表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしの婚約者なんですけどね!  作者: キムラましゅろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

コルベールvsコルベール

「ハルト見~つけたっ」


「……アミシュ、

俺ばかり探さないで他の奴も探さないと」


「だって一番にハルトを見つけたいんだもん」


「それじゃ隠れんぼにならないだろ」


「なるわ、だって隠れてるハルトを探すんだもん」


「他の奴が面白くないだろ?」


「えーー……」



昔の夢を見た。


子どもの頃、みんなで隠れんぼをした時の夢だ。


アミシュは鬼になるといつも俺だけを探す。


俺ばかりを探すから、その間に他の奴に出し抜かれて負けるのだ。


それでもアミシュは少しも悔しそうじゃなかった。


俺を見つけ出す事が、

アミシュにとって楽しかったのだろう。


でもアミシュは……

“隠れる側”になった時は手強かったな。



そういえばあいつは昔から隠れるのが得意だった。





アミシュが精霊魔術師として王宮勤めをしていると知ってから、早3日が過ぎていた。


ハルトは相変わらずアミシュを探して王宮の方々を

探して回ったが、その気配すら感じ取れなかった。


日に日に焦りと、何に向けて発散したらいいのか

わからない苛立ちを抱えながら、ハルトは王太子

付きの騎士としての仕事もこなしていた。


そんなハルトに王太子シルヴァンが

申し訳なさそうに言う。


「……すまんなコルベール。愚妹が嘘を並べ立てた所為で婚約者に誤解を与えてしまって……その……婚約者とは話が出来たのか?」


「話をする以前に顔を見る事すら出来ていません」


普段感情が顔に出る事のないハルトの顔に

疲れが滲み出ているのを感じたシルヴァンが告げた。


「私に何か出来る事はないか?何でも言ってくれ」


「…………何でもよろしいのですか?」


「内容によるが、出来る限り善処しよう」


「では、王宮内での精霊の使用を許可して頂きとうございます」


「精霊の?」


「はい。王宮内では有事の際以外、私用での精霊の使役は禁じられております。そこを今回だけはお許し頂きたいのです。もちろん、戦闘などに使うのではありません」


「では何の目的で使うというのだ?」


「……もう普通に探していても彼女は捕まえられないと確信しました」


「まさか精霊に探させるのか?」


「はい、許可して頂けますね?」


「まぁよかろう。早々に捕まえて、愛を囁いて来い」


「ありがとうございます」


ハルトはシルヴァンに深々と頭を下げた。





◇◇◇◇◇



一方、

アミシュは魔術師団の詰め所にて悶々としていた。


ハルトから逃げ回っているのは自分だが、

深刻なハルト不足に陥って元気が出ないのである。


〈ハルトの顔が見たいなぁ……でも王女様と

イチャイチャしてる姿なんて見たくないし……〉


こういうのがジレンマというのか……と

アミシュは変なところで感心したりしていた。


そんなアミシュにポピーが言う。


「そんなに悶々してるくらいなら、ハッキリと

決着着けて来たらいいのに……」


「そんな無理よ……まだ心の準備が出来てない」


「でもこの頃は王女様との噂もてんで聞かなくなったよ?もしかして噂はデマだったのかもしれないし」


「デマじゃなかったら?」


「………骨は拾ってあげるわよ」


「嫌だぁぁぁ……!」


アミシュは突っ伏して嘆いた。



その時、ふとある気配を感じる。


「……精霊の気配がする」


アミシュが突然顔を上げ、

辺りを窺う様子を見せたのでポピーは目をぱちくり

させながら言った。


「精霊なんてどこにでもいるでしょ?」


「ただ自然界にいる精霊じゃないわ。精霊使いと契約を交わし使役されている精霊の気配よ」


「え?でも使役精霊の使用は王宮内では禁止されているはずよね?」


「そうよね、でも活動している気配を感じる。

それも複数……来るわ」


アミシュがそう言い、窓の方へ視線を移すと

外から精霊が一体、部屋の中へ入って来た。


「これは……!」


アミシュが精霊を視認して驚きの表情を浮かべる。

ポピーは心配になってアミシュに詰め寄った。


「な、何!?

どうしたのアミシュ、悪い精霊なの!?」


「……ハルトの火の精霊(サラマンドル)だわ、まさか……!」


アミシュは何かに気付いたようで急ぎ部屋を飛び出した。


「ちょっ……!?アミシュ!?」


後ろからポピーの声が追いかけて来るも、

アミシュは構わずそのまま走り続けた。


ハルトが勝手に王宮内で精霊を使役するはずがない。きっと許可を取ったのだろう、では何のために?


〈わたしを見つけ出すためだ……!〉


そんなにしてまでさっさと決着を付けたいというのか。


もう少し落ち着かせて貰ったら、

ちゃんと婚約解消に応じるつもりなのに。


〈待ってられないというの?そこまでして王女殿下

と早く結ばれたいの?〉


アミシュだってハルトには幸せになってもらいたい。


だけど王宮内で精霊を使ってまで捕まえようとするなんて……。


アミシュの中で無駄に対抗心が湧いた。


なんだかすんなり捕まってやるのが悔しくなったのだ。


〈そっちがその気なら……!〉


アミシュは自身の使役精霊を呼び出した。


風の精霊(シルフィール)!ハルトの精霊を妨害して、わたしへの追跡を阻止して!」


アミシュの命を受け、精霊たちが一斉に飛び出した。


その反対方向に向かってアミシュは走り続けた。


〈この場所は既に把握されたはず、

今すぐここを離れて隠れないと……!〉




その頃、ハルトはアミシュの居場所を見つけたと

使役精霊から報告を受けるも、その後すぐに

アミシュの精霊の気配を感じた。


「……!」


〈アミシュ、妨害に出たか。ならば……魔力量に

ものを言わせてこちらの精霊の数を増やすだけだ〉


ハルトは更に精霊を顕現させ、

追跡の包囲網を広げた。


地の精霊(ノームス)

足音からアミシュの居場所を特定しろ」




◇◇◇◇◇



その時アミシュは王宮の裏側、

城勤めの者が出入りする使用人棟の陰に潜んでいた。


ハルトは一体、

どこから精霊に指示を出しているのだろう。


辺りを窺い、

自身の精霊の様子を確認しようとしたその時、

ふいにアミシュは足元に精霊の気配を感じた。


〈……地の精霊(ノームス)まで!?ズルい、ハルトってば本気じゃない!魔力量でハルトに敵うわけないのに!〉


しかしこの場を離れてもきっと足音で精霊に

居場所をすぐに掴まれてしまう。


地面と直接接地してない建物内に逃げ込むしかない。


アミシュは急ぎ、

使用人棟に駆け込もうとしたその時だった。



「アミシュっ!!!」


高い建物の上からハルトの声が辺りに響き渡った。


「!!」


アミシュが見上げると、

使用人棟の向かいにある王宮の西翼棟の屋上から

こちらを見下ろすハルトの姿があった。


「ハルト……」


3日ぶりに見るハルトの顔。


やっぱり大好きでたまらない。


でもその愛しいハルトは今、アミシュが見た事も

ないような険しい眼差しでこちらを見下ろしている。


彼がこんな顔をするなんて。


そんなにも直ぐに婚約解消をしたいのか。


アミシュは俯いてぎゅっと瞼を閉じた。


年貢の納め時だ。


せめて潔く、婚約解消に応じよう。


アミシュは覚悟を決めて顔を上げた。


決して無様に泣くまい。

笑え、コルベールの娘として誇りを持って。


アミシュは出来うる限りの極上の笑顔を浮かべ、

ハルトに婚約解消に応じる旨を伝えようと口を開きかけた、しかしその瞬間、それを封じるかの様にハルトが大音量で叫んだ。



「アミシュ!!伝えたい事が山ほどあるっ!!

聞きたい事も山ほどあるっ!!

でもその前にキミにどうしても聞いてほしい事があるんだっ……!色々誤解しているようだが、

俺は……俺はっ、変わらずキミの事だけを愛してるっ!!!」




「…………え?」



アミシュの周りには

屋上から叫ばれる声を聞きつけた、

城勤めの人間が集まりつつあった。




「…………え?」





















次回、ハルトさんアレやります。


某番組でやってた『未成年の主張』。


彼、成人男性ですけどね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「魔術師団の~アミシュ・コルベールさんっ 僕は~貴方に~言いたい事がありま~すっ!」 「「「な~に~?」」」 って、ヤツですね、解散した某アイドルグループの ( *・ω・)ノ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ