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第一章プロローグ

――あぁ、まただ。この場所で目を瞑り無に浸っていると思い出すのは【1番最初の人生】会社員で辛くプレッシャーに潰され社畜としての人生の最後を迎えた。

なんて事のない普通の人生。そして【僕】の言った言葉。

そして雲がかった記憶にある断末魔の叫び、血が吹き出し四肢が裂ける悪夢のような光景。

逃げることも出来ず心臓がはち切れそうな恐怖心

記憶の中の人物とそれを思い出そうとしてはふわっと消え 我にかえり、空を見上げ、何を思い出そうとしていたのか分からなくなり赤毛の髪をポリポリと掻きながら物思いにふけっているこの時間をどれくらい過ごしたのだろう。


この森はとても暑い。特に夏のこの時期は、体の中からも外からもジリジリと焼けつく感覚に悩まされる。暑いのは苦手だ。ただ、心の内側にはなぜだか安心感がある。胸に手を当て、2度目に生まれた頃に三重に刻まれた紋様を意識したとき、

頭の中で男が自分の胸に手を翳し――



「…また、考え事のフリをされているのかしら?」


何かを思い出そうとした瞬間、後ろから落ち着いた軽やかな声色で言葉をかけられ振り向くと水色の薄いシャツに白いスカートをまとい長いクリーム色の髪を耳にかける仕草をとる女性がこちらを見て微笑んでいた。

名前はティア・アリスタン。

彼女は身寄りがない僕の御世話をしてくれている人だ。ティアは幼い自分に色々と教えてくれた。

この国の事、この街での生き方等通常生きていく上で問題ないように教養と道徳も彼女から学んだ。

特に女性の扱いや男性としての振る舞いに関してはこの上なく厳しかった…


「…フリだなんて、考えてた事を思い出そうと考えていた所でした。ティアさんの綺麗な声に気を取られて何を考えてたのかわからなくなっちゃいましたけどね」


ティアさんは綺麗だ。声も顔も……体つきも。

年頃の僕から見たティアさんはそりゃあ、、、ね?

だからってわけではないけど、女性の扱いを学ぶ際

この街をエスコートさせられた。周りからすれば

"羨ましい"この一言に尽きるだろうけど、腕を組まれた際に感じた柔らかい感覚に全ての意識を持っていかれ周囲に気を配る所ではなく注意散漫になった所を

きつく叱られた。


「あら、頬が少し赤らんでる…この日差しの中でずっとここにいたのかしら、ダメじゃない…!!早くこちらにきなさい!」


「今行きますー…。けど別に暑いからってわけじゃないんだけどなぁ――…」


聞き取れるかどうかの声でそう言いティアさんの側に駆け寄った。

しばらく会話を楽しむと少し虚な顔をして彼女が切り出した


「明日でシオンと会ってから15年経つのね……。

さっきの何を考えているのかわからない顔を見るのももう何度目かしら。何か思い出せたの?」


この日を迎えそうになるといつもティアさんは決まって僕の側に来て物憂げな顔をする

明日は僕の――穂村 心隠【ホムラ シオン】

15歳のいわゆる誕生日


 ⬛︎⬜︎僕は2度死んでいる――――――――


1度目の人生は日本で生まれ5歳の頃に母は再婚し、

妹が出来た。そこからは結構苦労を積んだと思う。

大人しい性格ではなく短気で喧嘩っ早い。

唯一褒められていた所は小学校の時先生と揉めた際、担任から人想いで自分より人を優先する優しい子ですと言って貰えた所くらいだ。

18になり地元から出て都会で会社員になり、

淡々と役職を上げていきーー


 過労死で死んだ…。


途切れた意識の暗闇の中で僕と同じ姿をした【僕】が現れこう言った。


「初めまして僕。僕は僕だよ、ハハッ。変な感じだね??…とまぁ、おふざけはよしておこう 時間は惜しい。君は特別な事情があって生きなきゃあいけない。今から君を転生させる。そういう契約だからね。」


理解出来ない事が起き、喋り出そうとするも声が出ない


「大丈夫。僕の言いたい事は分かる。だって君は僕だからね、いや正確には、、僕が今君ってことか!あははははは!」


 そう僕は笑い最後に


「君は生かされてる契約によって。只、同じトキハイキラレナイこれも契約によって。見つけてごらんその契約の意味を――」



 ――


「ーーオン?…シオンったら!!」


「ッハイィィ!!ティアさんなんでしょう!?」


「っんも〜……急に真顔になって黙っちゃって。何かあるならあってよね?」


そう捲れる彼女は大人だけどなんだか凄く可愛らしく胸がドキドキした。


「もう日も暮れてきたから帰るわよ〜。今日のご飯わねっシオンのお誕生日の前夜祭と称して街のみんなでお祭りなんだからっ」


「毎年ありがとうティアさん、帰りましょうか」


嬉しそうに歩くティアさんは妖精のように歩くというよりも舞うように可憐に帰路に着いていた。

見惚れる僕に手招きをして呼ぶ彼女に自然と脚が向きすっかり涼しくなった森を後にした。




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