第3皇子殿下
そんなことを現実逃避のように考えていたら男性の声でハッと我に返りました。お声の方を確認すると貴族学校で仲良くさせていただいておりましたこの国の第3皇子ジョージア・クレイブ様ですわ。あまりパーティーなどへの参加を積極的にはされない第3皇子殿下の登場に場がざわついておりますわ。まぁでもこの絵にかいたような金髪、碧目の整った容姿の男性が現れれば未婚既婚問わずざわついてしまうのも仕方ありませんわ。
「ジョージア第3皇子殿下、殿下がいらっしゃる場でこのような騒ぎを起こしてしまい大変申し訳ございません。」
恭しく礼をするもジョージア様とは学生時代より仲良くして頂いており、ジョージと愛称で呼ぶことを許していただいています。その中で家の内情も何度も相談させて頂いていました。そして今日きっと騒ぎを起こすであろうことも見越してジョージ様にも参加頂いておりましたの。きっと収集がつかないこの事態に姿を現してくださったのでしょう。
「いや、話を聞かせて頂いていたが、この場にシャロン嬢を悪く言おう者などいるはずがない」
そのお言葉に周りの方々がうんうんと頷いてくださっています。なんだかその光景にほっと心を落ち着けることができました。まるで宇宙人との交信のような会話にいつの間にか心は疲れてしまっていたようです。
「そういって頂けますと私、心が救われますわ。ありがとうございます。」
「ジョージア様、私ミカリーナ・カシミールと申します。シャロン義姉様が私を家から追い出そうとするのです。普段から私を見下して意地悪をしていたのをずっと耐えてきたのにこんなのあんまりだわ!ジョージア様、どうか哀れな私を守ってくださいまし」
私の言葉にかぶせるように義妹が話しだしました。まるで悲劇のヒロインのような内容に驚きはしましたが、なにより王族に対して許可されてもいないのに自己紹介をし、要望を伝える。こんな礼儀知らずが目の前で行われ、眩暈がするのに、それだけでは飽き足らず抱き着こうと迫っています……
義妹の心臓にはきっと剛毛が生えているのでしょう。
それをジョージ様はさらりと交わすと、義妹がそのままの勢いで後ろのジョージ様の側近エヴァンズ様にしなだれかかるようにぶつかります。エヴァンズ様もジョージ様に負けず劣らずの美形。釣り目気味のすっとした顔立ちから氷の貴公子と呼ばれているんだとか。
そのエヴァンズ様にしなだれかかりながら頬を赤く染め御顔を見つめている様はまるで恋をしているかのよう。それまでの流れがなければきっと周りもそう思っていたのではないでしょうか。
義妹の心臓には剛毛が生え、その根元は大きな球根になっているに違いないですね…
その球根は絶対に育てたくはありませんが…
エヴァンズ様は義妹の視線ににっこりと微笑む。その様子に顔を真っ赤にし裾をギュッと握ったのが見えましたわ。そしてミカリーナの右手をエスコートするかのように取ったかと思うと、なにが起こったのかミカリーナの身体がギュンと反転し、エヴァンズ様に背中を預けるような形になり、正面は私たちに向いております。




