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5-9. 赤坂唯は走る・2

 キィン、キィン。


 唯はドラマでしか聞いたことのない、いや、運動会のテントを組み立てるのを見ていた時にも聞いた事があるかもしれない、そのくらいレアな、金属と金属がぶつかる音が聞こえてきた。


 鷹崎城址公園、自然の多いその公園にある原っぱで、その音は響いていた。


「シュマ!!我らが長を殺し、秘宝を奪った罪人!!ここで某が裁きを下す!!」


「ええい邪魔をするな!!拙者は今から行かねばならぬ所がある!!貴様に構っている暇はないのだ!!」


 金髪の女性――外見を取り繕ったラシーヌと、シュマと呼ばれた甲冑が斬り結んでいる。その鎧と剣は、人の赤い血に塗れてドス黒く滲んでいた。ラシーヌの、唯も気絶する前に一度見たことがある、真っ白なそれと比較すると全くの真逆に見える。


 縦に振り下ろされたラシーヌの剣を、シェマが盾で受け止める。


 到底人間では取り扱えないような大剣を片手で取り回し、ラシーヌに向けて突き出すが、それを瞬時に交わす。


 唯は素人であったが、過去学生の時代に剣道の試合を観た事があった。眼前で行われている試合、否、死合は、彼女の記憶に残るそれの数十段上のやり取りであった。思わず見とれてしまう程の激しさ。


「危ないぞ」


 鳴斗の声でハッと現実に戻る。すると、二人のやり取りの余波で発生した刃の波が、眼前に迫っている事に気づいた。


「ギャァァ!!」


 思わず叫び声が出る。


 カァン。


 その波は見えない何かに弾かれて消えた。


「バリアを張っているとは言え、だな」


 そう言いながら鳴斗は再び指を弾いた。


「ここまで強烈だと一回受けただけで掛け直しになる。あまりバリアに頼りすぎないでくれ」


 つまり見惚れてないで避けろという意味であると唯は理解した。


「は、はい、わかりました」


 改めて周りを見ると、その激しいぶつかり合い故か、怪我人が何人か地に伏している。幸い命は取り留めているようであったが、出血が多い。緑の地面が真っ赤に染まっている。


「う……」


「やれやれ。とりあえず」


 鳴斗は指を弾く。すると怪我人の傷が治り、そしてバリアが張られた。バリアは生成の瞬間、太陽の光に照らされて一瞬キラリと光り、その後無色透明へと変化した。


「これでとりあえずは良し。だがあっちも止めないといかんな」


 そう言って鳴斗はあっち、即ちラシーヌとシュマに向き直った。

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