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37話 やり過ぎ注意

ちょっと迷走しちゃいましたかね…今回は賛否が分かれるかと思います。

やり過ぎとやらなさすぎの匙加減が難しいです…

不快に思ったら申し訳ありません…

「伝統料理ってそんな簡単に作れるのかにゃ?」


「全て自然から捻出するので問題無いぞ。古の時代には今ほど食材は豊富では無かったからな。その名残じゃ」


エルフの伝統料理か…


どんなのが出来るのかちょっと楽しみかもしれん。


「さて先ずは…お、見つけたぞ」


「え、それって…」


シャンティさんは近くの木から濃いオレンジ色の木の実を何個か採った。


あの木の実はよく覚えている。図鑑でも見たし、食べた事もあるしな。


「ふむ、ヤマはこれを知っとるのか。中々博識じゃの」


「あれって何なんですか?」


「ランピヤって言う木の実だが…栄養満点で食べるだけで寿命が伸びるとまで言われてるんだ」


「す、凄い木の実だにゃ」


「お兄さん物知りですね!」


そう、凄いんだよ。これを食べ続けるだけで不老長寿になれるって伝説すらある程だ。


「ただこれは…」


俺が答える前にシャンティさんは次々と木の実を採取していった。


「後はこれと…これじゃな。すまないが少し摘ませて貰うぞ」


「あれは分かりますか?」


「あっちはリアン、こっちはハジケグレープだ。どっちも栄養価は凄まじく高いから非常食で蓄えとく人も居たらしい」


うーん…確かに栄養的には間違いなく良い。


ただなぁ…こいつら欠点があるんだよ…


「………の木の実って変なの多いんだな。鑑定しても毒は無さそうだし大丈夫か…」


「独り言の多い男だにゃ…」


「さて、材料は揃ったな。では作るかの…





ほれ完成じゃ」


「早っ!?」


どこからか出したお椀には濃いオレンジ色のスープが注がれていた。


見た目は悪く無さそうだな。


「本来ならじっくり作るものじゃが、今回は時短魔法でサクッと終わらせてみたぞ。心配するでない、味は保証する」






「うっ、な、何だこの変なスープ…」


見た目は悪くないのだが、何と言うか…独特な匂いがする。


別に臭いとかそう言う物ではない。上手く言えないが、本当に独特な匂いだ。


「変じゃと?無病息災と長寿を祈る歴史ある料理じゃ。馬鹿にすることは許さんぞ」


「長生きのエルフが長寿祈ってどうするんだにゃ…」


「えっと、昔は病気や伝染病で長生きするエルフが少なかったらしいんです。そう言った背景からこのスープが出来たみたいなんですよ」


はえー…エルフにも色々歴史があるんだな。


「セレナの解説はその辺で良かろう。ほれ、お前はさっさと口を開け」


「もがっ」


杖を使い、彼の前髪を引っ張って口を無理矢理開け、口の中にスープを入れた。


「ヤマさん、そういえばさっき何か言いかけてませんでしたか?」


「ああ、実はあの3つってよ…」






「凄まじい程苦いんだよなぁ…」


子供の頃、ご飯抜きにされた時に食ったのはよく覚えている。


味は苦くて最悪だが、数粒で栄養を補えるって意味ではかなり重宝したな。


「…!?!?!?むごっ!もごっ!おごーー!?!?」


「ほお~…そうかそうか!涙が出るほど美味いか!まだ沢山あるからたんと食うのじゃぞ!」


口は閉ざされてるので、飲む以外の選択肢は無い。


あの様子だと相当苦そうだな。


「そんなに苦いのかにゃ?」


「マジで苦いぞ。ハジケグレープが残ってるから食ってみるか?」


「貰うにゃ!」


ネネはハジケグレープを口に入れて噛み始めた。


…あっ、それは…


「に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


遅かったか…


「…口の中で小さな激苦の粒が弾けるから、下手に噛まないように注意な」


「先に゛言え゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」





「ご、ごめんネネ。もっと早く言えば良かったな…」


「いや、何も警戒しないで食べたネネも悪いにゃ…」


口の中のハジケグレープも大人しくなった様で、ネネも落ち着きを取り戻した。


「ネネさん、私の飲みかけで良ければお水飲みますか?」


「私さっきの飴玉残ってます!これも食べますか?」


「うにゃあ…優しさが身に染みるにゃあ…」


本当にすまん…次からは俺も気を付けるわ…


「うぶぅ…苦くて気持ち悪りぃ…」


「これで分かったかの?誰だって無理矢理食べさせられたら例え美味い物でも不味いんじゃ。これに懲りたらこんな事するでないぞ」


っと、こっちはこっちで終わりそうだな。


まあシャンティさん結構優しいし、ちゃんと謝れば許してくれるだろ。


「正直あのスープ全然美味しくないけどー…」


「のじゃ?セレナ、何か言ったかの?」


「何でもなーい」


あ、やっぱあれ不味いのか。


「す、すみませんでしたー!心から反省しています!見てくださいこの眼を!」


なーんか胡散臭い土下座だけど、まあ反省はしてるみたいだな。


「…」


「…」


てか何時まで二人は見つめ合ってるんだ…なんだこの沈黙…


「…ふむ、主の謝罪は受け取った。そしてはっきり分かったのじゃ」







「貴様が全く反省してない事もな」


瞬時にして見下す様な表情に変わり、今までに聞いたこともないドスの効いた声が森に響いた。


「むぐっ!」


杖の先端が大きなマジックハンドみたいな形になったかと思えば、彼を口ごと押さえ付けた。


「なんじゃ?その程度のちんけな魅了魔法で妾を操れると思ったのか?」


「むぐぐ!?」


「面白い、妾への宣戦布告として受け取ろう」


魅了魔法!?こいつそんな事してたのかよ!


「魅了魔法ってどんなのだにゃ?」


「えーっと…魅了した相手を言いなりにさせる…だったと思います。サキュバス種が得意な魔法ですが、今は禁止魔法に分類されてる物ですね」


「見たところ見た相手を魅了させるみたいじゃの。なら…」


空いた左手で小さな氷柱を生成したかと思えば…


「眼を潰せば一先ず安心じゃの」


「うぎゃああああああ!?!?!?!?」


その氷が彼の眼を貫いた。


流血には多少見慣れてるつもりだったが、改めて見るとクルものがあるな…


てか不味くないか!?こんなのセレナが見たら…







「あれ?お姉さん、どうして私の眼と耳を塞いだんですか?」


「す、少し待ってて下さい!」


「良い子だから大人しくしてるにゃ!」


よ、よし、二人のお陰で何とか大丈夫そうだな…


「ご、ごべんなざい…もうじまぜんがらゆるじで…」


「二度は信用せん。己の阿呆加減を地獄で後悔するが良い」


「あっ…」


ここから先は…俺達も見ない様にしておくか…






ズサッ!ズサッ!ズサッ!



ぼとぼとぼと!



ぐちゅぐちゅぐちゅ…



パチ…パチ…



ゴキゴキゴキ!






「なあ…人からしてはいけない音がしてる気がするんだが…」


何をしてるかすげぇ気になるけど、俺の直感が見るなと言っている…


まあ何してるのかは何となく想像つくが…


「ネネは何も聞いてないにゃ!!何も聞こえないにゃ!!」


「これも修行…これも修行…」


ヴィラとネネは、セレナの眼と耳を押さえてるから耳を塞ぎたくても塞げない。


こりゃメンタルに来るぞ…


「お姉さーん。まだかかりますか?」


「も、もう少しですから!」


「はーい」







10分後


「ふう…やっと片付けが終わったのじゃ」


こ…


怖えええええええ!!!!


いや、里に居た時から割とおっかない感じはしてたけどぉ!


敵対するとこんなに容赦ないのかよ…敵にならなくて本当に良かった…


「セレナ、もう安心じゃぞ!あやつは帰ったからの!」


嘘付けえええ!!!それは無理があるだろ!!!


ま、まあセレナにあのボキボキ音を聞かれなかっただけでも良しとするか…


「…ねえお母さん」


「何じゃ?」


「全部聞こえてたよ?」


「「「「えっ」」」」


え、ちょ、マ、マジで?


「あ、あの、耳を塞いでいた筈では…」


「お姉さんごめんなさい…私、耳が結構良いので普通に聞こえてました…」


「言われてみれば耳を塞いでるのにちゃんと会話が成立してたよな…」


あまりにも自然に話してたから全然気にならなかった…


「セ、セレナ、これは、ち、違うのじゃ」


「大丈夫だよお母さん!私やお兄さん達を守る為だって分かってるから!」


よ、良かった。トラウマも無さそうだし、ちゃんとシャンティさんの事も理解してるみたいだ。


「セレナ…!」


「でもさ…」







「お兄さん達はドン引きしてたよ?」


「のじゃ?」


あー…セレナにはバレてたか…


言わないつもりだったんだけどな…


「の、のう…何故そんなに距離を取るのじゃ…?妾は別にヤマ達を襲ったりはせんぞ…?」


うん…助けてくれたのは分かってるし感謝もしている。


頭では分かってるんだ…


「さ、流石に今回はやり過ぎかと…」


「魅了の事を含めても流石に引くにゃ…」


でも二人は完全にドン引きしていた。何なら怖がってたし…


「ヤ、ヤマ、主は分かってくれるかの…?」


うんうん、俺達の事を思っての行動なのは分かる。


それでも…


「すみません、今回のは流石にやり過ぎです」


「のじゃお!?」


完全に打ちのめされたシャンティさんは、その場にへたり込んでしまった。


「のじゃぁ…何故こうなるのじゃぁ…」


いくら強くても、力の使い方を間違えると怖がられる。


それがよく分かる1日だった。

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