表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/58

49話 死なばもろとも

予定では残り2話で4章完結の予定です。

その2話では、単品でも楽しめる様にしたいと思ってます。

「んじゃ、そろそろ始めるか。まずはそこの剣士ちゃんからかな」


倒れ込んでる私の顎を持ち上げると、彼と目が合いました。


ダメ…!魅了…されては…!


魅了チャーム


ヤマさん…ごめんなさい…


私はマサシの眼を見てしまった。








しかし…


彼の眼を見ても何も起こらなかった。


「な、何で…何で効かないんだよ!!前は間違いなく効いてただろ!!お前、一体何をした!!」


「な、何って…私は何も…」


何か見られてるな、って感じしかしません。


これは一体…?








「教えてあげようか?」


天井から少しつり目の大人びた雰囲気の女性が飛び降りて来ました。


しかしどことなくシオンさんに似ている様な…


「姉さん…!」


「こいつがシオンの姉なのかにゃ?」


「はい!」


似てたのは姉弟だったからですね。


腰に短剣を付けてたり、戦闘スタイルはネネさんに似ている気がします。


シオンさんとは対極と言った感じです。


「…シオン、少し待ってて」








「ハスィ!丁度良かった!こいつらをとっちめて…」


「嫌です」


「…何を言ってるんだい?俺の言う事が聞けないのか?」


「はい。今後、二度とマサシの言いなりにはなりません」


「ふざけてるのか?お前は俺の事が好きだろ!?」


「生憎だけど、マサシに対して好きと言う感情を持った事は一度も無い」


魅了されたら信者みたいになるって聞いてましたが…例外もあるのですかね?


いえ、それなら私達を倒せと言われた時に拒否しないはずですし…


「シオンの恋の成熟の為にリリアンの催眠を解く、その為に私は催眠にかかった振りをしてずっと機会を伺っていた」


…そういう事だったんですね。


シオンさんの為に危険を犯してでも敵陣に乗り込む…カッコいいです!


「そして今日、漸くそのチャンスが来たんだ。犠牲まで出してしまった以上、絶対に逃しはしない!」


犠牲…?


「だ、だが魅了が何で効いてないんだよ!俺の魅了は魔法耐性があっても貫通するんだぞ!」


「何故か?それは、その魅了には弱点があるから」


「は?弱点?」


弱点…ですか?こんな強力な力にそんな物が…?


「それは、一度仕組みを知られると効果が無くなってしまう事。サキュバスもそうだけど、魅了とは言ってもこれは催眠術の方に近い」


魅了だけどこれは催眠術??


頭がこんがらがって来ました…


「全然理解が追い付かないにゃ…」


「じゃあちょっと実践してみようか」


じ、実践?そんな簡単に魅了の再現する方法があると言うのですか?


「ネコちゃん、今から猫騙しするよ」


「にゃ?」


そうネネさんに宣言した後に、目の前で猫騙しをやりましたが…ネネさんにはこの行動の意味が分からなかったみたいです。


それは他の全員も同じです。


「どう?びっくりした?」


「…いや、来るって分かってるんだから何も思わないにゃ」


「姉さん、これはどういう意味が…」


「これと同じで、仕組みがバレてれば効果は無い。来るって分かってる物に引っ掛かる人は居ないでしょ?」


えーっと…つまり魅了を使うことを前もって知ってれば問題無い…って事で良いんですかね?


こう言った事は苦手ですね…


「シオンは男だし言わずもがな、ワンちゃんは知らないけど、ネコちゃんと剣士ちゃんはヤマくんの事が大好きみたいだしね」


「だ、大好きって!?そ、そんな、別にヤマさんとはそんな関係では…」


ヤマさんは只の友達で!仲間で!べ、別に恋人とかそんな関係では!


「え?仲間や友達として信頼し合ってる意味で言ったんだけど…もしかして違った?」


「あ…そう言う意味でしたか…」


…何ででしょう?すごく残念な気分になりました…


「また変な妄想でもしてるのかにゃ」


「してません!!」


またって何ですかまたって!そんな変な事ばっか考えてませんから!


「勿論、私もシオンの事は大好きだから。最初から効いてなかったよ。…そんな深い愛情を持った二人が、今さら魅了されると思う?」


「一回目はやられてたにゃ」


「魅了が来るって自覚してるのが前提だから、それは仕方ないよ」


つまりは私達がヤマさんを大好きでいる限りはもう効かないって事ですね!


もう恐れる事はありません!これが私達の力ですよ!


「…クソッ!!クソクソクソクソクソクソッ!!!何でだよ!!ここまで順調だったのに何で上手くいかないんだよ!!あんなにチート沢山貰ってイケメンにもして貰って…」


「そりゃそうでしょ」


やれやれと言った感じでハスィさんは呆れていました。


「見てくれだけ変われば何でも出来ると思ったの?そんな表面だけの力でさ。100点の力を持ってふんぞり返る人と、40点でも毎日頑張る人、私なら後者を取るよ」


「んにゃ、確かにヤマみたいにネネ達をずっと気にかけてくれたり、この水色みたいに毎日努力してる人は皆に愛されてるにゃ」


「うぇっ!?な、何で知って…」


ど、どうして知ってるんですか!?


誰にも言わないで特訓してたはずですが…


「夜のランニングしてた時、素振りとか筋トレとかしてるのを偶然見かけたにゃ」


本当に偶然だったのですね…


それと、ネネさんも体力作りはしていたのですね。馬鹿にする意味では無いですが、ちょっと意外です。


「わんもだんちょーやきょーかんに稽古付けて貰ったりしてるわん!」


「ぼ、僕も自主トレならしてます!」


こうして見ると、大なり小なり皆さん個々で特訓してたのですね。


継続は力、ですから!


「うるせえ!!今時努力とか修行とか流行らねえんだよ!!楽して強くなったり愛されたりするのが普通なんだよ!!」


「はいはい、モテない無能男の模範解答をどうも」


「…まあ良いよ!俺にはまだ聖剣がある!他にも何でも作れるんだ!もう許さねえ!全員ぶっ潰してやるよ!」


魅了を突破してもまだ終わった訳ではありません。まだ武器の生成能力が残ってますし、攻撃もほとんど効かない、更には再生能力まであります。


こんなのどうすれば…


「…仕方ない。出来れば使いたく無かったけど、これが私なりの償いだ…!」


「ハスィさん…?」


何をするつもりですか…?何やらとても悲しそうな表情をしています。


それには償いとは一体…?


「シオン…ごめんね…こんな頼りないお姉ちゃんで…」


「ね、姉さん?…!まさか…!それは!駄目だ姉さん!それだけは!」


「シオン、剣士ちゃん、ネコちゃん、ワンちゃん」








「すまない…」








そう言った瞬間








彼女は自らの短剣で喉を引き裂いた。








「ハスィさん!?な、何でこんな…」


「おいしっかりしろにゃ!」


「退くわん!すぐにわんが治療するわん!」


何故こんな…!いえ、考えるのは後です!急いで治療を…


「あーっはっはっはっ!!!何だよこいつ!!!あれだけ言っておいて最後は自決!!!馬鹿みたいだ!!!」


「このクズ…!人として終わってるにゃ!」


…っ!


人の死を愚弄する事なんて…!どんな人でも許される事ではありませんよ!!


「笑うな!!」


「あー?」


「姉さんは命を捨ててでも、お前を倒す覚悟を決めたんだ!馬鹿にするのは僕が許さないぞ!」


「だから何だよ。そいつが自決した事が何の関係…がはっ!な、何だよこれ…心臓が…」


咳き込んだと思えば急に血を吐き出しました。


これは最後にハスィさんな行った事が何か関係が…?


「うがあああ!!!!痛いいい!!!!苦しいいい!!!!」


胸を抑え、その場に踞り、とても息苦しそうです。


そして痛みが頂点に達したのか…


「うぎゃあああああ!!!!誰かあ!!!!殺してくれええええええ!!!!助けてくれええええええ!!!!」


遂には地面をのたうち回り始めました。


苦しいのでしょうか…?いえ、しかし何が起きてるのでしょう?


彼にダメージはほとんど入らないはずですが…


「何が起きてるんだにゃ…?」


「カース…」


カース…?


「呪い、と言えば分かりますか?」


「人形に杭を打ち込むあれかにゃ?」


「その認識で大丈夫ですね。姉さんはマサシにカースを使ったんです。…ですがその代わり…」












「カースの使用者は命を落とします」


「え…」


もしかして…


「姉さんは命と引き換えにマサシに呪いを掛けました。…共に命を落とす様に」


「でもマサシは不死身だったはずにゃ…」


「はい。なので彼は死ねません。ですがこの呪いは『命を落とす』のが解ける条件です。一緒死ねない彼には死ぬほどの苦痛が一生続くのでしょう」


確かにこれならまともに動くことも喋る事も出来ませんので、実質無力化したと言えるでしょう。


…ですが!その条件がこんな…!









ネネさんがのたうち回るマサシの事を隅にゴミみたいに蹴り飛ばし、今この場に残ったのは亡き者となってしまったハスィさんとそれに寄り添うシオンさんだけになりました。


必死の治療も虚しく、彼女が目を覚ます事はありませんでした…


「…」


彼は何も語りません。


今見えるのは…頬の涙だけです。


「…今は一人にさせてあげましょう」


「なら今の内にネネちゃん達はヤマおにーさんを探してくるわん。一応わんはここを見張ってるわん」


「分かったにゃ。シオンを頼むにゃ」


「任せるわん」


…それでも私達にも目的はあります。今の私達が彼に出来る事は、何もありません。


ヤマさんの為にも、私達は最奥だと思われる扉に足を進めました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ