6/151
1-6. 幽谷鳴斗は振り返りたくない・2
「魔王アヴラ・マジェスタ!!此処で貴様の野望も終わりだ!!」
禍々しい瘴気が立ち込める暗い部屋で、誰かが叫んだ。その誰かは暗く歪んだ輝きに満ちたこの部屋の中で、唯一真っ白な輝きを放つ剣を掲げ、部屋の奥へとそれを向ける。
「ほざけ人間が!!勇者とてたかが人間、此処で滅ぼしてくれる!!」
部屋の奥の巨大な玉座に腰掛けていた何かが立ち上がり、最初に叫んだ誰かへと言葉を向ける。すると強大な圧力が立ち上がった何かの手に集まっていく。
「うおおおおおおおおお!!」
雄叫びと共に剣を持った誰かが、部屋の奥の何かに向けて駆けていく。
「ヌオオオオオオオオオ!!」
部屋の奥の何かが、手に集まった圧力を剣を持った誰かに向ける。
その二つがぶつかり合い、巨大な爆発が起きた。
痛み。何かで貫かれたような痛みが走る。
今まで感じたことのない強烈な痛み。
やがて、意識は薄れ、消えていく。