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5-17. 誰かの記憶

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 雷鳴轟く魔界の深部に築かれた魔王城。


 その一室に図書室と呼ばれる大量の蔵書を備える部屋がある。


 そこに足を踏み入れた、白い鎧に身を固めた男は、少し棚を眺めて、ある本に目を取られた。


 『世界を繋ぐ術』と書かれた本であった。


「ふむ」


 手に取って読む。


「別世界との連結か?」


 そこには複雑な術式が書かれていた。十人の贄、一人の鍵、それらを選ぶための儀式。選ばれた者たちを見分けるための魔力の波長、そして、魔法陣。


「難しいな。だがこれが実現出来れば、目的が達成出来るかもしれない」


 男は出来る限りその内容を記憶する。彼は類稀な記憶力の持ち主だった。それ故に、複雑な各術式をしっかりと自らの脳内に記憶する事が出来た。


「……だがこれは、向こう側、乗っ取る側の世界でなければ使えない、か。……そうそう使えるものではないな」


 そう呟くと、彼は本を棚に戻した。


「この方法は取れないな。やはり……奴を打倒せねば。それが私の使命なのだから。そして、それを成すことが出来れば。私は王女と……フフ」


 彼は笑みを浮かべた。


「待っていろ、魔王」


 そう言うと彼は部屋を出て、再び歩き出す。


 手元に光り輝く剣を携えて。

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