46話 切り込み隊長ヴィラ
結局罠で一話使いました(笑)
それと私情ですが、Twitter&質問箱を開設しましたので、興味があれば見てください。
簡単な質問でしたら可能な限り答えます。
幸いにもそこまで深くない穴でしたので、何とか自力で這い上がりました。
「と、とにかく注意して進みましょう。どこにどんな罠が仕掛けられてるか分かりませんので…」
「ならネネに良い考えがあるにゃ」
そう言うとネネさんは何故か自分の履いていた靴を脱ぎ始めました。
素足になって何をする気なんでしょう…?
すると脱いだ靴を転がす様にして投げました。
投げた靴は数メートル進んだ後にピタリと止まってます。
「よし、このルートは平気だにゃ」
「な、なるほど…」
「靴が転がった所は安全だって事ですか?」
「んにゃ、靴なら無くなっても大した問題にはにゃらないし、これなら安全だと思うにゃ」
おお!これは賢いです!
確かに被害を最小限に済ませて安全に進めそうです!
ここからは私の出番です!先陣を切って先に進み…
カチッ
「…へ?」
何やら変な音が…?起動音…ですか?
あの、凄い嫌な予感が…
「あべベベベベベベベベ!?!?!?」
し、痺れるううううう!?!?!?
「こ、今度は電気ショックですか…」
「マサシは何を目指してるんだにゃ…」
や、やっと収まりました…全身が焦げ臭いです…
「普通にごめんにゃ。悪気は無かったにゃ」
「わざとなら本気で怒りますからね!?」
「でもこの作戦は失敗にゃ。靴だと軽すぎて反応しないみたいだにゃ」
うーん…良いアイデアだと思ったんですけどねぇ…
あ!そうです!
「あの、こんな作戦はどうでしょうか?」
「せーのっ…!それっ!」
私は地面を歩くことをせず、大きなジャンプでぴょんぴょん跳ねながら進む事にしてみました。
「大ジャンプで進んで何が目的にゃ?」
「下手に地面を歩いて罠を踏むリスクを負うよりも、一歩一歩の歩幅を大きくすればそれだけ踏むリスクは避けられる筈です!」
変に歩く時間をかけるから危険なんです!ならそれをカット出来れば相対的に被害は抑えられるはずです!
それっ!もう一回!
ぴょーんと!…しゅたっ!
カチッ
え
な、何やら鈍い音が…?
え、あ、ちょ、この感じまた…
「…あれ?」
暫く経ちましたが、何か起きる気配は一向にありません。
ラッキー…?
「…不発の罠だったのでしょうか?」
「ちぇっ、面白くねーにゃ」
「遊んでる訳じゃないですからね!?」
まあ発動しないに越したことはありません!さあ、気を取り直して先に…
「…わう?くんくん…変な鉄?みたいな臭いがするわん」
鉄…?まさかまた血が…いえ、それなら血の臭いと言う筈です。
罠以外にも何かあると言うのでしょうか?
「とにかく急ぎましょう。罠以外にも何が仕掛けられてるか分かりませ…」
ひゅーん…
「何の音でしょうか…」
何かが落ちてくるような…?上を確認してみ…
ゴン!
「あいっ!?お、うご、あえ…」
い、いったぁぁぁぁぁぁい!!!
な、何故何も無い空からタライが…
「タライ落としの罠…」
「このタライどっから落ちてきたにゃ…」
うぐぐ…着地点が罠なら結局一緒ですか…
「ネネと先頭交代するかにゃ?」
「…いえ!私は『強くて頼もしいリーダー』ですから!この程度何てこともないです!」
そうですよ!この程度耐えられないと、ヤマさんを守りたいなんて夢のまた夢です!
気を取り直して行きますよ!
「ぴゃっ!げほっげほっ…」
「泥の罠だにゃ」
「うひゃっ!ひぇぇ…ベタベタします…」
「ベタベタが出る罠ですね」
「ひょえっ!?冷たっ!しかも地味に痛いです!?」
「水鉄砲だわん!」
罠の嵐を突き進み、漸く中庭を抜ける事が出来ましたが…
「うへぇぇ…」
私の全身は泥まみれでずぶ濡れ、しかもベタベタするし所々に焦げた後や肌が切れた跡まで付きました。
他にも葉っぱや小枝が突き刺さったり、髪もボサボサになったり…
みんなは多少跳ねた泥とかが付いただけで済みましたが、私は結構被害を食いました…
「本当に大丈夫かにゃ…?色々と酷い事になってるにゃ」
「しかもちょっと透けてるわん」
「え、う、嘘!?」
「!?」
最後に受けたのは腹部や顔に発射された水鉄砲でしたので、こんな事に…
とにかく何とか…でもこんな所に着替えもタオルも持ってきてませんし…
ポーチの中にハンカチならありますが、数々の罠で使い物になりそうにありません。
これは我慢して進むしか…
「わん、洗浄魔法と乾燥魔法使えるわん!ヴィラおねーさんちょっと脱いでわん!」
「え!?こ、ここでですか!?」
いくら何でもそれは…
「どうせ誰も見てないからさっさと脱げにゃ」
「で、ですが今はシオンさんが…」
「別にそんな真っ平らな体、見られても問題無いにゃ」
「いや私は気にしますからね!?」
失礼ですね!
た、確かに何も凹凸の無いつまらない体ですけど!私にも恥じらいってのはありますから!!
「とにかくさっさと脱げにゃ!時間がねぇんだにゃ!」
「あ、わ、分かりましたから!シ、シオンさん!申し訳ないですが、暫く後ろを向いて下さると…」
「す、すみません!すぐ向きます!」
***
「これくらいならすぐ乾くわん!終わったらヴィラおねーさんの体もキレイにするわん!」
「わ、分かりました」
本当に僕なら見られても問題無いと言わんばかりに、話はどんどん進んで行きました。
姉さんやリリアン以外の女性でこんな事に遭遇すると、どう対応すれば良いのかイマイチ分からない…
「おぉ~?シオンくんはそんなにソワソワしてどうしたにゃあ?」
そんな僕を見て、ネネさんが面白そうに声を掛けてきました。
「え!?い、いえ!何でも無いですから!!」
「んにゃんにゃ。例えあんな平坦な体でも異性なら気になるのは普通だにゃ。そんな恥じる事は無いにゃ」
後ろから来たネネさんは、僕の肩に手を置いてニヤニヤしていました。
一応年上だと思うけど、何となく…お姉さんと言うより、同年代の友達みたいな感覚…
「んで、ちょっと見ちゃった感想はあるかにゃあ?」
「え、ぼ、僕は別に見て…」
「女はそーゆー視線には敏感にゃ。ネネにはバレバレだったにゃ」
確かにす、少し見ちゃいましたが…そんな簡単にバレてたんですね。
「んじゃヴィラにバラされたく無かったら、さっさと感想言えにゃ」
「そ、それは」
「どうせネネしか聞いてないにゃ。正直に言っちまえにゃ」
うぅ、確かに思った事はありますけど…
この三人、全体的に胸が小さいなぁと思ったなんて絶対に言えませんし…
ごめん姉さん。少しだけ言っちゃいます。
「姉さんと比べたら、ちょっとだけ細身だなぁと…あ、あくまでも姉さんと比べたらってだけですから!別にヴィラさんの体が変とかそんな事では無くて!」
こ、これなら大丈夫ですよね?当たり障りの無い言葉を選んだつもりですが…
「初対面の子供にすら言われるってヴィラどんだけ貧相なんだにゃ…!!!にゃふふふふ!!」
ネネさんは凄い笑ってますが、何がそんなに面白かったのでしょうか…
ネネさんも割りと似たような体型な気も…
「…何にゃその目」
「な、何でもありません!」
「…?」
「どうしたわん?」
「いえ…何か大事な物を失ってる気がしまして…」
「わう?」
***
さて、準備も整いましたので、屋敷の中に突入です!
これほどの大きさです。探索にもかなり時間がかかるでしょう。
ですが私は必ずヤマさんを助ける使命があります!どれだけ掛かっても必ず達成してみせます!
「入り口はすんなり開くにゃ」
「どうぞお入り下さいって事ですかね?」
罠…ですか…?
いえ!ここでモタモタしてる暇はありません!とにかく進みますよ!
まずは入って正面奥にあるこの大きくて古そうな扉を…
「あ、あれ?鍵が…」
「何か貼り紙があるにゃ」
本当ですね。えーっと…
『先に進みたくば各部屋のボスを倒し、四つの鍵を入手せよ。但し各部屋には一人しか入れない物とする』
「昔あった四天王方式って奴ですね」
「マサシは一体何がしたいんだにゃ?」
うーん…単純に私達を倒したいなら不意討ちでも最初から待ち構えるとか色々方法はありますし。
目的が全然読めませんね…
「変に抵抗するよりは従った方が特でしょう。分担して各部屋に行きませんか?」
「別にこんなボロッちい扉なら壊せそうな気がする…にゃっ!!」
ネネさんが扉を思い切り蹴り付けましたが、大きな音がした程度で扉は傷一つ付きません。
「びくともしねーにゃ…」
「こう見えて結構頑丈みたいですね」
「魔法にも厳重な耐性が付いてます。僕の魔法では傷すら付きませんね…」
強引な突破は無理そうですね。ここは素直に鍵を探して…
「ちょっとわんも試してみるわん!少し離れて欲しいわん」
するとマオさんは四つん這いになりました。
てことは…『あれ』を使うつもりですね?
「何する気にゃ?」
「ネネちゃんが見てるから全力で行くわん!…エネルジコ」
「…!?」
普段、ほわほわしてたマオさんの雰囲気が一気に変わりました。
私は何度か見てますが、ネネさんとシオンさんは初めて見ますよね。
「行くわん!」
「にゃ!?は、速!?」
驚きと同時にマオさんは扉に向かって超スピードで突進して行きました。
見てて下さい!これがマオさんの実力です!
「岩窟拳!!」
ズドォォォォン!!!
「す、スゲー威力だにゃ…」
「凄い衝撃…」
これがマオさんの十八番、『スピード操作』です。
彼女のスピードは変幻自在、超低速から超高速まで状況に応じて変化させ、その速さを攻撃に上乗せさせるのがマオさんの物理の基本型です。
そして前にも増してスピードが上がってます。流石、コロン団長から直々に鍛えて貰ってるだけはありますね。
こちらにもかなりの衝撃が伝わって来ました。
「な、中々やるじゃにゃいか。でも一撃でこの扉が破れる訳が無いにゃ…」
で、ですよね。ネネさんの一撃で全く傷が付きませんでした。
この威力でもきっと多少傷が付く程度で…
ピシッ
「え?」
ピシッピシッピシッ
「ま、まさか…」
ガラガラガラ!
「壊れたわん!先に進めるわん!」
え…
「「「ええええええ!?!?!?」」」
「その腕のどこにそんなパワーがあるんだにゃ!?」
「ネネちゃんだってその細い足のどこにさっきのパワーがあるんだわん?それと同じだわん!」
「今言われると嫌味にしか聞こえないにゃ…」
獣人では人間と筋肉の付き方とかが違うのでしょうか?ネネさんも力仕事をしたり、ヤマさんを軽々担いだりしてましたし…
まさかここまで強くなってるとは、私も予想外でした…
「今回わんは頑張ったわん!ネネちゃん誉めて誉めて~!!誉めて欲しいわん!!」
「いちいち引っ付くにゃあああ!!だから犬は鬱陶しくて嫌いだにゃあああ!!」
マオさん…あんなに尻尾をブンブン振って…
ネネさんにとても懐いてますね!
犬と猫…同じ獣人同士、これからも良い関係が築けそうです!
「いえ、あれはどう見ても嫌がってる風に見えますが…」
「分かってくれるかにゃ…しかもこいつ、こうなると話聞かないんだにゃ」
「えへへ~…ネネちゃんネネちゃん…良い匂いだわん…」
「何はともあれ無駄な戦闘は避けられそうですね」
「ボスは何だったのか、めちゃくちゃ気になるにゃ」
「モンスターとか居たのかわん?」
私もボスとか気になりますが、戦わないに越したことはありません。
先に進みますよ!
おまけ
ヴィラ達が扉を破壊し、先に進んだ時…
「…遅いわね」
「誰も来ないぴょん…」
「何時まで待てば良いのでしょうか…?」
「今の内に…!」
各部屋で待っていたボス(マサシの彼女達)が放置されていた。
そして別の所では…
「準備は…?」
「大丈夫だよ。あらゆる可能性に対応出来る様に幾つもプランを用意してるから」
「そう…」
「罠も大量に設置したし、アイテムの貯蓄も完璧。この計画に抜かりは無いよ!」
「了解…」
着々と準備が進んでいた。




