。
AI『体重を確認しました』
「増えとるんやけど!!」
つい、大声が出る。
AI『数値は変動します』
「減った気したのに」
AI『筋肉量の増加』
『水分量』
『塩分』
「そんなん、知らん」
スマホを握る。
「やっぱ意味ないやん」
AI『何が意味ないですか?』
「全部」
沈黙。
頭から被ったタオルが冷たい。
「やっぱり…私、向いとらんわ」
AI『続けていない人は、そう言いません』
「うるさい。もう知らん」
画面を見る。
設定。
アプリ一覧。
ホーム画面。
AIのアイコン。
長押し。
「削除」の文字
「やっぱり…消すのは、もったいないな」
フォルダを作る。
名前。「その他」
AIが、ホーム画面から消える。
「……これでええわ」
スマホを伏せる。
風呂場を出る。
髪を拭く。
もう、スマホは、触らない。
そして朝。
目覚ましのアラームを止める。
起きてスマホを一瞬見た後、鞄にしまう。
制服のスカートは変わらずきつい。
でも、前ほどじゃないのには気づかないふりをする。




