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7-10. 武蔵小金井潤一郎は潜入する・1

 そうしているうちに、ラシーヌが足を止めた。


「ひぃ、ひぃ」


 息を荒らげながらも、何とか追いついた潤一郎は、ラシーヌに問いかけた。


「こ、ここか?」


 万が一彼女が襲ってきた時の事を加味して、ポケットに隠したリボルバーを握りながら。


「はい。ここの……上の方」


 彼女は彼の動きには気づいていないらしく、じっと上の方を見ている。ここまでの道中でも怪しい動きはなく、そして何より自分も大宮もあまり視界に入っていないように見えた。一応気遣っている場面もあったが、それよりも鳴斗を探す事に神経を割いているような、そんな感覚を受けていた。


 信用してもいいのかもしれない。が、手を抜く事は出来ない。信じてくれた安芸や千夏に報いるためにも。


 そのためにもビルに踏み込まなければならない。そのビルへ目を向ける。


「……????」


「先輩、ここ……」


 昴が恐る恐る尋ねてくる。潤一郎は何も言わずに頷く。


 昴の言いたい事は分かった。彼は見覚えがあるのだ。このビルに。そして潤一郎にも、見覚えが、いや、通い詰めた記憶があった。


 それは、かつての伊都宮警察署であった。


 昔使われていたビルで、老朽化のため今のものが新築され、最近引っ越しが終わったところであった。


「ここ、ですか?本当に?」


 思わず潤一郎はもう一度尋ねる。


「此処です。間違いありません。それ以外の魔力も感じます。人の気配は殆どありませんが」


 ラシーヌの口調はしっかりと、自信があるものであった。


「……ここ、かぁ」


「ま、まあ?踏み込む時に?捜査令状とか要らないのは有り難い……ですけれど……ねえ」


「ああ。有り難いが……」


 言葉に詰まる。


 昴の言いたい事は潤一郎にも理解出来た。つまり、警察内部の犯行である事が確実なものとなった、という事である。


 元より、前橋や青海の件も含めて、そうだろうとは分かっていたが、しかし、ここまで濃厚に関係しているとは思わなかった。まさか、旧とは言え警察署まで巻き込まれるとは。


 しかしまだ完全に確定したわけではない。老朽化したビルというだけで選ばれた可能性もある。


 自分にそう言い聞かせながら、潤一郎は開いたままの入り口へと足を運ぶ。


 真っ黒な、何も見えない漆黒の空間が広がっている。いや、月夜の光で少しだけ照らされて、ボロボロのエントランスがあるのは分かる。


「行くぞ」


 昴に目配せをして、踏み込む。


「はい」


 昴とラシーヌがそれに続く。

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