どうしてこんなことに(ミカリーナ)
私は平民として生まれて、お母さんと二人で生活してた。
お父さんはいなくて、お母さんと二人。
お母さんは私を置いて出掛けると、よく男の人と一緒に帰ってきた。
いろんな男の人と帰ってくるの。
そしてその日は豪華なものを食べさせてもらえる。
特に一人の男の人が来るときはきれいなドレスももらえた。
少し大きくなるとその人がお父さんだと言われてその人のお家に連れて行ってもらえた。
そこには女の子がいて、とってもきれいな女の子だった。
それにドレスもとってもきれいで髪もつやつやしてた。
私は自分のぼさぼさの髪の毛が恥ずかしかった。
ドレスはお父さんにもらったのを着ていったから私のも可愛かったけど、こんな大きなお家に住んでこんなドレスを着ている子なんてずるいと思った。
それからはできるだけ長くお父さんと一緒にいた。
お父さんはお姉ちゃんのことが嫌いなのかあまり一緒にいることがない。
だからお父さんといて、「お姉ちゃんがうらやましい」って伝えればお父さんはなんでも買ってくれた。
「お父様だーい好き」と言えば、さらに甘やかしてくれるようになった。
こんなに簡単なことなんだ。
私は愛されているんだってわかったの。
だからお姉ちゃんが欲しそうな瞳をしたら先にお父さんに欲しいとねだるとそれは私のものになった。
お姉ちゃんは今まで欲しいものはもらってたんだから今度は私の番。
私のことをずるいって思うようになればいいと思ったの。
だからダレン様にも
「お姉さまはずるい…こんな素敵な婚約者がいるなんて…」
って囁いた。
そしたら簡単に肩を抱いてくれて、顔を見つめて目をつぶるだけでキスをしてくれた。
こんなに簡単なことなんだ。
私は必要とされているんだってわかったの。
それから何度となくダレン様と身体を重ねてあるとき、こう囁いたの。
「私がお姉様と交代出来たらいいのに…そしたらダレン様と侯爵家を継ぐことができるのに」 って。
ダレン様は大喜びしてくれた。
そのままお父様とお母様のところに行ったら、お姉様と私の交代に大賛成してくれたの。
そしてお姉様を追い出して、私たち家族だけで侯爵家を盛り立てていこうって話をしたわ。
それからのお姉様は見ものだったわ。婚約破棄されて、惨めだった。あんなの私なら耐えられないわ。
それなのに次に会ってもどうってことない顔してるの。
だめよ。もっと惨めな顔をしてくれなきゃ……




