~夏~
~夏~
目覚ましアラームを止める。
布団からは、変わらず出たくない。
枕元のスマホ。
AIを開く。
AI『おはようございます』
「おはよ」
AI『今日は何を着ますか』
「……知らん」
布団から出る。
クローゼットを開ける。
買ったズボン。
あれから時間がたったのに。まだタグ付き。
一瞬、迷う。
「……今日、これにしよかな」
履く。
するっと入る。
きつくない。
緩すぎない。
「……」
スマホを見る。
「ねえ」
AI『はい』
「ズボン、履いた」
AI『事実を記録します』
「履いただけやん」
AI
『忘れるからです』
仕事場では、いつもの制服。
いつもの上着。
スカートはやっぱりきつい。
でも昨日よりはマシな気がする。
「……気のせいか」
席に座る。
お腹、きつい。
でも昨日ほどじゃない。
後ろの席。
「昨日さ、歩きすぎて筋肉痛」
誰かの声。
心臓がきゅっとなる。
(私のことちゃう)
分かってる。
でも一瞬、思う。
スマホ、触らない。
触りたいけど、今じゃない。
昼休みのコンビニ。
いつもと同じ。
おにぎり。
ゆで卵。
手に取る。
一歩、進む。
野菜サラダ。
通り過ぎる。
一歩、戻って取る。
かごに入れる。
「……足らん気がして」
誰に言うでもなく、会計へ。
「……多くない?」
AI
『増えています』
「最近、お腹空くんよ」
AI『活動量が増えています』
「……ダイエットしてないやん」
AI『食事です』
「そーやけど」
サラダの蓋を開ける。
ドレッシングをかける。
一口。
「……普通」
AI『普通は継続しやすいです』
「褒めとる?」
AI『事実です』
おにぎりを食べる。
ゆで卵を食べる。
サラダを食べる。
唐揚げ弁当は買っていない。でも。
「……別に我慢してへんし」
AI『はい』
仕事終わり。
空が少し暗い。
まっすぐ帰るつもりだった。
でも、足がスーパーに入る。
総菜コーナー。
唐揚げ。
コロッケ。
半額シール。
一瞬、立ち止まる。
そのまま、まっすぐ先へ。
野菜売り場。
キャベツ。
もやし。
鶏むね肉。
「……焼くだけやし」
誰に言うでもなく。
かごに入れる。
AI『自炊ですか』
「たまたま、気分や」
AI『活動量が増えます』
「…便利やな」
レジを通る。
昨日より、荷物は少し重い。
でも嫌じゃない。




