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名前はルイーナ ⑦

「お母様?お姉様をいじめてはいけませんよ?」


エミリア様がシャロン様にそんなことを言って、私の手を握ってくれる。


「あら、失礼ね、どちらかといえば今のはあなたよ?」


「私?」


「ちがう、違うんです……私、嬉しくて……うぅっ……だから泣いてしまうんです」


「嬉しい?どうして嬉しいんですか?」


「……っ、エミリア様がお姉様と呼んでくれたからです。っ……私には今日まで家族がいなかったから、、そんな風に呼んでくれる人は初めてで……」


そう。ママたちは家族のように優しくしてくれ、叱ってくれた。

でも家族じゃないことは知ってた。


養護院の子たちも一緒には暮らすけど、すぐに出て行ったり、また新たに誰か来たりと家族とは思えなかった。


それなのに、こんな素敵な家族が私の事を姉だと言ってくれた。


それだけの事がこんなにも嬉しくなってしまう。


「そんな。じゃあルイーナお姉様は今日から私達の家族です!!お父様、お母様いいですよね?」


そんなことをエミリア様が大きな声で言ってくれる。なんていい子なんだろう。


「それはルイーナに先に聞いてごらん」


ジョージア様がエミリア様に諭すようにそんな風におっしゃるけどなんてことを……


「そっか。ではルイーナお姉様、私たちと今日から家族になってくださいまし」


「そ、そんな恐れ多いです!」


「どうしてですか?ルイーナお姉様はエミリアたちではいやですか?」


「嫌だなんてそんな…」


助けを求めるようにジョージア様達を見るととても楽しそうに笑ってらっしゃる。

ここは止める場面なのではと思うけど……


「エミリア、その話はまた後にしよう。せっかくのごちそうが冷めてしまうよ」


ジョージア様がエミリア様にそう言われると分かったわ…と渋々頷いていた。


そしてここよとエミリア様とエドワーズ様の隣に席を用意されてしまった。


私は礼儀作法も知らないのに……


そう思っているとエミリア様とエドワーズ様がどの食器を使うか自分たちのを取って見せてくれ、先にナイフを入れてくれたり、フォークで刺してくれたり、やって見せてくれる。それを見よう見真似しているとそうそう!ととても嬉しそうに笑ってくれるの。


家族ってこんなに素敵なんだと思ったの。

でも、それはこの家族だからそう思うことで、きっと全部が全部ではない。


だって私の家族がそうじゃない…


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