3-13. 武蔵小金井潤一郎はただ困惑する・2
何故彼女が?また彼女が?狙われたのも彼女なのか?
「これ、破片、ですよね」
安芸が指差した先には、唯に向けて、黒い細かな破片が飛び散っているのが映っていた。
「はい」
潤一郎の同意よりも前に部下が答えた。
「実際、防犯カメラを見ると、破片が飛び散っているのが見えました。しかし、ある時点で突然、この赤い服の女性と共に消え去ってしまっています。爆風らしきものの勢いも止んで、それのお陰で怪我人が少数で済んでいるものと考えられます」
「……爆風と破片が、赤坂が、消えた……?」
そんな事あるわけがない、見間違いか何かだろう、そう否定したいところではあったが、昨日からの事件を見ていると、潤一郎にはそんな事は出来なかった。むしろ、有り得るかもしれない、そんな考えさえ頭を擡げていた。昨日の事件から先、不可思議な事ばかりが起きている。死者寸前の人間が蘇るような事態すら起きていた。今更人が消えたところで驚くことだろうか。
――麻痺し始めている。これは良くない、落ち着かなければならない。潤一郎は頭を振った。
「……とにかく、映像を全部通しでみましょう。それから事情聴取をして、情報を整理する。話はそれからにした方が良いと思います」
「そう、だな」
安芸の言葉に、ようやく潤一郎は頷くと、安芸の案内と共に監視カメラの映像を見るべくセキュリティルームへと向かい歩き出した。
だが彼の脳裏には、様々な疑念・疑惑、そして不安が立ち込めていた。
安留賀駅の事件は一体どうなるのか。
この署内で起きた爆弾事件は一体なんなのか。
自分は今後どう動くべきなのか。
そんな思いが沸いては消えて沸いては消えてを繰り返し、考えが全くまとまらないでいた。
そして、最終的に一つ。赤坂唯がこの署に居たとして、彼女は果たして無事なのだろうか。
そんな心配がまた一つ、彼の脳裏にプカプカと浮かんだ。




