表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

すっぽ抜け野郎

敵意は無さそうだと勝手な判断をし、頭の整理がつかないまま眼前の三体の生命体へ問いかけた。


「ーーあの、今僕を我が主っていいましたけど何故その様な事を?僕を古くから知ってる様な、待っていたってどういう事でしょうか……」


うまく話せない。それもそうだいきなりこんな非現実的な事が順を得ずに起きてしまって、いきなり理解できる者が居ようとは思えない。

そう考えていると少し間を開けて、一体が問いかけに応えてくれた。


「……でわ私がご説明致します。自己紹介をした方が宜しいですね。私の名はダキニ。そして赤く燃る狼がマカミ、角の生えた少女がバルザ。共に私達はシオン様のマナで御座いまする。」


「……っとダキニさん、マナってなんですか?」


「マナとは、人やものに憑いて神秘的な力を与える、簡単に言うと力の事で御座いまする。」


今まで生きて来て超能力なんてものには縁遠く、そんなものを感じたことなんか一度もないので全然理解が出来ない。


「焦ったいなぁっ!ダキニ言ってやりなよ!!ボク達を使役していた!だけど転生して記憶がスッパリ無くなったんだってさぁ!!」


ーーは?


「ーーオイ、ワガアルジヘノボウゲンナラバ、モエカスニキスルゾ。スコシダマッテロ。」


ーー何でこいつらが俺が転生してる事を知ってる?そして記憶を無くしてるって何の事だよ俺は一度だけじゃないのか?自分に疑問が次々と湧いて出てくる。


「ーー主の前で情けない姿を見せるのはやめましょう。そしてシオン様、確かにあなたは記憶を無くされています。ただそれについては話す事が許されておりませんので話す事ができず申し訳ございません。」


「許されて無いってどう言うことですか?」


「すみません。それについても話す事が出来ません。」


「何で記憶を無くしたんですか僕は」


「すみませんそれも、お話ができません。」


これ以上聞いても押し問答になるだけだと思い悩んでいると、ここに来てからずっと口を閉じていた長が沈黙を破り話しをかけてきた。


「シオン、すこしいいかの?まずここに連れてきたのはじゃな、お前の封印の一部を開錠するためじゃ。」


「……封印ってなんですか。また知らない事ばかり。」


「おぉ、すまなんだ。順を追って話すとじゃな

お前が捨て子でこの森で発見したのはワシなのは知っておろう?そして連れ帰ろうとした所、この三体の守護獣と出逢うたのじゃ」


「なんだ、外に出る事はできたんじゃないですか。なのになぜこんな薄暗い所に引きこもっていたのか理解できません」


「話を最後まで聞けい。お前を拾うた時胸のその痣がひび割れておった、今でこそ綺麗な形をしておるが今にも弾け飛びそうになっていたんじゃよ」


「ーーもしかして、まさかこの痣と……」


「はい。私達を抑えておく力が幼くなってしまったシオン様には限界を超えてました。なのでその村長に頼み成人し器が安定するまでの間、我等は一部の繋がりを残しこの地下空間に眠る事にしました。

成人を迎え、安定した器ならば宿る事が出来、二体は力を抑え一体のみであればシオン様が使役する事も出来るかと。」


そうダキニは答え肩を落とした。


「なぜ、今まで僕にそれを黙っていたんですか」


「ーーそれはじゃなぁ、この三体の存在に気づき繋がりが強まってしまうと器の崩壊にも繋がってしまうからじゃ。一人一支とここに来る時にも伝えたであろう?そもそもに一人三支など聞いた事が無い。何が起こるかわからぬから三体は自らほんの一部を残し遠ざけていたのじゃ」


ーーだから、あの森で何かを思い出そうとする度に痣を通して異変を感じたのか。

ティアさんはそんな僕に気づき自然と収めてくれていたんだ僕が弾けない様に。


「事情はほんの一部理解出来ました、それで僕にどうしろと?」


「……はい、全てを話していない状況で差し出がましいかと思いますが、また私達を使役出来るよう繋がりを完全修復したいのです。」


ダキニは俯きながらそう答えたが、反論の意見が飛ぶ。


「勝手に決めるな!何でこんな記憶がすっぽ抜けた奴に使役されなきゃいけない!?またボク達を忘れる日だったまたあるさ!その度に……そのたび、またボクは……」


「ツツシメ、キサマオモイワヨクワカル。ダガ、ニドメハナイ。ボウゲンワユルサヌ」


「ーーおいおい、ちょっとまて何故記憶が無いのか答える事も出来ずに障害者扱いかよ、そもそもに何で使役なぞしなきゃいけないんだ、僕は今まで通り普通に暮らして行ければそれでよかったーー」


本当にそうなのか、全てを言い終える前にふとそう頭を過った。

自分が何かをしなければいけない。何もしなければ

何も起こらないが何かをしなければいけない気がしてたまらない。


「シオン様は私達を従え旅に出る事となります、

それもそう遠くないのです。海の方で異変が感じられたのできっと、もうすぐこの世界でも崩壊への予兆が出ると思います。」


たしかに今日街でそういった類の話は聞いた。

だけどそんな事が本当に起こりえるのか甚だ疑問でしかない。

だがそれが本当だとして、村の皆んなはどうなる?

大事にしてた人達がまた死んでゆくのは耐えられないーー


「……また?なんだ、なんでまたなんて、あたかも以前も経験した様な……」


記憶が失われてるのはどうやら本当らしい。

使命感と知識が湧いて出てくるのに、何も思い出せない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ