45話 くんくんわんわん!
「くんくん…くんくん…」
「本当にこっちであってんのかにゃ?」
「でも今はマオさんだけが頼りです。マオさんの鼻を信じましょう」
時にはキョロキョロ、時には四つん這いになり周りの臭いを逃がさない様に細かに嗅いでくれています。
「こっちだわん!」
「次は向こうだわん!」
「今度は…こっちだわん!」
約40分後
私達はマオさんを信じて進んだ先は森のかなり深い所でした。
私でもこんな奥には来たことありませんね…
モンスターの気配はありませんが、どこからか聞こえてくる獣の様な声がかなり不気味です…
「これで成果0だったらただじゃおかないにゃ」
これで手掛かりが無くてもマオさんを責めるつもりは毛頭ありません。それはネネさんだって分かってるはずです。
ですが…それでも、時間かけた割には…とは少しだけ思っちゃいます。
「大丈夫だわん!わんの嗅覚は世界いちーーー!!!だわん!」
「何にゃそれ…」
「コーデリアおねーさんから教えて貰ったわん!」
「あの頭パッパラパーの女なら確かに言いそうにゃ」
ネネさん…コーデリアさんの事、そんな風に思ってたんですね…
さて、あれから暫く進んでいると何やら洞窟の様な物が見えてきました。
「この洞窟から臭うわん」
洞窟の中からヤマさんの血の臭い…これは中に居る可能性がかなり高いはずです。
「…心して進みましょう。不意討ちの可能性があります」
「分かったにゃ」
暫く進むと…
「臭いが薄くなってきたわん…」
「え?薄くですか?」
こういう時って段々濃くなってくのでは無いですかね?
まあ今はマオさんを信じるしかないですが…
そして私達が歩みを進めた結果は…
「あれ?行き止まりですが…」
行き止まりでした。
「くんくん…くんくん…わぅ?ここで血の臭いが途切れてるわん…」
「もう我慢できないにゃ!!」
我慢が出来なくなってしまったネネさんがマオさんに飛び掛かりました。
「てめぇふっざけんじゃねえにゃ!!こんなに時間かけて成果無しとか冗談じゃねえにゃ!!」
「お、落ち着いて下さい!気持ちは分かりますが、暴力はダメです!」
そんな胸ぐらを掴んだらマオさんが…!
「わぅっ!…あ、ネネちゃんからの暴力もまた新鮮で良いわん…」
「き、気持ち悪い犬だにゃ…」
引いた顔こそしましたが、ネネさんも手を離しましたし、だ、大丈夫そうですね。
ですがそんな事をしてる場合ではありません。引き続きヤマさんを捜索しなくては…
血の臭いがあったと言うことは確実に来てるはずですが…
「何か他には臭いますか?」
「くんくん…!お、男の人と女の人の臭いがするわん!」
男女の臭いですか…。状況的に男の人はヤマさんである可能性はありますが、違った場合、また変な事件に巻き込まれるかもしれません。
マオさんに何でも良いのでヤマさんの臭いを嗅がせる事さえ出来れば…
…!
そうです!私達はヤマさんから『没収した』私物を一つだけ持っています。
「マオさん、こっちの臭いは探れますか?」
「んにゃ?ヤマのナイフじゃにゃいか…あ!」
「そうです。血の臭いはダメでも、ヤマさん本人の臭いなら簡単には消せません!」
ヤマさんは何かと自分に使いたがるから依頼以外では没収してたこのナイフ。
こんな形で役に立つとは思いませんでした!
ふふん!今日の私は珍しく冴えてますよ!
…でもここで調子乗っちゃうとまた録でもない事になるんですよね。あはは…
「くんくん…!あ!ここの男の人とおんなじ臭いがするわん!」
お!ビンゴです!
ならこの臭いを辿って…
「わふぅ…一緒にネネちゃんの匂いもするわん…」
「真面目にやれにゃ!!!」
ネネさんには頭を叩かれてましたが、何とかなりそうですね。
さらに20分後
更に進むと少し開けた所に出ました。
「ここで完全に途絶えたわん。わんの鼻でも、もう探れなさそうわん…」
「でもここって…」
私達の目の前にはかなり豪華な豪邸が建っていた。
何故こんな森の奥に豪邸が…?
「ここで途切れてるならヤマさんは中に居る可能性が高そうですね」
「おい犬ッコロ、他には何か臭わないかにゃ?」
「くんくんくん…女の人の臭いが沢山あるわん。男の人はヤマおにーさんと違うのが二つあるわん」
女の子は恐らく操られてる人達でしょう。男の人は片方は今回の犯人だと思いますが、もう一人は誰なのでしょう?
「え!?お姉さん達、どうしてここが!」
「あ、シオンだにゃ」
声のした方を見ると、黄色いテントにいくつかの生活用具を備えていたシオンさんが居ました。
「そのテントは…?」
「うん、僕は屋敷の中には入れてくれないからさ…毎日こうやって野宿してるんだ」
「どこまでもクズな男だにゃ」
メンバーなのに家に入れないのですか…?
どこまでも…どこまでも最低な人ですね!
「てか暇ならシオンも着いてこいにゃ。ついでに姉と幼馴染も助けに行くにゃ」
「え?い、良いんですか?」
「男手が欲しいのは事実だにゃ。その代わり、ネネ達に何かあったら助けて欲しいにゃ。ネネ達はシオンを助けるからこれでおあいこにゃ!」
確かに女性三人では催眠魅了で全滅する可能性はありますね。
シオンさんがいれば心強いです!
「んじゃ行くかにゃ。ヴィラ、リーダーは任せるにゃ」
「うぇ!?わ、私がリーダー!?」
「ヤマの居ないこの中で一番適正があるのはあんただにゃ。ヴィラは『強くて頼もしい』んだから大丈夫にゃ」
強くて頼もしい…
強くて…
頼もしい…
私の頭の中でこの言葉が何度も何度も流れました。
……
***
「ヴィラ…ありがとう!お前のお陰で助かった…!」
「やっぱりヴィラは凄いにゃ!」
「ヴィラおねーさんカッコいいわん!」
「本当にありがとうございます!何とお礼を申したら…」
「いえいえ!当然の事をしたまでです!」
***
えっへへぇ…ああ…強くて…頼れるリーダー…
素晴らしい響きです!
「ま、まあ!そこまで言うのであれば仕方ないですね!皆さん!私に着いてきて下さい!」
「わおーん!ヴィラおねーさんにわんも着いてくわん!」
「あの…もしかして乗せられやすい方なんですか?」
「んにゃ、単純な女だにゃ。…まあそこが良いところでもあるにゃ」
「ふふん!では行きますよ!ヤマさんを助けにいいいいいいいい!?!?!?」
何ですかこれええええええ!?!?!?
一本踏み出した瞬間、足元に穴が!?
「お、落とし穴だわん…」
「まさかこんな罠が設置されてるとは…」
な、何故こんな所に落とし穴が…
「流石リーダーだにゃ!身を呈してネネ達を守ってくれたにゃ!やっぱりヴィラは凄いにゃ!」
うぐぐ…落ちた衝撃で体が痛いです…
あ、でも私が犠牲になったお陰で皆さんが怪我しなくて済んだと考えれば…
「へへ…私やりましたよぉ…?」
でも…私の体、戦うまで持ちますかね…?
???
「マサシ君!家の色んな所に罠とか置いてきたよ!」
「外の設置も完了しました」
「よーし、リリアンもソフィアも偉いですね。ありがとうございます」
「えへへ…マサシ君の為なら何だってやるもん!」
「罠や仕掛けを自由に置いて侵入者と戯れる…これがダンジョンマスターの目線か、こんなに気持ちいい物なんだね…」
「さて、ハスィはちゃんと彼を殺ってきたかい?」
「はい。こちらになります」
「うんうん、息もしてないね。じゃあそれは適当に捨てといてよ」
「…分かりました」
「それとさ、そろそろ良いかい?君だけだよ?まだ俺とヤってないのは」
「…申し訳ありませんが、私はそういった行為に興味ありませんので」
「チッ…まあ良いや。気が向いたら何時でも来てよ。俺は歓迎するから!」
「…考えときますね」
「魅了が甘いのか…?いや何度も重ねがけしてるし効いてるはず…」
「ま、抵抗されてもどうせ何とかなるし、別に良いかな」
「この外道が…女の子を何だと思ってるんですか…!」
「例え私の未来が失われたとしても…」
「マサシ…お前だけは絶対に私の手で…!」
「そして…」
「シオンの為にも…!」
次回からvsマサシ&取り巻き編にいけたらなと思います。
罠探索で1話使いそうな予感…




