3-19. 幽谷鳴斗は終点に着く、が
[2019/6/? ??:?? ???????????]
「お客さん」
声が聞こえる。
「お客さん、終点です」
駅員の声が聞こえ、閉じていた瞼が少しずつ開いていく。
「あ、あえ?」
抜けた声で反応したのは幽谷鳴斗。
「あ、し、終点か」
事態を把握すると、横で眠る赤い服の女性に手を伸ばした。
「起きrババババババババババババババ!!」
鳴斗が赤い服の女性――赤坂唯に触れると、バリアが反応して彼に激しい電流を流した。
「ええ!?ちょっと、お客さん!?」
起こそうとした駅員が、突然男が震えだした事に戸惑いながら無事を尋ねた。
「だ、大丈夫……」
鳴斗は震える手でパチンと指を弾いてバリアを解くと、
「起きろ、終点だ、降りるぞ」
そう言って唯を起こした。
「ふえ。……あれ、私」
「随分寝てしまったらしい。降りよう」
そう言って二人はグリーン車からホームへと降りた。駅員の奇異の目が突き刺さるが、無視に徹した。
「迷惑をかけてしまった。とっとと出よ……ん?」
出るためにまず改札口に向かおうとして、鳴斗は立ち止まった。
「どうしまし……んん?」
唯も異変に気付いた。
――見覚えが無い。
終点、伊都宮は二人共来た事があった。しかし、今この場所は、伊都宮のホームとは似ても似つかない場所に見えた。辺りの風景も全く異なる。
「何処だこれ」
「何処でしょう」
その状況と、電車を降りる時の揺れでスローシャも起きてポケットから顔を出した。
「あそこに札がありますよ」
彼女の小さな指が指差した先を二人が同時に見ると、そこには、『鷹崎』と書かれていた。
――古宿駅の伊都宮線のホームには、数種類の路線の列車が通る。その内、鷹崎線のの終点がここ、鷹崎である。鷹崎は栃木の西、群馬県の都市の一つであり、伊都宮や安留賀とは全く別の方向にある。
「……乗る電車、間違えた」
鳴斗が事態に気づき、ゆっくりと絞り出すように言った。




