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2-4. 武蔵小金井潤一郎は混乱している・2

「被害者の赤坂は」


「現在も足取りが掴めていません。県内の各署には連絡していますが、今のところ目撃証言は無い状況です」


「……聞いての通りだ。引き続き捜査と、……事情聴取への協力をお願いする。尚三件目、署内の銃撃事件については現在マスコミにも伏せている。情報開示については上層部の判断が必要なので、絶対に外部への情報流出は避けるように。以上、各自捜査と、順番での事情聴取に戻ってくれ」


 その言葉を皮切りに、刑事達はパラパラと外へ出ていく。後に残されたのは潤一郎と、千夏、そして昴の三人。


「参りましたね」


 昴の言葉に、千夏は大きく肩を落とす。


「いや本当です。どうなるんでしょう、今後」


「まっっっっっっっっったくわからん。だからこそ出来る事をするしかない」


 潤一郎は目を擦りながら言った。眠気は無いが目が疲れていた。ほんの少し仮眠を取るタイミングはあったが、署すら巻き込んだ一連の事件の事を考えると全く眠る事が出来なかった。


「交通事故だけならまだしも、銃殺事件が二件も。どうなっとるんだここの治安」


「昨日だけで県内でも一番治安が悪い町って言われ始めてます」


 千夏が眼鏡を拭きながら言った。


「さもありなん。俺だって思うわ。……しかしどれも困るが……今のところは轢き逃げ事件が一番厄介だな」


 潤一郎の言葉に、千夏が首を縦に振る。


「証拠という証拠がありませんからね。付近の目撃証言も殆どありません。手探り状態です。被疑者がはっきりしている二件と比べて、分かっていない事が多すぎます」


「他の二件も動機については全くの不明です。犯人がどっちも死んでるから何とも調べようがないですよ」


 昴は自分も大変なんだとアピールしたそうにボヤいた。


「分かってる分かってる。だが放置するわけにも当然行かない。無理は承知しているが、何とか情報を得られるよう、捜査を続けてくれ」


「承知しました、武蔵小金井警部」と千夏は言い、


「先輩は無理しないで、捜査はこっちに任せて下さい」と昴は答え、そしてそれぞれ部屋を出ていった。


「ふぅ」


 誰も居なくなった部屋で潤一郎は頭を抱えた。あまりにもどうにもならないこの状況、思わず嘆きたくなる。


「任せろ、なんて言ってくれるのは嬉しいけどさ。無理はしないで、とは言うけどな」


 そうは言っても休んでは居られない。逃亡者とはいえ被害者である唯の身に危険が迫っているかもしれない。轢き逃げだって捕まっていない、また同じ事件が起きたらどうする。彼の中の正義感は、彼に休むなと叫び続けていた。


 分かってるさ、と彼は心の声に答える。


 だが、静かになった今こそ、この状況を一度整理せねばならない。宛もなく只々無闇に動くよりも、今まで起きた事を整理する事で、何か手掛かりが掴めるかもしれない。潤一郎は頭の中で昨日この伊都宮署内で起きた事を整理する事にした。

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